その②でもう更新が遅くなっておりますが、、、その②です♪
bridge vol.47 WINTER 2006より
「斉藤和義の10曲」 その2
②君の顔が好きだ
1994年発売。斉藤和義のとんでもなさをシーンに知らしめた、3rdシングル。94年2月2日リリース、同年3月24日の2ndアルバム「素敵な匂いの世界」に収録。
<君の顔が好きだ 君の髪が好きだ 性格なんてものは僕の頭で 勝手に作り上げりゃいい>
というミもフタもなく衝撃的なサビに代表される、強烈かつ言葉のビット数が異様に多い歌詞、それでいて美しいメロディ、「弾く」というより「叩く」みたいなピアノ中心のアレンジ――インパクト、ポップさ、独自性、どこをとってももう完璧!と言いたくなる1曲。
――すいません、次も白盤にも黒盤にも入っていませんが。
「そうですね」
――聴いて「ええ!? なんじゃこの曲は!」ってすごくショックを受けたのを憶えているんですが。
「ああ、そうですか。へぇー」
――そういう感じではなかったんだ、当時は。
「当時はねぇ、この曲は、締め切りでディレクターに「何曲か持ってきて」みたいな話の時に、5曲持ってって、最後の5曲目に、ついでで。ちなみに自分の中ではボツと思ってたんですけど」
――なんで?
「うーん、軽薄だなあと思ってたんです(笑)。曲としては気に入ってたんですけど……ピアノ弾いてるってところで。
当時ギター持って歌いたかったのもあったし、ピアノってこと自体がちょっと自分の中で邪道っていうか。
あとはなんか、こんな軽いポップスができちゃったな、みたいな感じだったんですよね、当時としては(笑)。」
――「どこの軽いポップスがこんな歌詞を歌うんだ」って気が。
「ああ。作った時の気分としては、ラップのことはよくわかんないけど、言葉がいっぱいバーって詰まってるのが作りたいなあ、みたいのがあって。
で、詞に関してもなんつうか……なんだろうな……」
――<君の顔が好きだ 君の髪が好きだ 性格なんてものは僕の頭で勝手に作り上げりゃいい><形あるものを僕は信じる>って、「すげぇ!」と思いましたけどね。「斉藤和義ってこういうアーティストだったのか!」って、この曲で見る目が変わりましたよ、当時。
「ああ。これもデビュー・シングルの候補だったんですけど。事務所の社長は「デビュー・シングルはこれにしろ!」って、ずーっと言ってたんですけどね。
でもこれは、ピアノで作った曲なんで。俺としては、「デビューするときにピアノ弾いてるイメージはヤだ!」って。で、ディレクターが「これは後のシングルにとっとこう」みたいな感じになって」
――この曲でこういう意味のことを歌いたいんだ、みたいなのはそんなになかったんですか。
「いや、ありましたよ。なんだかんだ言って見かけって大事じゃん、みたいなのとか。なんだかんだ言ってやっぱかわいい子のほうが好きだし、とかね(笑)。
そういう、普通に思うことをそのまま言っちゃえ!って感じでしたけどね。
――スピリチュアルなものがもてはやされるけど、そのよくわからなさとか不確かさなみたいなのを、歌ってますよね、そういう宗教的なものに対する――。
「はいはい。それこそ当時、桜田淳子とか山崎浩子とか、統一教会がすごい話題になってて。
この曲を作った時はそんなつもりなかったけど、あとからそう言われて。
でも、自分の中でも……<形あるものを僕は信じる>と言いつつ、一か所だけ<でも君の声が好きだ>っていうのを入れたのがあって、それは結構迷ったんですよね」
――声は形ないし?
「うん。でもなんていうのかな、形ないものも本当は信じてるんだよ、っていうところも入れたくて。
自分の中で、をれを入れるか入れないかは結構、最後まで悩んだのがありましたね。」
――だって「君の顔だけが好きだ」って曲ではないですもんね。
「そうですね」
――結局は好きなんですよね、ちゃんと。
「そうそうそうそう」
――あと、この曲は1行目からすばらしくて、<僕が僕である事を人に説明することの無意味さを君の表情はいつでも教えてくれる>っていう。
「うん」
――だって基本的に「僕が僕である事を人に説明する」ためのものだったりするでしょう、音楽って。
「そうですね、うん」
――だからすごいカウンターパンチみたいな。「1行目からこれかい!」みたいな、そういうインパクトが非常にありましたね。
「ああ。まあでも……単純に、自分もやっぱ曲を書くと自分の話になっちゃうっていうか、そういうのを感じていたので。それはべつにいいちゃいいんだろうけど、なんかこう……自分を諌める、みたいな感じもありましたけどね。
あと、この曲、女の子から結構ひんしゅく買うんだろうなと思って出したけど、逆にそんなことなかったっすね。顔が好きって言われることのほうがうれしい、っていう女の子のほうが多くて。「あ、それはよかった!」と思いました。」
――はははは。
「だから女の子としては、性格がいいって言われるより、「顔、かわいい」って言われた方が、うれしいらしいですね。っていう話をこの時いろろきいて、「そうかあ!」と思って」
――ま、確かに「性格がいい」って言われると「じゃあ顔はよくないんだ」ってふうにとれますもんね。
「うん、ね(笑)」