Merry MatriX-mens!!!

https://bbfc.co.uk/releases/arthur-christmas-2011

上記HPより画像お借りしています。

 

○アーサー・クリスマスの大冒険/ARTHUR CHRISTMAS(2011)

監督 サラ・スミス

☆☆☆☆☆

出/ジェームズ・マカヴォイ(サンタ役)、ヒュー・ローリー(サンタ役)、イメルダ・スタウントン(サンタ役)、ジム・ブロードベント(サンタ役)、ビル・ナイ(サンタ役)、アシュレー・ジェンセン(サンタ役)

 

『インデペンデンス・デイ』の宇宙船は実はXジェットでプロフェッサーXの中の人が手紙書いてるんだけどそのお母さんがマーガレット・サッチャーで夫の声が『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でサッチャー元首相の夫の中の人をやってた人でサンタがキューバ危機を引き起こしたって話してたら本当にキューバに墜落したというかそれも『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』ネタでエンドクレジットが『マトリックス』で……

 

 いや書き切れねえよ!!

 アードマンスタジオは『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)を観たときも仰天してひっくり返る程に濃密な映画パロディを盛り込んでいましたけれど、今作も超濃厚。

 とまあパロディネタを語りたい所ではあるのですが、本日はクリスマスイブですので、本作のクリスマススピリッツを話していきます。

 一番良いのは「サンタ一家」が幸せになるまでの物語になっている点です。ちなみに一家にはエルフたちも含まれますよ(って事はウィル・フェレルも含むのか)。

 エピローグには家族たちがそれぞれ描かれ、幸せですと一言添えられます。

 そして本当にどこまでも緻密だなあと思うのは、サンタになったアーサーの姿が描かれない事。何故かというと、別にサンタという存在が幸せ運んでる訳ではないという映画だったから。他人の幸せを願う誰かがいるって事が幸せを運んでるんだよっていう。だからアーサーはタイトルにもなっている程に主人公ではありますが、彼がサンタになった事はまったく重要ではないんですね。

 結構過激な描写が頻出します。サッチャー元首相は北極グマに襲われますが、これは北極という場所が本来到底人が住める場所じゃないという表現になっています。つまり、実際は無人だよと。

 他にも長時間労働を強いられているエルフたちは、どうみても外国人労働者のメタファーになっています。エルフたちの多くが有色人種であり、LGBTQなどのマイノリティとして描写されているからです(Xジェットが帰ってきた場面をよく見てみてください。あとサンタ家長男の秘書エルフが暗闇で長男の手を握るというのも彼の恋愛対象に男性が含まれる事を示唆してますね)。

 皮肉なのは、エルフたちは商品の質やクライアントの満足度などを心底気にかけているのに、経営者側の男2人はそんなの「構わない」のです。

 サンタとは、この映画において権力側だという「レッテル」です。言っちゃいますとサンタ夫人がマーガレット・サッチャーなんだから必然的に政治家となります。

 政治家が自己顕示欲に取り憑かれている。ベルトコンベアーで扱われる工業製品としてのプレゼント……。

 ただ、プレゼントその物、つまり技術的な進化についてこの映画は受け入れるよう促しています。GPSしかり。

 だからこそ、サンタのソリが「もういらなくなった遺物」と言われて爆破される。ここはハッキリと『カールじいさんの空飛ぶ家』でしたね。

 でも直前に、古いもんだって活躍出来るぜ! という引退したトナカイと引退したサンタが大立ち回りを演じる。

 自分の幸せは何より一番大事。それはそう。でも幸せになったら、他人の幸せも考えようよ。考えるだけじゃなくて、他人を幸せにしてみようよ。

 クリスマスですねー!!!!

 あとエンドクレジットが『マトリックス』のマトリックスコードをパロディにしていますが、これはもう『マトリックス』ってのは「自分を信じる事」をテーマとした映画だからですよ! アンダーソン君が自分を信じてみるというアクション(行動)を起こすさまを描いた映画だからですよ。

そして『インデペンデンス・デイ』を非常に大事に扱った映画でもあります。

宇宙人ネタがやたらと出てきたり、ラストの大ネタも『インデペンデンス・デイ』パロディです。ウィル・スミスは地球を救いましたが、『インデペンデンス・デイ』という映画はひとりの女の子を幸せにしました。

 

 ……そして本作は、カメラワークが素晴らしすぎる。

 一人称視点までは行かないんですけれど、アクション場面をかなりの接写で映すんですよ。トナカイとトナカイの間にカメラがあったり、凄い迫力です。迫力と、スピードですね。空飛ぶソリとか出てきますが、引きまくった画でゆったりシルエットが月を横切ったりしません。

 それよりも大気圏から飛出してイギリスの場所を確認する(というかこれも『インデペンデンス・デイ』ですね。ヒラー大尉が「こいつが夢だった」って言う場面)。もうね、時計とか映さないで直接太陽が昇るのを見せちゃうっていうね。もうね、どんだけ頭使ったんだすかね、この映画を製作した人たちは。凄すぎる。

 テーマから言うと少女へのプレゼントが間に合う間に合わないは重要ではないので、間に合わないという結末も十分予想されるという緊張感! た、たまりません!

 

 クリスマス映画といえば『素晴らしき哉、人生!』を毎年観ていたのですが、今後は『アーサー・クリスマスの大冒険』で、レッツ・マゼルトフ!!! 

 今年のハヌカーは西暦だと2019年12月22日晩から30日晩ですよ!!!

 

thefineartdiner.blogspot.com/2011/12/arthur-christmas-author-of-christmas.html
上記HPより画像お借りしています。

↑とりあえず最初の数行さえ判れば、サンタへ送られてきた手紙は全てソラで思い出せるという驚異の記憶力の持ち主。まさに『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』におけるイーサンタ・ハントそのものである。

 

 オマケネタ。

 おじいサンタがソリにイヴと名前を付けていますね。もちろんクリスマスイヴのイヴでもあるんですけれど、それよりも「男が車に女の名前を付ける」ネタですね。ジェンダー!!

 

https://www.imdb.com/title/tt1430607/mediaviewer/rm1586398208
上記HPより画像お借りしています。

↑この冬、未知との遭遇を果たしましょう。

 

 

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