6月は赤城山にシロヤシオを撮りに行くと、決めていた。
赤城山は、4月から6月に様々なツツジが咲くことでも有名だ。
レンゲツツジを追って何度か訪れていたが、3年前に初めてシロヤシオを目にした。
その清楚さに惚れこんでしまった。その時の写真を1枚。
今年はどうしても・・・と思っていたところ、天気予報が変わり、6月1日は晴れるとの予想。
急遽、嬉々として赤城山の小沼に出向いた。
レンゲツツジはまだまだだが、白樺牧場に隣接する見晴山は8部咲き。
シロヤシオに会う前に、ちょっと立ち寄った。
そして、胸をときめかしながら小沼に向かった。
ズミの花が美しい。
ところが、行けども行けども、あのシロヤシオがない!
数輪がぽつんと咲いているだけだ。
出会った男性に聞くと「今年は全く咲いていないよ。去年は良かったのに~」とのこと。
がっくりと肩を落とした。
さて、ツツジがない山道を歩こうか?それとも、どこかに場所を変えようか?
年のせいか、ただ山を歩くより、花を求めて歩きたいと思う気持ちが強くなっている。
その気持ちに任せて、山岳地図と睨めっこ。
ツツジが咲いているとも限らないが、まだ行ったことのない利平茶屋森林公園(標高1060m)に決めた。
10時着。
ツツジの気配どころか、人の気配もないキャンプ場だ。
渓谷の流れや新緑を撮ろうと気を持ち直して散策路を進むと、ご夫婦の登山客に出会った。
聞けば、30分ほど登ったところに綺麗な滝があるとのこと。
「熊に注意!」の看板を気にしながら、雨であちこち崩れている山道を、勘を頼りに登っていった。
すると、新緑の中に、白く糸を引いたような静かな滝が現れた。
「三涯の滝」という。
実は、この滝に辿り着く途中で、あちらこちらに群生する九輪草(クリンソウ)を見つけていた。
九輪草はサクラソウ科だが、背丈は30cmほどになるから、イメージはサクラソウと重ならない。
日光の中禅寺湖畔が有名だが、この暗い渓谷に花を咲かせている姿も艶やかだ。
13枚を続けてご覧頂きたい。
落胆していた気持ちが、この花との出会いに救われた。
来年も来たい。
うまくいけば、シロヤシオと九輪草の両方の花を愛でられる。
そんな1年後を想いながら群馬を後にした。