英語の教科化がもたらすもの | よしだ教室 授業ダイアリー                                                   

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また、子供達の社会環境や自然環境についても発信し、皆さんとご一緒に、子供達の生きていく時代を考えていきたいと思います。

来年度から、全国的に、中学年には「外国語活動」が、高学年には教科としての「外国語」が完全実施になる。(いずれも実態は「英語」)

そのため、5・6年生では「聞く」「話す(やりとり)」「話す(発表)」「読む」「書く」という5領域について、「言語活動」を通して学ぶこととなり、単語も600~700個を身につけることなどが目標となる。

 

英語には素人の教師ばかりの小学校で、これだけのことを実施することは「大事業」である。

文科省は先ず、昨年と今年をその移行措置の期間として位置づけ、2年間のための教材「Let'sTry」(中学年用)と「WeCan」(高学年用)を発行した。おそらく、各教科書出版社も、この教材をもとにして来年からの教科書を作成した筈だ。

そこで、これらを取り寄せてみた。

 

下が、5年生に使われている「WeCan」の目次だ。およその傾向が分かる。

 

 

「なるほど」と思う。

「コミュニケーション中心の言語活動が学習スタイルだから、こんな内容になるのか」とうなづける。

 

  ・「When」「What」「Where」「Who」と疑問詞が多い。

  ・そして、「like」や「want」のような、自分の趣向を伝えるための動詞。

  ・動詞だけではない「Can」という助動詞も多出する。

  ・更に「Unit8」では、「would」という助動詞の過去形が、「丁寧な表現」ということで突然現れる。

 

そうした「言語活動」が優先される結果であろうが、「文法」はほぼ無視に近い。

一体、どんな「指導」がされるのか?

2017年に文科省が作った「小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック」(223ページの量)を見てみよう。

78ページの「授業研究の視点② 『話すこと』の活動」では、6年生の次のような場面での指導方法を述べている。

 

       

 

指導方法が書かれている文章から抜粋しよう。

 

   ・・・その時、児童が〝I go to the mountain.〟などのある英語を話しても、

   訂正し言い直させたりはせず、〝I see.You went to the mountain.〟

   など、自然な対話を続けながら正しい英語で応答することを大切にしたい。・・・

 

勿論、「go」の過去形が「went」だと記憶している児童には分かるかもしれない。

しかし、動詞の現在形と過去形についての文法指導はない。

代わりに(?)、こんな場面がある。下矢印

     

 

動詞の過去形の学習ではなく、「夏休み」の思い出のやりとりをする「言語活動」場面だ。

子ども達には、どういう場合に「ed」が付くのか、どういう場合に「went」のような変化をするのか、という文法は示されない。

当然、子ども達が自信を持って使うことは難しいだろう。

それどころか、「もっと色々な変化もあるのだろうか?」と不安にさえなるのではないだろうか?

 

どうして、これほどに混乱が予想される内容が、大手を振ってまかり通るのか。

今回の直接の発端は、2013年「教育再生実行会議」の「提言」である。

初等中等教育へのグローバル化に対応した教育を充実する項の冒頭に、こうある。

 

   国は、小学校の英語学習の抜本的拡充(実施学年の早期化、指導時間増、教科化、専任教員

   配置等)や中学校における英語による英語授業の実施、初等中等教育を通じた系統的な

   英語教育について、学習指導要領の改訂も視野に入れ、諸外国の英語教育の事例も参考に

   しながら検討する。

 

教育再生実行会議」は官邸にある。

これを受けて、「有識者会議」から「英語教育改革の5つの提言」が出され、中央教育審議会でまとめ

られ、それが2017年の「学習指導指導要領」に盛り込まれたものだ。

教育現場の声や、子ども達の成長のための必要性からではない。

 

であれば、せめて、公教育の現場に、これ以上の混乱を起こさない配慮が必要だ。

せめて、教師を増やし、英語の専門性を持った教員を配置してからにすべきではないか。

最大の被害者は子ども達になるのだから。

 

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