がんばらない語学も、アリ | El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。
メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。
2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。

こないだ、オンラインのスペイン語会話で、「会議の準備にあたり役割を割り振る」想定でフレーズを生徒グループで順番に出していたのですが、暑かったもんで(参加者に水を用意しなくちゃな!)と思い、頭の中で文を組み立て、自分の番が回ってきてすぐ「Agueda, tú compra la botella de vino a los conferenciantes.」と言ってしまいました。agua「水」でなくvino「ワイン」。「会議の後なら合ってるね」との先生のフォローに、痛み入りました。

ブックレビュー風アメブロEl Despacho Desordenado、書き手のエドゥアルド・ルイスです。さぁ今回は語学学習エッセイマンガ『つれづれ語学日記』を紹介しますよ。

 

語学を趣味とする人は多かれど、作者のこまきときこさんのそれは徹底しています。語学これ、生活の一部。

ノッてるときはどんどんやる、けど「やめたくなったら即やめる」(p.27)。楽しむための語学、決してがんばりません。朝一番に語学学習アプリで単語ひとつでも覚えることから一日を始め、ストレスのきつい通勤電車もリスニングで乗り切ります。休日の朝の散歩も待ち合わせも、持ち歩ている学習グッズで時間に隙間を作りません。

そんな作者の日常や、語学趣味を続けるためのちょっとしたコツがほんわかしたタチの絵と共につづられています。

 

面白いのが、黒田龍之助先生の提言と似通った部分があるということ。

辛いからってさぼると続けられなくなるよ、が黒田先生の主張。一見するとがんばらない語学の対極に位置しそうな考えですが、サボり予防や再開にあたり「毎日の勉強に、単純作業を盛り込む」(『寄り道ふらふら外国語』p.175)、たとえば音読などを取り入れるとよい、とアドバイスしています。実はときこさんも「ルーティン化すると結構ラク!!」(p.140)と書いているんですねぇ。隙間時間はもちろん家事をしながらリスニング、いやむしろ“英語をやるために”嫌いな家事をやって「生活を前進」(p.105)させるなんて逆転現象も。

語学の挫折しやすさにまつわる痛感をはっきり書いているお二人だからこそ実践理論が似通うのかもしれません。

 

さて、ときこさんの取り組んでいるのは英語、ドイツ語、エスペラント語に、トキポナ。最後のが初耳でしたね、知りませんでした。

トキポナの総単語数は、120語。BASIC800だって800語だっていうのに! なんでも、やたら複雑で無駄に速い世界を、シンプルかつゆっくりに捉えるため生み出された言葉なんだとか。これは言語に対するアンチテーゼと言いますか、なるほど哲学的試みであります。

 

人生を豊かにする語学本来の楽しみを味わいたい人のための一冊、もちろんがんばる人にも参考になりますよ。

……ただ、リスニングはNHKのラジオ講座がメインとのことですが……「講師の小粋なギャグ」(p.101)って、それ大西先生のですか? 何回も聞いているうちに素直に反応できない、ってそこは悩まずに秋乃ろーざさんみたいに受け流すのが良いですって。デーヴィッド・エヴァンズさん、さすがにもう慣れてるよねぇ?

 

 

Friego los platos escuchando el audio de aprendizaje de inglés.

(私は英語教材の音声を聴きながら皿洗いしています。)

 

 

『つれづれ語学日記』

こまきときこ

KADOKAWA

高さ:21cm 幅:15.1cm(A5、カバー参考)

厚さ:1.4cm

重さ:275g

ページ数:191

本文の文字の大きさ:不定