10000人の犯罪者を心理分析してきた出口保行さんの著書です⑅
センセーショナルなタイトルですが、内容は優しくて親を追い詰めるようなものではありません(*^^*)
頻繁に育児書を読む方や、心理学や教育学を学んだことのある方にとっては、既に知っていることも多いかな?
ですが、豊富な経験に基づいた説得力のある内容に引き込まれ、励まされたり反省したり、いろいろな気付きや学びのある本でした(*´ᴗ`*)

この本には犯罪を起こした少年の事例が出てきますが、普通の家庭でも十分に起こり得ることなんですよね。
実際、私にも心当たりのある部分もありました。
娘たちが「自分の存在には価値がある」と信じられるような言葉を、態度を、まなざしを。
子どもも親も失敗することはあるけれど、修正を恐れず、丁寧に根気強く信頼関係を築いていける家族でありたいなと思います(*^^*)
以下、特に印象に残った点や覚えておきたい点などの一部を簡単に記録しておきます⑅
・非行少年に共通しているのは「事前予知能力(=先を読む力)の乏しさ」。
事前予知能力を育てるためには、
①本人に考えさせる声かけ
②そうするべき理由を伝えて考えさせる
③逆算して考える習慣付け
・バリエーション豊かな先読みができるようになるためには、多くの事例を知ること。
→様々な体験をすることと本を読むこと。
多くの犯罪者や非行少年は経験の幅が狭い。
そのため自分で考える時の土台が狭く、多様な未来を予測できない。
本は多様な経験の宝庫。
・「頑張って」の言葉で意欲を持たせることはできない。プロセスを褒めることで意欲は高まる。
難しく考えず、「あ、動いているな」と思った時にポンと言ってあげればいい。
・マズローの欲求5段階説
生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求
親は最上段の「自己実現」についてばかり言いがち。
その前に下の階層の欲求は満たされているのか?
・意欲を持っていること自体を褒めると意欲が高まる。
目標達成のご褒美を使う場合、心理的報酬とうまく組み合わせるのがコツ。
プロセスを褒めつつ、ご褒美を渡す時には親自身も嬉しいことを伝える。
・逆境や困難を乗り越える力であるレジリエンスは変化が激しくストレスも多い時代を生きる重要なスキル。
レジリエンスを育むには、失敗して落ち込み、そこから回復するのを繰り返すことが大事。
経験値なくしてレジリエンスだけを鍛えることはできない。
・見守るときに大事なのは、子どもが落ち込んだ時に親も一緒になって落ち込まないこと。
むやみに「頑張れ」と言うのは良くないが、「きっと良くなる」と希望を感じさせてあげることは大事。
・犯罪や非行を防ぐ「リスク」と「コスト」。
コスト(=失う信頼)が大きいと感じるほど、悪いことを思いとどまる。
最大のコストは家族。
家族との信頼関係があるのが前提で、親に信頼してもらっている、信頼を裏切れないと思うからコストになる。
友人や親戚、先生、社会的地位、仕事、住んでいる地域や場所もコストになる。
逆にコストが少ない場合、動機から実行までがストレートに繋がってしまう。
・中学受験等において大事なのは、競争の結果がどうであれ存在自体は尊重されるんだという価値づけ。
結果が不合格であったとしても、頑張ったこと自体の価値は下がらず、その人自身の価値も下がることはない。
競争や受験が良くないのではなく、精神的に追い込まれるのは「負けたら終わり」だと思うから。
・悪いことをした子どもを叱るとき、まずは言い訳を聞いてあげることが大事。
子どもの言い訳は、自分の心を落ち着かせるためにやっていることが多い。
合理化(理屈をつけること)をさせてあげることは、その子の心を守るために必要。
とことん言い訳をすれば、自分で矛盾を感じる→自分で気付いて先に進めるようになる。
・小さな失敗で致命的なことが起こるわけではない。
親はまず危険の大きさに関する判断を整理することが必要。
一番の軸は身体生命の安全に関わるかどうか。それ以外はどれだけ許容できるか。
対人関係の失敗は共感性を育てる。
例えば子どもが友達に「ばか」と言ってしまったとき、子どもの言い訳を否定せずに聞いてあげる。
・うまくいかないことがあっても、愛情をもって真剣に向き合っていれば何とかなる。
