長らく中断してすみませんでした。「青森の旅」再開させて頂きます!

さて、鯵ヶ沢駅を降りて、とにかくがっかり。あれほど雪に期待していたのに、まったく雪が無かったからだ。その上、なんか駅前が殺風景。「再開発」した駅前がそのまま老朽化していくパターン。駅前のスーパーで、この看板を見て笑ってしまった。「のろ」って、普通、食品関係で使うのはご法度な名称ではないの?もしかしたら「野呂さん」が経営しているのだろうか?せめて「鯵ヶ沢精肉店」と言う名前にすればいいのに・・・・・一事が万事こんな感じであった・・・・

とにかく、海に行こうね。海まで10分くらい歩けば行けそうだし・・・・しかし、なんだ。海も殺風景だなあ。

お!これはどこまで行けるのだろうか。堤防の上までいけそうか?けど、堤防の高さは2メートル近くあり、結局、どこまでも堤防にそって内海を眺めるだけであった。行けども行けども堤防。まあ、防災上はしかたないのだろうなあ。

それでも海浜公園みたいなのがあって

遠くを眺めたら・・・・遥か彼方のうっすら見える山並みは北海道か。ああ、そういえば、卒業生が今頃家族で北海道旅行をしているはずだ。雪は拝めているのだろうか。

そして、海の後ろに目をやると・・・・おお、これが「岩木山」

ここら辺(津軽地方)では、どこからでも眺められる山だ。それこそ、この地の人にとっては「生まれ故郷のおらが山」という感じなのだろうなあ。けど、ちょっとけったいな形だなあ。山頂が三つに分かれていて、真ん中が頭、両サイドが筋肉質のいかり肩に見える。この独特の形を、この津軽の人たちは子供の時から記憶に焼き付けて大人になっていくのだろうなあ。

途中、海岸にある道の駅に寄る。こ、これは!ブサかわ犬「わさお」だ!そうか。鯵ヶ沢は舞の海だけが有名人ではなかったのだ!映画にもなった「わさお」こそが、この町の守護神だったのかもしれん。

さて、宿に向かうぞ。本当に、町のどこからでも見える岩木山。いかり肩の人。

ここが今回泊まる宿です。(というか、前述したように、雪が見られそうで、「一人旅」で検索しまくって、泊まれそうなのはここしかなかった・・・・もちろん、何度も書いているが、一片の雪もなかったが)

宿の女将に「雪見に来たんすけど、雪ないですよね」と言ったら。「ここら辺は一番早く溶けます。岩木山の山頂の方へ行けばありますよ。」だった。しかし、さすがにそんな装備もしていないし、岩木山のふもとまで行く手段もないのであった・・・・

なんか、すでに帰りたくなってきた。

さて、温泉はなかなかゴージャスで露店もヒノキ造りの船形湯船で良かったです。

宿も由緒ありげでなかなかどうして素晴らしい。これは中庭。ここに雪が降り積もっていたら、感動で泣いていたかもしれない。

夕食は掛け値なしにゴージャスだった。どれもこれも繊細で心を込めて作っているのがわかる。これ、前菜。

刺身もなかなか。そう、鯵ヶ沢は日本海に面しているので、海鮮は素晴らしいのだ。

おや、この兜は・・・・

じゃ~ん。鍋でした。

とにかく、これでもか、これでもか!といくらい料理が運ばれてくる。

これは肉料理だね。

汁ものもうまかった。

最後のデザート。イチゴは絶品!

でも、部屋に帰って一人になると・・・・・「はあ。雪はなかったし、なんでここにきてしまったんだろう。違う場所にすればよかったなあ。」という思いがこみ上げてくる。そして夜10時ごろになって、いつもの癖でスマホでNHKラジオの「FMシアター」を聞き始めた。これはいつも聞く時間が取れなくて、「聞き逃し」をネットで聞いているのだ。さて、今回は「ゴリラの背中とアップルパイ」という題名であった。

「変な題名」と思いながら聞いていると、いきなり話は「新青森」から始まったのだ!昼に私が降りた駅だ。「え?これって、ローカル放送なの?」と思ったがネットの聞き逃し番組なので、そんなはずなかった。それも話の中心は津軽地方。この鯵ヶ沢は、西津軽。ラジオの物語は、ちょうど岩木山の反対側だ。そして、なんと、主人公は「野呂さん」だったのだ!野呂さんは津軽特産のリンゴを使ったアップルパイの製造販売を営んでいて、そこで一緒に働いていた彼女が急死、その家族に会いに行くお話。家族との話を通じで、なぜ彼女が自分の所に働きに来たか、いろんなことがわかってくる。その中で、津軽地方特有の話が随所にちりばめられ、まるで自分にわざわざ語ってくれているような気さえした。そして、最後に、津軽人の心のよりどころ、「岩木山」がどれほどのものかも伝えてくれた。その岩木山は人によって「ゴリラの背中」に見えるのだそうだ・・・・まったく馬鹿なたわごとかもしれないが、この放送を聞いて、やっと、なぜ今回、この地に来たのか分かったような気がした。まあ、何かの「縁」なんだろうなあ。けど、旅行に行くと、こんなことばっかりだなあ。やたらな「関連付け」は精神の危ない兆候だから、十分気を付けてはいるのだけど、さすがにこれはやり過ぎだなあ。まあ、このおかげで味気なさに「もう帰りたい」と思っていたこの旅に、急に意味が見いだせた気がした。モノクロームの旅が急にカラーになった感じ。と言うわけで、少しドキドキしながら、この日は眠りについたのでした。

                                 続く