受験でめちゃくちゃ忙しい時期ではありますが、久々に肉眼彗星(目で見える彗星)が来てしまいました。その名も「ZTF彗星」。「Zwicky Transient Facility」と言う巨大な天体観測施設が発見した彗星だから、頭文字を並べて「ZTF彗星」なのです。ほんの数十年前までは、ほとんどの彗星は人間が、実際に双眼鏡や望遠鏡で見て発見してました。特に日本人は極めてまじめに観測するので、世界的に有名な彗星探索者(コメットハンター)がたくさんいて、日本人の名前がついた彗星がたくさんありました。本田さん、池谷さん、関さん、木内さん(この方とは星まつりで実際に酒を飲んだことがありますが、とても気さくで面白い方でしたよ。)等々、世界的なコメットハンターが群雄割拠していたのです。例えば、この下の写真の「百武彗星」。読んで字のごとしで「百武さん」が見つけたものです。

これは私が当時撮影したものですが、彗星の頭から、尾の先までほぼ空を覆うほどの大きさでした。これを見た時、天文マニアはみんな「生きててよかった。これでいつ死んでも悔いはない」と言ったものです。しかし、最近は、観測機器の高性能化、自動化により、天文台自身がロボットのように彗星を発見することがほとんどになってしまいました。と言うわけで、彗星の名前も今回みたいに「ZTF彗星」。ちょっと味気なくてさみしい気もしますが、時代の流れですね。

↓百武彗星 私が今まで見た最大の彗星 

さて、今回も急な山行で、近隣の天文台勤務の先輩にお声かけ。

途中、美味しいお蕎麦屋さんでいつもの天ざる蕎麦を。

で、一番天気が良さそうだった、栃木の山「御亭山」に向かったのでした。ここは栃木の星友達が一押ししていたので、まあ、大丈夫だろうと。しかし・・・・夕暮れ時に来てみると、電波塔の周りに、しっかり街灯が何本かついている。これはもしかしたら夜に点灯するのか。明るいと星が見えなくなる。すぐに栃木の連中に電話。すると・・・・・「ああ、ごめんね。そこ街灯がついて明るくなって星が見えなくなったんで、みんな行かなくなっちゃたんだよ。」

ううううう。しかたなく、夕暮れ時に、撤退。他の山を目指すのであった。

暗闇の中、知らない山に行くのは無謀である。というわけで、車で1時間ほどかかるが、いつもの茨城の尺上山を目指すのであった。途中、気温が恐ろしく低下するのがわかる。なんでこんなに寒いのだ。我慢しきれず、途中にあった立ち寄り温泉に入る。いや~、この温泉がなかったら、これから後の極寒観望はできなかったかもしれないね。温泉様様。

 

とりあえず、いつもの尺上山に到着。すぐに望遠鏡をくみ上げ、山小屋を借りて夕飯を作った。今回はもつ鍋、この時すでに夜9時半。

山小屋には・・・・・この時期、この寒さなのに大きな峨が居た。冬眠、なのか?

あまりに疲れていたので、仮眠。起きたのは10時半。

さて、観望開始!この尺上、実は北の空が山で覆われ、観測しずらい。そしてこの「ZTF彗星」は今回は北の空なのだ。時間的に午前2時ごろにならないと見られる高さまで上ってこない。というわけで、他の天体を見ながら彗星が上ってくる時間を待った。さて、お判りになるだろうか。

親切な私は例によって〇で囲ってあげましょう。

え?わからない?では、超望遠で写した写真をお見せします。(これは、撮影したのは私だけど、画像処理してくれたのはプロの先輩です。)頭が緑できれいだね。だけど、さすがに肉眼ではこんなに奇麗には見えないよ。写真は露出をかけるから、色が濃く映る。

前回、地球に接近したのは5万年前。ネアンデルタールが生きていた時代だ。(それから1万年後、ネアンデルタールは絶滅している。)

次にまた帰ってくるのはやはり5万年後。その時、人類はどうなっているのだろうか。新人類が、今の私たちと同じように「前回の接近の時はホモサピエンスはまだ生存していた。」とか、言っているかもしれないね。

結局4時半ごろまで観望していて、寝たのは朝5時。起きたのは9時。

さて、朝。外に出しておいた4リットルペットボトルの水が完全に凍っていた。

それどころか、クーラーボックスに入れておいたトマトジュースがシャーベットになっていた!こんなことは初めてだ。

で、山頂の神社にお参りさせて頂いて・・・・

その前の岩の上の水も見事に凍っていた。

遠くの山並みもみんな雪景色。奇麗だ~

こちら方面の白く輝く水平線は遠くの海面だ。

で、帰路に就いたのだった。

途中でやはり美味しいそばなどを。最近、茨城の蕎麦屋さんの腕が上がってきたような気がするなあ。どこで食べてもあまり外れがない。

しかし・・・・途中で受験生から電話あり。勉強を見てほしいようであった。で午後6時に帰宅した後、午後7時から10時まで授業。さすがに、この日はそのあと、気を失うように8時間寝てしまいました。こんなこと、何歳までできるんだろ~

今回は、彗星も星もばっちり見えたし、蕎麦も美味しかったし、温泉も楽しめたし、地獄の授業もやったから、まあ盛りだくさんの超高密度な日だったね。