とにかく、夏期講習でアップする時間などありませんでした。ごめんなさい。7月からの「出来事」を順次アップさせていただきますね。

 

まず7/2(土)、天気予報だと、北関東は完璧な晴れ!これは星を見に行かねばなるまい!とさっそく支度。例によって近所の天文台勤務の先輩に声掛けしていつもの那須岳めざして出発。ああ、それなのに・・・・・高速道路走行中、先輩にスマホで天気確認をしてもらっていたところ・・・「北川君、那須付近は雨だよ。」

え?そんなばかな。出発直前に確認した天文専用お天気予報サイト「アストロGPV」では完璧なまでの晴れだったはずなのに・・・・先輩は、さらに新しい天気予報サイト「SCW」を見ながら「この辺ではそうだねえ。福島の北部、浄土平あたりなら晴れそうだよ。」と。ああ、さすがに天文台の人だ。そんなサイト全く知らなかった。なんでも観測できるメッシュがより細かくなっていて的中率が上がっているそうだ。この時点でも旧予報サイトの「アストロGPV」では那須は晴れ予報だからね。しかし、確かに高速で那須に近づけば近づくほど天気は悪くなってくる。さすが新サイト「SCW」の方が予報精度が高い。

 

いやいやいや・・・・しかし福島は先週、星まつりで行ったばかり。とんでもなく遠いし。大体、この地図見て頂戴。下の赤い円が柏。そのうえが那須。浄土平は一番上の円です。那須までの倍くらいあるでしょう。ついたとしても夜ですよ・・・・

「ここまで来たら、せっかくだから晴れそうな所へ行こうよ。」という先輩の言葉に押され、そのまま浄土平へ向かうことに。

結局「浄土平」についたのは夜暗くなってからだった。ついた直後は、とても現場の写真など撮るゆとりもなく、とにかく、望遠鏡の組み立て、夕飯とバタバタしとりました。ごめんなさい。ただ、ここは天文屋たちのメッカなので、本当に大量の天文マニアがいて、場所取りが大変。(本当は誰もいない山で静かに星を見るのが好きなんだけどね。)

しかしさすがに、福島北部、かつ、標高が高いだけあって、天の川が濃い。いつもの那須岳よりワンランク以上は空がいい。わかると思うけど、真ん中の「光る雲」みたいなのが天の川、いわゆる我が天の川銀河の中心方向だ。

こんな感じで一晩中観望しまくっておりました。

見た天体は・・・・・先輩が一生懸命「電子観望」機器で星雲星団スナップ撮影をしてくれて律儀にあとで送ってくれました。僕の望遠鏡で見た天体とほぼ同じでございます。しかし・・・・ずいぶん一晩で見たものだなあ。

 

NGC7662 真ん中に星とは明らかに違う青い色の天体が見えるだろう。これは「スノーボール」とも呼ばれているガス状星雲だ。

NGC7479 系外銀河(つまりこれ一つで太陽(恒星)を数千億したがえる小宇宙)

左右に伸びた二本「腕」が良くわかる。

NGC7331 これも系外銀河

NGC6946 これも系外銀河。渦巻いているのが良くわかるだろう。「花火銀河」とも呼ばれる。これもきっと中心部には大型ブラックホールが控えてるのだろうなあ。ダンジョン最奥のラスボスみたいだ。

二重星団 「漆黒のベルベットに宝石箱をひっくり返したよう」と良く形容される散開星団。双眼鏡で見ると本当に奇麗だ。散開星団とは、数十~数百の星々が集まっている星団の事。これ以上密集してくると「球状星団」と呼ばれるようになる。

NGC404

 

 

M81,82 二つとも系外銀河。かつてはもっと接近していて、その時の重力の相互作用で右下のM82は不規則ないびつな形になったようだ。中心部では爆発的な星形成が行われている。この二つの系外銀河が一つ視野にぽっかり浮かんでいるのを見ると、時のたつのを忘れます。

M57 こと座の環状星雲。星の爆発した後の残骸だ。

M56 こと座にある球状星団。ちょっと小さめ。

M51 子持ち星雲 二つの銀河が衝突しつつある。そのうち一つになるだろう。

M39 白鳥座にある散開星団

M31 ご存じアンドロメダ大星雲。わが「天の川銀河」のお隣の大型銀河だ。あまりに近いので、数億年のうちに我が「天の川銀河」と衝突するらしい。その時人類が生きていたら、今まさに落ちてきそうな、夜空一杯にひろがるアンドロメダ大星雲をどんな感情で眺めているのだろうか・・・・

M27 亜鈴状星雲 「鉄亜鈴」に形状が似ている?まあ、リンゴを両側からかじった形、もしくは地図記号の「銀行」だね。眼視だと色は見えないけど、写真に撮ると下のように透明感のあるグリーンに写る。もちろんガス状星雲

M15 球状星団

M13 北半球最大の球状星団。ヘラクレス座にある。球状星団はどれも我が天の川銀河の辺縁部に存在し、年老いた恒星(太陽)が10万~100万個ぐらい集まって形成されている。我が天の川銀河には150個程度が存在している。(より巨大なアンドロメダ銀河には500個程度存在。)いわば銀河の星々の老人ホームである。望遠鏡の視野いっぱいに広がる星々の集合体を眺めるのは至福の時である。まさに神々の視座だ。

M7 さそり座の散開星団。双眼鏡など、低倍率で見ると美しい。

M5 球状星団

M86 その他系外銀河多数 明らかに星ではない、いびつな形のものはすべて「系外銀河」どの一つとっても数百億の星々を従えている。この中に、どれだけの生命があるのだろう・・・人類みたいなのも、それころ「星の数」ほどいるに違いない。あちらさんも、きっとこちらを望遠鏡で覗いているんだろうなあ。

さて、朝。そらは結構曇っていた。それでもあれだけ星が見えたのだから、快晴だったらさぞや美しい星空だっただろうな。

あたりを見ると・・・・昨夜に比べて相当撤退している。昨夜は本当に星屋だらけだった。

山肌をよく見ると・・・・・噴煙が上がっているぞ。さすが活火山。

動画でどうぞ。

あたりの山を見渡すと・・・・・なんと、一点だけ白い部分があった。なんだろう?と思って超望遠撮影をすると・・・・雪だ!この猛暑の7月、ふきっさらしのようなこの場所でここだけ大量の雪が残っている。これはいったいなぜだろう?

で、ここが星屋のメッカであるもう一つの理由。ここには一般公開の天文台があるのだ。

なかの天文台職員の方々はずいぶん懇意にしてもらいまして(まあ、一緒に行った先輩が国立天文台の職員だからあたりまえか。)下界に降りた時の美味しい蕎麦屋なんかも聞き込んで、あとで大変に役立ちました。

で、ちょっと周辺をハイキング。まるで「ミニ尾瀬」です。

高山植物も散見されてうれしい。

ところどころに小さな沼もありました。

高山湿地帯でございます。

で、下界に降りる途中、温泉などに。

周囲にこんな古き良い温泉場が散在。

たっぷり温泉を楽しんでまいりました。

そして、最後に、あの天文台の方々に聞いてきたお蕎麦屋さんに。閉店時間数分前、どころかもう「本日終了」の看板が出ていたのに(左下、けられてしまっている黄色い看板)、お願いしたら入れてくれた。ああ、福島の人は良い人です。

店内。うんうん、まじめにやっている素晴らしい蕎麦屋さん。

待ちに待った蕎麦。うんうん、ちゃんと美味しい10割蕎麦です。今度来た時もきっと立ち寄らせて頂きます。ありがとうございました。

二週連ちゃんで福島はさすがにきつかったけど、まあ、思う存分星見はできました。満足でございます。