教室前の道路に何やら・・・・・
う、これは「シオヤアブ」だ。国内昆虫最強の暗殺者(アサシン)とも言われる。
じっと物陰に隠れていて、前を飛翔するものなら、それがオニヤンマだろうが
スズメバチだろうが、後ろから急襲し、柔らかい体節の部分に、ぶっとい口吻を
突き刺して体液を吸い取り、殺す。まさに「暗殺者」
今回は、コガネムシが標的になったようだ。
しかし、飛翔している昆虫の、それも一番柔らかい弱点を狙い撃ちする、
ってどんだけなんだ。人類は、ここまで進化してやっと飛んでくるミサイル
の迎撃に成功、とか言っているのに、この「シオヤアブ」は当たり前の
ことのように、おそらく何千万年前、下手をすると数億年前からやっている
と思われる。(ゴキブリだって3億年前に出現しているからね。)
これは、単なる外観的進化だけでできるわけがない。いろんな種類の飛翔
昆虫に合わせて、より洗練された脳内の高度なプログラミングが必要だ。
脳内プログラミングを縦横無尽に進化させ「本能」まで昇華させた結果、
ということになるのだろうが、自然選択で本当にそんな事が可能なのだ
ろうか・・・・ とか、思ってしまうま。
あとで、中身を吸い出されたコガネムシをひろって写真を撮った。
まさに、「飛んでいる最中に襲われて、羽の付け根の所にある柔らかい
隙間にぶっといストローを突き刺されて殺された。」まんまの死に方だ。
「必殺仕事人」を彷彿させる。
コナン君や金田一少年ならこのコガネムシの遺骸を見たら叫ぶだろう。
「犯人はシオヤアブだ!」と。
ああ、また違う日も自転車の車輪の下にシオヤアブに襲われて死にかけのコガネムシが・・・・
こいつも、すごい正確さでコガネムシのかたい羽根の根元の柔らかい
所に口吻をストローのようにぶっ刺している。上から抑え込んで生き血
をすすっている様が怖すぎる。コガネムシ、成仏してくれ。
結局、前の桜の巨木の葉を食べにコガネムシが大量に集まる。その
コガネムシを食べに暗殺者「シオヤアブ」が集まるのだ。生態学の
世界だね。教室の前でもこんなすごい世界が広がっていて、僕に
自然の摂理の一端を垣間見せてくれる。
生物や天文などの「自然科学」を興味の対象としていて、本当に
良かった、と思うのはこんな時だ。たとえ今後どんなに落ちぶれて
しまったとしても(今もそうかもしれないが・・・・・・)、すぐ目の前には
生物たちの圧倒的な世界が広がっているし、空を見上げれば無限
の宇宙が広がっている。自然科学愛好者は幸せなのだ。
どんな生活を送ろうと、退屈だけはぜったいにしない。