最近、「電気モグラ」とか「電池電車」という実験がはやっているらしい。
いろいろ調べてみると、ちょっと磁石で細工した電池が、コイルの中を
まるでトンネル内を進むがごとく動いていくものらしい。
面白い!これは、理科の「電流」「磁界」の分野の応用そのものやんけ!
で、さっそく装置を作り始めたのであった。
で、大変なのは、モグラのトンネル=銅線をつかったコイル の制作だ。
これはやった人ならわかるだろうけど、人力では気の遠くなるような作業
なのである。
まずコイルを作るには、そのコイルを巻く「芯棒」を探さなければならない。
電池に装着させるネオジウム磁石の径は13mm。つまりコイルのトンネル径も
13mm~14mmくらいで探さねばならないのだ。13mmではきつきつではない
かって?いや、銅線のコイルは作った後、適度にダレるので、ちょうどいいくらい
の径になるのだ。
で、探しましたよ、「芯棒」を。
じゃ~ん。見つかったのは、100円ショップからは「棚のツッパリ棒」108円。
ちょうど径は13mmなのだけど、よく見ると真円度が悪い。コイルが真円
にならないと、磁石が引っかかるので残念ながらパス。
で、次にホームセンターへ行って探す。
すると・・・・・素材コーナーで、ちょうど13mm径のアルミパイプを発見!
真円度も最高!値段も500円と手ごろ。売り場の前で小躍りしてしまった塾長
であった。(上がツッパリ棒、下が1m長のアルミパイプ)
さて、実験的に5mの銅線を巻いてみる。い~とを巻き巻き、い~とを巻き巻き♪
ううううう、5m巻くだけで30分くらいかかった・・・・その上不ぞろい。
う~ん。これは、銅線を巻くときに、パイプの上をくるくる一緒に回ってしまって
力がかけられない事が原因である。いや、この巻きにくい事と言ったら。
テープで固定しようと思ったが、テープ部分でパイプの径が大きくなってしまい
できたコイルが真円にならなそうでいやだなぁ。
パイプから抜いた時もこんな感じです。ダメダメだぁ。
で、一計を案じた。パイプの先端に極めて小さい穴を開ける。ここに銅線を
ひっかけると、これがまたウソみたいに上手くいったぞ。
銅線はしっかり固定され、力がうまくかかって銅線は規則的にアルミパイプに
巻き付いて行ってくれたのだった。
途中、あまりの指仕事に、指紋が喪失してしまいそうだったので、軍手をはめる。
うん、我ながら実験職人の技だ。
固定されない時の、およそ「3倍」くらいの速さで、かつ、ずっと緻密に巻き終わったぞ。
45mの銅線をコイルにして1mのアルミパイプをちょうど埋め尽くすのに2時間だった。
本当に、嘘みたいに正確に「1mコイル」つまり「1mトンネル」が出来上がったぞ!
しかし・・・・この実験が、面白いわりにあまり行われていないのは、このコイル巻きの
「大変さ」が原因なのだろうなぁ・・・・・
さて、今度は、電気モグラ(電池電車)の本体を作る。これは簡単。
単4電池の両サイドに100円ショップで購入した13mm径のネオジウム磁石を
付けるだけ。ただ、この時、NとSの向きに注意しなけらばならない。
電池の両サイドに同じ極が向かい合うようにつかなければならないのだ。
下の写真を見てほしい。プラス極にもマイナス極にも、ネオジウム磁石が
3個づつついているが、この場合、両方の磁石とも外側がN極になるように
付けてある。
磁石の数は、4個だと重く、かつ長くなって、コイルが曲がっている部分では
引っかかりやすかった。3個ぐらいが良いと思うけど、みんなもいろいろ試して
みてね。僕は電池の種類や磁石の個数等、いろいろ試してみたよ。
さて、実験 その1
では、例の「1mトンネル」を通過させてみましょう。これは見ごたえあります。
さて、ではなんでこんなに面白い事が起こるのだろう。
電気と磁石の磁力は、実は兄弟みたいなものだ。電気が流れると磁力が発生するし、
磁力が動くと電気が流れる。 コイルに電気を流して「電磁石」を作ったりしたことある
でしょ?あれは電気の流れで磁力が発生している。また、自転車のライトを光らせる
発電機、あれは中に磁石が入っていてタイヤの動きに合わせて中をぐるぐる回転する
ようになっている。その時磁力が動いて「電気」が発生するんだ。このように、電気と
磁力は密接な関係にあるよ。
さて、このネオジウム磁石の表面はニッケルメッキが施されていて、電気が流れるよう
になっているよ。これを通電性のある(電気の流れやすい)銅線コイルのなかに入れると
当然、コイルの中を電流が流れる事になる。すると・・・・・コイルは「電磁石」になって、
磁力が発生することになるのだ。この時、どちらがN極かS極になるかは、①電流の流
れる方向(電池の+-、どちらにつなぐか)と②コイルの巻く向き(右巻きか左巻きか)
によって決まってくる。
この実験ではコイルは「左回り」つまり「反時計回り」に巻いてあるよ。そして、電池の
「プラス極」から電気がネオジウム磁石(のニッケルメッキ)を伝って銅線のコイルに
流れる。この場合、電池のプラス極の前部分が「S極」、マイナス極の後ろ部分は
「N極」になる。
この電池は、プラス極もマイナス極も磁石が「N極」が外を向くようにしてあるから、
電池前部は、前方に発生したS極に引っ張られ電池後部は後ろに発生したN極に押される。
で、電池はそれ自体が電車になって、すごい勢いでトンネル内を前方に動いていくことに
なる。これ、手書きの図を描いたから見てみてね。
で、上の事を理解するために、もう一度だけ苦労して、コイルを作った。
今度は、「反対方向」に銅線を巻いたよ。つまり時計回りコイルだ。
こうすると、コイルに発生するNSの極性が逆になり、電車は逆に押し返される
ことになる。
今回は、ちょっとマジでやってしまいましたね。生徒は大喜びだけど、この変形しやすい
銅線コイルをいじりまくるので実験週間は毎晩修繕するのが大変です。