さて、ネジをまわしてセルの三角板を3枚はずすと、強力接着
された18点のパッドが見えてくる。力づくではまったく歯がたたない。
で、接着剤を溶かしてくれそうな有機溶媒を次々試していく。
まず、除光液。成分はアセトンだ。一日つけたけどまったく変化なし。

パッド
アルコール系からいろいろ試したがぜんぜんダメ。
と・こ・ろ・が・・・・・ペイント薄め液、いわゆる石油系のシンナーに浸すと
半日で柔らかくなり始めた!で、一気に剥離。大成功!

さて、次の難問は・・・・
ニュートン式反射望遠鏡は2枚の鏡を必要とする。そう、もう一枚の
鏡、斜鏡の方だ。これがその斜鏡。副鏡とも呼ばれる。

斜鏡(副鏡)
こちらも金具に接着がなされているが、こちらの接着剤は、種類が
ことなりまったく有機溶媒でも溶けない。で、しかたないので、物理的
に・・・・・・・

包丁で
包丁では文字通り「刃が立たず」ありとあらゆる刃物を用意する。

ありとあらゆる刃物で
結局、金属ベラが一番効果的であった。

結局金属ヘラで
で、割れないように4重にプチプチに包み、予め用意していたタライに
つめ、厚めのベニヤで蓋をして、再メッキを引き受けてくれる工場に
送ったのだった。

タライ

ベニヤ蓋
大体、再メッキには2週間位かかるようで、その間にエンコーダー
(角度検出器)周りのチェックにはいる。最近、天体の導入精度が
かなり落ちているのだ。これはきっとエンコーダー周囲に問題が
起こっているに違いないのだ。
これが望遠鏡の水平回転部分。この上で、100キロの望遠鏡が
ブン回るのであった。

水平回転部
この中心軸が怪しい、と睨んでいたのであった。
で、実は、金属加工のプロの友人に新しいボルトの加工を依頼して
おいた。上が新しい中心軸となるボルト。下が今までのボルトである。
違いがおわかりだろうか。

12mmボルト
そう、古いほうが、回転による摩耗で若干細くなっているのだ。

摩耗
この「若干」の摩耗が、エンコーダーに誤差を与えてる可能性が
ある。で、交換。ちなみに友人に頼んだ加工とは、このボルトの中心
にエンコーダーの軸を入れる穴を開けることであった。ど中心に
綺麗に真円の穴を開けるのはとんでもなく難しいのだ。

エンコーダー取り付け穴
で、架台の方はメンテ完了。あとは鏡を待つばかり。
で、やって来ました。

待ちに待った鏡到着
中には、まばゆいばかりのメッキしたての反射鏡が!

みよ、この燦然と輝くミラーを
で、まず、セルを組み立てる。パランスを綺麗に取るために
シンメトリーを利用して、輪ゴムを対角線上にかけてど中心とする。
子どもたちよ!算数や数学はこんなところでも役に立つのだよ!
けっして徒や疎かにはするまいよ。

セルの組み立て
で、接着材をパッドに塗布。

パッドに接着剤塗布
で鏡をセット。メッキしたては、本当に美しいなぁ。

ああ、なんと美しい
で、試験を兼ねて、山に星見に行ったのだった。このワクワク感は
たまらんね。

続く