台風上陸の一日前、それでもココらへんはかなりの雨が
続いていた。
さて、小学生の授業が午後6時に終了。うちの塾は次の中・高
の授業まで30分だけ空きがある。この間に、歩いて1分の自宅
に帰り、夕食を食べるのだ。

さて、この日、塾を出られたのは午後6時5分であった。
雨の中、「1分だから」と傘もささず家に戻ると・・・・・・

「すいません。」

自宅前で誰かが僕を呼び止める。

振り返ると・・・・近所のお兄ちゃんであった。(といっても40才代?)

どんどん濡れながら

「どうしました?」と聞くと

「旗が倒れているんですが・・・・」

「へ?旗?」

私はもしかしたらうちのノボリが倒れているのかと思ったが、

塾のノボリは倒れていない。

「旗は倒れていないようですが?どちらの旗ですか?」

「ハタが倒れているのですが・・・・」

彼は傘をさしていたので、私だけどんどん濡れながら、

「へ?へ?ハタ?」

「違います。ヒトです。人。」

雨の音で、ヒトがハタに聞こえていたらしい・・・・

それからは大変だった。

「え?どこですか?どこに人が倒れているんですか!」

「あちらです。一応、救急車を呼ぼうか尋ねたのですが『大丈夫です。』
と言われました。」

私は彼と、現場に急いだ。すると・・・・・

おじいちゃんが道端でひっくり返ってずぶ濡れになっていた!

助け起こすと、なんと近所の知っているおじいちゃんであった。

「大丈夫じゃ、大丈夫じゃ。」としか言わない。けど、立てない。

意識がはっきりしている事は確認して、抱き起こして、すぐ近く

のおじいちゃんの自宅にむかった。(ここで意識がないと、下手に

動かすと危険だ。)

奥様がすぐに出てきて「帰りが遅いと思ったら!」と。

「脳梗塞の可能性もあります。すぐに病院に行かれる事を

お勧めします。」とおじいちゃんを引き渡した。

たしか、この奥様は薬剤師の資格を持っている方だから、

私の話は十分に通じただろう。

で、ヌレヌレの状態で我が自宅に6時18分着。

大騒ぎがあったように思ったが、時間的に10分少々。

10分弱で、夕食を食べ、教室に戻った。

あのおじいさん、大丈夫だったろうか。そろそろ様子を

見に行くか。