デング熱の感染拡大が止まらない。今回はこの「デング熱」についてちょっとお話を。
デング熱は、デングウィルスを持っている蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)
に刺されることによって感染する。ただ、デングウィルスに感染すると、みんな
発病するとは限らない。だいたい、熱が出る等のなんらかの症状がでる人は2割、
特に重い症状を示すのは5パーセント程度の人、と言われている。では、残りの
8割の人は病気にかからず直ったのか、というと決してそうとは言えないところが、
この病気の怖いところなのだ。
8割の人は病気にかからず直ったのか、というと決してそうとは言えないところが、
この病気の怖いところなのだ。
中には、ウィルスを体に宿したまま、まったく健康に見える「不顕性感染」の
人も出てくるのだ。こういう人は「キャリア」(運び屋)になってしまう。
ウィルスにしてみれば、人の体と「ガチ」で戦って、
ウィルスにしてみれば、人の体と「ガチ」で戦って、
人を殺してしまうより、適当なところで「折り合い」をつけ、長期にわたって
人体に住み着く方が都合がいい。人を殺してしまうと、ウィルスも住むところが無
くなって元も子もなくしてしまうからだ。
くなって元も子もなくしてしまうからだ。
(だから殺人ウィルス、「エボラウィルス」は、まだ人間と折り合いがついていない、
要領の悪いウィルスと言えなくもない。)
要領の悪いウィルスと言えなくもない。)
だから、これだけデング熱を発症する人が出てきた、と言うことは、相当数の
「不顕性感染」のキャリアがすでにいる、ということを示しているのだ。
代々木公園内にも、すでに「デングウィルス培養体」になっているキャリアが
多数存在してしまっているのではないか?と僕は思っている。
代々木公園内にも、すでに「デングウィルス培養体」になっているキャリアが
多数存在してしまっているのではないか?と僕は思っている。
絶対に、「海外から来た感染者が『たまたま』蚊に刺されて、その蚊が
『たまたま』人を刺した」のではない。濃厚な感染源が存在する、
と考えた方が自然だろう。
『たまたま』人を刺した」のではない。濃厚な感染源が存在する、
と考えた方が自然だろう。
このデングウィルスは蚊の腸管以外では、霊長類(猿の仲間、もちろん
僕たちヒトも含まれる)の体内でしか増殖できない。代々木公園で野生
のサルが大量に生息している、と言う話は聞かないから、キャリアは
僕たちヒトも含まれる)の体内でしか増殖できない。代々木公園で野生
のサルが大量に生息している、と言う話は聞かないから、キャリアは
おそらく、「代々木公園に住んでしまっている人たち」だろう。ここは、
一刻も早い検査が必要だ。このままにしておくと、まだまだ感染者は
増えることになる。
一刻も早い検査が必要だ。このままにしておくと、まだまだ感染者は
増えることになる。
デング熱を運ぶのは、ネッタイシマカやヒトスジシマカ、とお話ししたが、
実はネッタイシマカは日本にはいない。だから今回デング熱を増やして
いるのは、日本に極めて普通にいるヒトスジシマカ、ということになる。
厚生労働省が「冬には収束に向かう」と言っているのは、実はこのため
なのだ。ヒトスジシマカは冬には生存できない。秋に産卵して成虫は死に、
卵で越冬するのだ。そして、成虫から卵へのデングウィルスの感染は
ほとんどない、とされている。これが「収束予想」の根拠だ。
実はネッタイシマカは日本にはいない。だから今回デング熱を増やして
いるのは、日本に極めて普通にいるヒトスジシマカ、ということになる。
厚生労働省が「冬には収束に向かう」と言っているのは、実はこのため
なのだ。ヒトスジシマカは冬には生存できない。秋に産卵して成虫は死に、
卵で越冬するのだ。そして、成虫から卵へのデングウィルスの感染は
ほとんどない、とされている。これが「収束予想」の根拠だ。
もともと、日本のヒトスジシマカはネッタイシマカに比べ、デングウィルス
の伝播力が格段に弱い。これに比べ、ネッタイシマカは、もともと体内で
デングウィルスを増やしやすいうえ、ほとんど「人」専門の吸血昆虫なので、
人を主な宿主とするデングウィルスにとってはまったく理にかなった乗り
物なのだ。だからこそ厚生労働省発表は「近々収束するでしょう。だいたい、
日本には、たいしたことない『ヒトスジシマカ』しかいないですし。」という感じ
なのだろう。
の伝播力が格段に弱い。これに比べ、ネッタイシマカは、もともと体内で
デングウィルスを増やしやすいうえ、ほとんど「人」専門の吸血昆虫なので、
人を主な宿主とするデングウィルスにとってはまったく理にかなった乗り
物なのだ。だからこそ厚生労働省発表は「近々収束するでしょう。だいたい、
日本には、たいしたことない『ヒトスジシマカ』しかいないですし。」という感じ
なのだろう。
では、これから起こるかもしれない少し怖いお話しをしよう。
下図を見てほしい。
以下にならない地帯、ということになる。そしてこの条件こそが、
「ネッタイシマカ」の生育条件なのだ。温暖化により、この領域は
拡大を続けている。すでに台湾がこの領域に入ってしまって
北半球、南半球における月平均気温が最低10度の線である。
つまり、この赤道をはさんだ2本の線の間は、月平均気温10度以下にならない地帯、ということになる。そしてこの条件こそが、
「ネッタイシマカ」の生育条件なのだ。温暖化により、この領域は
拡大を続けている。すでに台湾がこの領域に入ってしまって
いるのがわかるだろう。実際、台湾ではこのネッタイシマカの発生
が確認されており、それに付随してデング熱も流行を繰り返すよう
になってしまった。また図から、日本もこの領域に入りつつあること
はわかるだろう。
が確認されており、それに付随してデング熱も流行を繰り返すよう
になってしまった。また図から、日本もこの領域に入りつつあること
はわかるだろう。
都市部のヒートアイランド現象で、局所的には、ネッタイシマカの
繁殖適地になっているところもすでにあるのではないのだろうか。
空港が「繁殖適地」にでもなったら、飛行機にたまたま乗ってきた
「ネッタイシマカ」はそのまま定着、デング熱大流行、なんてことも
ありえるのである。
繁殖適地になっているところもすでにあるのではないのだろうか。
空港が「繁殖適地」にでもなったら、飛行機にたまたま乗ってきた
「ネッタイシマカ」はそのまま定着、デング熱大流行、なんてことも
ありえるのである。
温暖化は、最近頻発する異常気象を引き起こすだけではなく、
こんな厄災も引き寄せてしまうのだ。
こんな厄災も引き寄せてしまうのだ。
蚊によって媒介される恐ろしい熱帯性の病気はマラリアや
ウェストナイル熱、日本脳炎等まだまだたくさんある。
温暖化の波に乗り、それらの病気が続々と日本上陸の機会
をうかがっている、と肝に銘じておいた方がいい。
ウェストナイル熱、日本脳炎等まだまだたくさんある。
温暖化の波に乗り、それらの病気が続々と日本上陸の機会
をうかがっている、と肝に銘じておいた方がいい。