僕が去年まで理科講師として赴任していた高校の卒業式があった。

実は、この高校の校長から理科講師を頼まれた時、不遜にも一つ条件を出させてもらっていた。

「講師を引き受けさせて頂くにあたり一つだけ条件を出させていただきます。」

{え?」

校長先生と教頭先生は、ちょっとのけぞった感じだった。

「卒業式に出させていただきたいのです。」

先生方はほっとした様子で

「そんな事ならお安い御用です。生徒たちも喜びますよ。」

「僕がこの学校を辞めた後でも、教え子が残っている限り卒業式には出席させていただいて

よろしいですか?」

校長先生と教頭先生は、最初ハトが豆鉄砲を食らった顔をしていたが

「分かりました。」

と快く了承してくれた。


このたび、校長先生は約束を守り、私に今年の卒業式の招待状を送ってくれた。


卒業式はいつ出席しても、なんか胸が締め付けられる。この学校という特別な環境で、あいつら

と勉強したり、遊んだり、いろんなことをしたが、少なくともこの面子では、それは二度とかなわぬ事

になる。本当はあいつらの大きな晴れ舞台。喜んで、盛大に送ってやらなければならんのになぁ。

ダメダメ講師だなぁ。


新世代学習塾ポラリス塾長のひとりごと-卒業式