クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル。 | 江戸の杓子丸

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化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書


「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」

88分 日  2000年

監督 原恵一

製作 茂木仁史 太田賢司 堀内孝
原作 臼井儀人
脚本 原恵一
音楽 荒川敏行 宮崎慎二
撮影 梅田俊之
出演 矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 こおろぎさとみ
    玄田哲章 大塚明夫 小桜エツ子 徳丸完 ほか


【完全ネタバレ】



「正義の味方はかっこいいんだゾっ! 強いんだゾっ!! 悪者なんかに負けないんだゾっ!!!」。☆☆☆★★



〔ストーリー〕
 「アクション仮面」最新作映画の上映を行う客船ツアーに参加していた野原一家だが、突然現れた謎のサル軍団によって大人たちはさらわれてしまう。
 
 しんのすけをはじめとする残された子供たちは、大人救出のために勇気をふりしぼって密林に覆われた孤島へ上陸する。
しかし、そこには“パラダイスキング”率いるサル軍団が待ちかまえているのだった・・・。


劇場用映画第8弾。

原恵一監督作品としては4作目。


今回は、しんのすけが大好きな「アクション仮面」が全編にフィーチャーされた作品。

冒頭からアクション仮面のアクションシーン。

そしてTVコマーシャル、南海へのクルーズ「アクション仮面」最新作映画の船上試写会への誘いとつながる。


その後にタイトルなんだけど、このタイトルの出し方がいい。
なんか原監督っぽい。


物語は簡単で、
南海の孤島へのクルーズ客船上で、「アクション仮面」の最新作映画を上映するツアーにしんのすけたちは参加する。

しかし、航行の途中、謎の猿軍団に船をのっとられ、大人たちは連れ去られてしまう。

しんちゃんら春日部防衛隊は、大人たちを救うため近くの孤島へ上陸する決意をするのだった、という具合。


客船にて水着でゆったりと日光浴するしんちゃん。
「春日部はあいかわらず平凡で退屈な毎日なんでしょうな~。」

その春日部は、しんちゃんがいない事で、平和の日々という(笑)


中盤は、ジャングルを行く春日部防衛隊のドタバタでTV版を観てるような雰囲気。

しんちゃんの妹・ひまわりが愛犬・シロと二人っきりで、孤島へ行ったしんちゃんを追いかけジャングルをさまよい、見つけた途端安堵し泣き出してしまうところや猿軍団への怒りにかられた大人たちの良心となるところなどは、しんちゃんと共に子供の真っすぐなところを体現するほんわかないいシーンだった。


物語の後半、半分はずっとアクション。

それでも何か特別な雰囲気があって、ボケ~と観れる能天気な映画と割り切れない。

それは、おそらく孤島に住む猿軍団のボス「パラダイスキング」の強烈なキャラクターのためだろうと思う。

何というか、「ワンピース(1997~)」に出てきそうな豪快なシルエットと兇悍なルックスで、強い印象を残す。

一人、孤島に流れていったこの男は現地の猿たちと壮絶な戦いの末屈服させる事に成功し、その頭となる。
そして、その孤島を自身の王国と称し暮らしていた。

他の作品と違って、日本や地球を支配するだとか何か巨大かつ邪悪な陰謀を持つこともなくただ孤島で生きている一人の男が、今作品の敵キャラ。

スケールは随分小さいし実際こじんまりしたお話しになってはいるんだけど、それでも異端な感じで記憶に残るし、しかもこの後「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001)」や「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(2002)」を迎える事を思えば、ひとつ前のおバカあふれるクッション的な存在としていいのかも。



やっぱり印象的なシーンは、アクション仮面とパラダイスキングの決闘の際、しんちゃんがアクション仮面を、正義を心から信じ応援するところ。

しんちゃんのまっすぐさにひろしやみさえ、他の大人たちも感化され一緒にアクション仮面を応援するシーンは、素直に感動してしまう。


アクションは二段階になっていて、サシの決闘の後はしんちゃんも加わって小型ヘリコプターでの空中戦。

バッタバタとしのぎを削りつつ、何とかパラダイスキングをやっつけるしんちゃんとアクション仮面。

「正義は勝つっ!わ~っはっはっはっはっはっ!!」といつもの高らかな笑いで勝利宣言(笑)



とにかく、観ている子供たちをあきさせてたまるか、最後まで観させてやるという熱いモノを感じる後半のアクションだった。