「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」
99分 日 1999年
監督 原恵一
製作 茂木仁史 太田賢司 堀内孝
原作 臼井儀人
脚本 原恵一
音楽 荒川敏行 浜口史郎
撮影 梅田俊之
出演 矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 こおろぎさとみ
丹波哲郎 小川真司 家弓家正 引田有美 折笠愛 ほか
【完全ネタバレ】
心も洗う温泉。☆☆☆★★
〔ストーリー〕
埼玉県の奥秩父の温泉に出かけたふたば幼稚園の先生たちが怪獣を目撃。
一方、何者かに拉致された野原一家は、温泉「Gメン」と名乗る組織の秘密基地へ連行される。
実は彼らこそ悪の組織「YUZAME」と戦う正義の政府機関で、風呂を嫌って地球温泉化を企てる「YUZAME」から人々を守っていたのだった。
劇場版シリーズ第7作目。
原 恵一、脚本、絵コンテ、監督作品。
原監督は、日本人の琴線に触れるのがうまい人なんだな。
健康ランドや温泉、高度成長期や大阪万博、身分を超えた純愛といったテーマや舞台の選択が卓越してるんだと思う。
そして今作品も原監督らしく、銃撃戦のアクションや巨大ロボット、野原一家がひとつになってファイアーの展開だった。
オープニング・クレジットの曲は、また「とべとべおねいさん」(笑)
真面目に歌うアクション仮面(玄田哲章)と共に、好き放題歌うしんちゃん(矢島晶子)の歌声に脱力してふにゃふにゃになる。
でも、くせになるな(笑)
場面は野原一家に移り、しんのすけと妹のひまわりが遊ぶ横で父・ひろしが朝食を終え出勤の準備をする。
その際肩にまわして掛けていたネクタイを母・みさえが直して整えてあげる。
この辺の家族の日常をしっかりと描く、また流れるようにさりげなく家族の絆を描くところがホントうまいなぁ。
幼稚園が休みになったため遊びに出かけたしんちゃんは、道の真ん中に倒れるおじさんと出会う。
しんちゃんは何も言わず真似して倒れこむ(笑)
逆にそのおじさんが話し出してしまう始末。
「しんちゃん」らしい展開が痛快。
このおじさんは実は、不思議なパワーを秘めた伝説の温泉「金の魂の湯(略して、きんたまの湯)」に宿る精霊・丹波であった。
声は丹波哲郎があてている(笑)!
この後、野原一家は日本の温泉を守る秘密組織「温泉Gメン」(笑)に協力を要請され共に行動することになり、また風呂嫌いのテロ組織「YUZAME」と戦うことになる。
登場キャラクターの説明や場面転換が本当にスムーズで見事。
テロ組織「YUZAME」のボス・Dr.アカマミレが風呂嫌いになり地球を水没させる「地球温泉化計画」を企てるまでに至った動機は、元々大の風呂好きだった彼が常連の銭湯でいつも使っていた下駄箱の3番(長嶋茂雄の現役時代の背番号)、そのカギを誰かに持っていかれたためだった(笑)
そして、「日本の温泉を守る秘密組織」だとか、伝説の温泉につかる事でヒーローパワーを得るといったくだらなさの一方、アクションの細部がしっかり丁寧に描かれていておバカを支える。
埼玉を秩父から春日部へと横断する「YUZAME」の巨大ロボットを撃退すべく、「ゴジラ(1954)」の「怪獣大戦争マーチ」と共に陸自、そして空自が登場し戦闘となる。
対して巨大ロボットは「ゴジラ・メインテーマ」で応戦(笑)
しかし、「温泉Gメン」が警察を装いしんちゃん達を拘束する手口や、テロのような脅威への政府および自衛隊の対応や応戦はフィクションとして気楽に観ていられるけど、昨今それ程非現実的じゃないんだよね。
後半はアクションとなりラストへと減速することなく展開されるのは原監督作品らしいんだけど、野原一家は同行するだけであまり活躍の場はない。
ただ、今回は巨大ロボットと一家で戦うという見せ場がクライマックスに用意されていた。
温泉で心が洗われるテロ組織のボス・Dr.アカマミレと、彼が常連だった銭湯の3番のカギを盗んだ「温泉Gメン」隊長・草津の和解。
原監督作品にはいつも改心と和解があり、さわやかに終幕を迎える。
TV版でおなじみの「埼玉紅さそり隊」やボディランゲージで会話する本屋さんの店長らがちょろっと登場したりしてなんか嬉しかった。
本編の前に「クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉」という短編映画(「クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦」と同時上映、水島努監督)があって、そうとは知らず観ていて「なんだ、今回は随分攻めてるなッ!?」と驚いてしまった(笑)
これから観る映画のタイトルくらい把握してろよ。
なんかゲストキャラの巨乳率が高くなってきている。
みさえへの当てつけか(笑)