「大魔神」
84分 日 1966年
監督 安田公義
特撮監督 黒田義之
製作 永田雅一
脚本 吉田哲郎
音楽 伊福部昭
撮影 森田富士郎
出演 高田美和 青山良彦 藤巻潤 五味龍太郎
島田竜三 遠藤辰雄 ほか
【完全ネタバレ】
時代劇の根幹は変わらない。☆☆☆★★
〔ストーリー〕
戦国の世、丹波の国で謀反が起こった。前主を弑した左馬之助は過酷な労役を領民に課し、さらには村の守り神たる魔神像をも破壊しようとした。
だが、額にくいを打ち込んだ途端、突如として山崩れが起こり作業にあたっていた人足たちは土砂に呑み込まれてしまう。
左馬之助は魔神像の破壊をあきらめたが、前主の係累に対する追求はやめなかった。忠文の妹・小笹は、唯一の心の拠り所、魔神像に助けを求めるのだった・・・。
死ぬ前に一度くらい観ておかないと、と初めて観てみた。
想像していたのと全く違ったな。
まずカラーで驚いて、時代劇でまたビックリ。
1966年か、カラーで当然だな。
特撮時代劇というジャンルは面白い。
クライマックスまで普通に時代劇をやっていて、クライマックスは特撮で大魔神の大暴れ。
TV番組の「水戸黄門(1969~2015)」や「暴れん坊将軍(1978~2002)」とストーリーラインは特に変わらない。
悪がはびこり、正義が鉄槌を下す。
大魔神の正式な名前は「阿羅羯磨(あらかつま)」だそう。
その造形は、「ウルトラQ(1966)」、「ウルトラマン(1966~)」の怪獣造形を担当した高山良策が手がけた。
埴輪の武人像に着想を得たのだという。
農民の子供が父親を助けたいと、神様にお願いするため魔神の山に登る。
その際、山中の不気味さで疑心暗鬼になり存在しない幽霊や白骨を見るが、その演出が面白かった。
サブリミナル効果のような、動物の一部だけを映した短いカットを重ねたり、白骨の腕から木の枝へと変化させる手品のような演出が印象に残る。
領民を苦しめていた悪の領主・左馬之助は信仰の対象である武神像の破壊を命じるが、たがねをその額に打ち込むと鮮血が流れ出し左馬之助の配下は地割れに飲み込まれてしまう。
そしてラスト、大魔神は自身にささった、そのたがねで左馬之助を串刺しにして殺す。
武神像が大魔神と変身するわけだけど、額にたがねがささったままでなんともまぬけだなと思っていたけど、「なるほど、そういうことか」と納得。
また、この大魔神を動かしたのは、左馬之助によって謀殺された前領主の娘・小笹が兄を助けるためならと身を捧げる清い心と涙であった。
そして、怒りで破壊をやめぬ大魔神を止めたのも、また小笹の心と涙だった。
怒りを鎮めた大魔神は土くれへと戻り崩れ去る。
その締め方のあっけなさもまた印象に残る。
昔の映画はエンディング・クレジットがなかったりするからスコンと終わってしまって余韻も何もなかったりする(笑)
合成がちょっとおかしかったり、アップカットの際、大魔神の腕がモロ人形だったりと今見るとちょっと難はあるけど、巨大なクリーチャーがドシンドシンと歩いたり、破壊して回る映像の楽しさはやっぱりすごいし、魅力的。
三部作らしいけど、どうだろう・・・。あんま興味ない。
ちょっと厳しいな(笑)