「うる星やつら オンリー・ユー」。 | 江戸の杓子丸

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「うる星やつら オンリー・ユー」

80分 日  1983年

監督 押井守

製作 多賀英典
原作 高橋留美子
脚本 金春智子
音楽 小林泉美 安西史孝 西村コージ 天野正道
撮影 若菜章夫
出演 古川登志夫 平野文 島津冴子 榊原良子 
    神谷明 杉山佳寿子 ほか




ああ 男の人って いくつも愛を持っているのね。★★★☆☆



〔ストーリー〕
 ある日、あたるの知り合い全員に結婚式の招待状が届いた。差出人は、“諸星あたるとエル”。
謎の女性・エルの正体は、やっぱり宇宙人。だが、宇宙一の美女と言っても過言ではないほどの美しい女性だ。そのうえ、彼女と結婚すれば彼女の星の王にもなれる。
 ラムは当然のごとく嫉妬し、ふたりの結婚を阻止しようとするが・・・。




押井守監督の実質上の劇場初監督作品。

「うる星やつら」は漫画もアニメもまともに見ていないのでよくわからない。
「あんまりソワソワしないで♪」の主題歌とラムちゃんはもちろん知ってるけど。

高橋留美子さんの漫画自体、「めぞん一刻」以外まともに読んだ事がないな。
しかし、その作品群を見ると、そのほとんどがアニメ化されている。
すごいな。


言われなければ、押井監督作品とはわからない。
けれど、「うる星やつら」作品としては成功なんだと思う。

細かくて濃厚な画面や、何か不思議と物悲しい街の雰囲気や電光の寒々しさは、押井監督らしい。

飛行する飛行機を下から見上げたカットは「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995)」を連想させた。

また、全編を通して宮崎駿監督の「ルパン三世 カリオストロの城(1979)」へのオマージュを感じた。
クライマックスの舞台が結婚式場である事や、あたるとエルが結婚の誓約をする時の司祭のセリフはまんまだし(笑)、時計台の歯車のイメージや「ルパン」では次元が吐いた「面白くなってきやがった」のセリフもある。


ドタバタコメディの、そのノリと宇宙を舞台にするSFもの。
なんか80年代らしいな。

「機動戦士ガンダム(1979~1980)」や「超時空要塞マクロス(1982~1983)」などの影響力から、お客を集めるために当時はSFに走る事が多かったらしいけど、これもそうなのかな。

宇宙船のデザインやジェットエンジンの噴射やピンクや緑で描かれる光がいかにも80年代のアニメだ。



主人公、諸星あたるは嘘つきで軽薄でスケベなキャラクター。
そのテキトーな言動がラストのオチへとつながっていく。

今、「クレヨンしんちゃん」を見ていて、「そんな奴が日本にいるのか」と思われるかもしれないけど、今までまともに見たことがなかった。
何がきっかけで見るようになったのか忘れたけど、TVアニメと映画版をコツコツ見ている。


しんちゃんとこのあたるは何か似ている(笑)
スケベで自分勝手でハチャメチャ。

「じゃ、そういう事で」は、しんちゃんの口癖の一つだけど、あたるも都合が悪くなってトンズラする時連発していて笑った。
まるで、しんちゃんの大きくなった姿があたるのようだ。



そのスケールの大きさとは裏腹にやっている事のバカらしさがすごく楽しい。

ラムちゃんとの結婚式で最後に逃げ出すあたるを登場キャラクター達が追いかけるラストシーンのドタバタがこの映画の象徴だと思う。