双頭の殺人鬼。 | 江戸の杓子丸

江戸の杓子丸

化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書


「双頭の殺人鬼 THE SPLIT」

73分 日米合作  1959年

監督 ジョージ・ブレイクストン
    ケネス・G・クレイン

製作 ジョージ・ブレイクストン
脚本 ジョージ・ブレイクストン
音楽 小川寛興
撮影 デヴィッド・メイソン
出演 ピーター・ダインリー ジェーン・ヒルトン
    中村哲 武智豊子 ジェリー伊藤
    ジョージ・ワイマン ほか




【完全ネタバレ】


モンスターホラー×怪談。★★★☆☆



〔ストーリー〕
 日本在住の海外特派員ラリーは、突然変異を研究する鈴木博士に、特殊な薬を注入される。それ以来、ラリーは不審な行動を繰り返すようになり、遂には双頭の怪物に変化してしまう……。
 日米合作のホラー。



1959年の日米合作ホラー映画という事で、興味がわいて借りて観てみた。
面白いかどうかなんてどうでもいい(笑)

ネットで見てみると日米合作というより、出資した日本の映画会社と契約している監督らが創った映画のようだ。


冒頭、うなじを大きくみせた着物姿の日本女性が障子の向こうで怪物に襲われる。
ドバッと障子に吹きつけられる鮮血、そしてタイトル。

この辺のベタながら整然としたオープニングがよかったし、音楽も最高。
ティム・バートン監督がオマージュでよくやるいかにも昔のホラー映画の音楽といった感じ(笑)

暗闇や影の使い方もいかにもモンスターホラーといった感じ。

温泉や富士山、和服女性や芸者。
日本のベタなイメージがちりばめられていて、当時の木製の住宅街やビルディングが見れて楽しい。




マッド・サイエンティストの実験台になってしまった主人公である在日米国人記者ラリーは双頭の怪物となってしまう。

クライマックスに、このラリー自身と怪物は分離される。
木の向こう側に立って重なった役者が左右に分かれるという安価な演出ながら、悪くなかった。

分離した記者と怪物が戦うんだけど、怪物が弱すぎる(笑)
富士山か?山が突然噴火し、その火口へ怪物を突き落とす。

ドジャーンという大団円でございの音楽と共に、あまりに潔いエンディング。
余韻もクソもない(笑)



怪物となった自身の中の悪と戦うというモンスターホラーではベタな物語だと思うんだけど、観ていて飽きることはなかった。



ラリーの恋人はニューヨークにいるんだけど登場する時、三面鏡の前にいる。
あれは人間には多面性があるという演出なのかな。

電話での会話は「あなたは変わらないはず。私も変わっていないわ。」
別に、実は愛はすでになくなっていた・・・とか浮気していた・・・などの展開はないんだけど。
なんか印象に残った。

鏡ってやっぱ効果的なんだな。

「リング(1998)」とかでも、どうって事ないカットだったと思うけど、覚えてるもんなぁ。
ロバート・ゼメキス監督の「ホワット・ライズ・ビニース(2000)」もCGを使った面白い画だった。