第七の封印。 | 江戸の杓子丸

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化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書


「第七の封印 Det sjunde inseglet」

96分 瑞  1957年

監督 イングマール・ベルイマン

製作 アラン・エーケルンド
脚本 イングマール・ベルイマン
音楽 エリク・ノルドグレン
撮影 グンナール・フィッシェル
出演 マックス・フォン・シドー グンナール・ビョルンストランド
    ベント・エケロート ほか




【完全ネタバレ】


生死をもてあそぶもの。★★★☆☆

〔ストーリー〕
 終末的様相を呈した中世ヨーロッパを舞台に、十字軍遠征から帰還し生きる意味や信仰に懐疑的になり、死神にとりつかれた騎士の姿を幻想的な映像で描く。



全体的になんか舞台のようで、演出やセリフが芝居がかっている感じ。

足を海にひたし並ぶ二頭の馬、海辺に死んだように横たわる従者ヨンス、突如現れる死神など、
冒頭に紡がれるカットが異様で楽しい。

正直、あんまわからん(笑)
というか、どうも迫ってこないんだよね、一つ一つが。



「ヨハネの黙示録 第七の封印」

小羊が第七の封印を解いた時、半時間ばかりの静けさの後、神の御前に立っている七人の御使いに七つのラッパが与えられた。

七人の天使によるラッパは次々と天変地異を引き起こした。

その後、七人の天使が神の怒りの満ちた七つの鉢を受け取ると、七つの鉢は地上にぶち撒かれ、多くの禍がもたらされた。

そして最後の審判が始まる。




十字軍の遠征を終え帰路にある騎士アントニウス、彼は長い無意味な戦争の末、信仰を失いつつあった。

アントニウスは現れた死神に死の宣告をうけるが、チェスの対決を挑み延命をはかりつつ、妻の待つ城へ旅を続ける。

その道中で彼が見たものは、病気と狂信者、犯罪者と成り果てた聖職者、火あぶりの刑に処される魔女、死への不安や恐怖におびえただやみくもに神の救済を求める人々だった。



もはやその人生で救済や神の存在を感じる事が出来なかったアントニウスはラストシーン、それでも死神を前にしながら神に語り続ける。

このシーンがとても印象的だった。

それがなんであれ、何かにすがって人は生きる。
アントニウスが少しでも神に触れたいと最後までもがく姿が痛々しくまた人間らしいと感じた。


アントニウスやその妻、従者などアントニウスに続いた者たちは死神を前にし、ほとんど死んでしまう。

一方、途中まで共に旅を続けた旅芸人のニルスは、家族を愛する朴訥な人間でマリアや死神の存在を感じる事ができる。

彼はアントニウスとチェスをする死神を見て、別の道を行き家族を守る事ができた。

信仰とは縁遠いような旅芸人が生き残り、神に祈り尽くしてきた者たちが死んでいく皮肉(笑)



最後のシーン、死神に導かれ数珠つなぎになって死の舞踏を踊るアントニウスたちの画は奇妙で、また寒々しい怖さがあった。

でも、なんか面白い。


この映画における黒いローブと真っ白い顔という死神のイメージは、その後の映画などにおける死神像を決定づけたのだという。



鍛冶屋の妻をたぶらかす芸人の座長がまっさきに死神の餌食になる。

座長が登っている木の幹を死神がのこぎりでギコギコ切り倒し落として殺すんだけど、なんとも地味な感じ(笑)

死神がのこぎり、て。

大きな鎌でザクッてな具合のホラーな画はない。
どうも淡々と感じるのは、ハリウッド映画の影響かなぁ。