太平記 完全版 Disc.9
171分 日 1991年(2008年完全版DVDリリース)
演出 榎戸崇泰 佐藤幹夫 門脇正美
製作 一柳邦久
脚本 吉川英治(原作) 池端俊策
音楽 三枝成彰
撮影 杉山節郎 細谷善昭 永井勇
出演 真田広之 沢口靖子 陣内孝則 大地康雄
高嶋政伸 柄本明 根津甚八 武田鉄矢
柳葉敏郎 宮沢りえ 樋口可南子ほか
【完全ネタバレ】
〔解説〕
騒乱の南北朝時代を武家の棟梁・足利尊氏を中心に描いたNHK大河ドラマ第9巻。
尊氏は倒幕を謀る新田義貞、楠木正成らと接触。後醍醐天皇の起こした元弘の変の鎮圧を命じられるが、反旗を翻し京を制圧する。
第32回「藤夜叉死す」から第35回を収録。
第三十二回 「藤夜叉死す」
藤夜叉(宮沢りえ)は目代に斬られ、瀕死の重傷を負う。
「近くに足利尊氏(真田広之)が陣を敷いている。当然よい医者がおるだろう。」
と地元の者に聞いた石(柳葉敏郎)は右馬介(大地康雄)と出会い、その由を伝える。
駆けつけた尊氏。
庶子(妾腹の子)・不知哉丸 〔いざやまる〕に自分のお守りを渡す。
尊氏は出陣のため去り、藤夜叉の最期を看取ることはない。
当時、超人気アイドルだった宮沢りえに死ぬところをやらせるのは、確かにいかがなものか。
だから、逝ってしまうカットはない。
けれど、どうも印象薄い終わり方になってしまったなぁ。
尊氏にとって藤夜叉は、美しいモノや京の象徴で夢そのものといっていいはず。
後醍醐天皇と袂を分かちこの後戦うことになるので、物語上象徴である藤夜叉を殺すのはわかる。
ただもうちょっと何かなかったかなぁ(笑)
さみしい。
後に、右馬介(大地)が藤夜叉の他界を尊氏に伝えるけれど、その大地さんの演技がよくてそっちが印象に残ってしまった感もあるし。
武蔵で挙兵した北条残党は所詮、烏合之衆であり尊氏は鎧袖一触、10日あまりで鎌倉へ突入する。
北条高時の遺児・時行が鎌倉を占領していたのはわずか20日間だという。
それでも、北条氏は一度鎌倉を奪い返したんだなぁ。
第三十三回 「千寿王と不知哉丸」
駿河の猿楽一座座長・花夜叉(樋口可南子)のもとに石(柳葉敏郎)は不知哉丸と共にやってくる。
尊氏は鎌倉を奪回、残党を追い信濃に入るが新田義貞(根津甚八)軍と争うことに。
「新田殿と戦いたくはない。京の武家をも敵にまわす事になる。」
という尊氏に対し、度を越す反論を見せる直義(高嶋政伸)。
高師直〔こうの もろなお〕(柄本明)が「無礼が過ぎまするぞ!」と一喝する。
のちの、直義VS師直のフリだ。
一方、新田義貞も「尊氏と戦いたくはない。戦うなら堂々と正面からぶつかる。」と進軍を許さない。
しかし、義貞の弟・脇屋義助(石原良純)は
「だから、足利の風下に立つのだ。公家どもが、新田は所詮足利牽制のための猿回しの猿じゃ、と言うておるのをご存知ないのかっ!?」
京では、帝(片岡孝夫)が尊氏の進軍についてどう思うと、楠木正成(武田鉄矢)に問う。
「戦さは、京に呼んで話を聞いてからでも遅くはござりませぬ。」
帝は尊氏に帰京するよう、みことのりを出す。
庶子(白拍子・藤夜叉との子)・不知哉丸を引き取りたいという尊氏に、御台・登子(沢口靖子)は「勘弁してくださりませ。」
当然だ(笑)
どうも登子のシーンそのものが少ないせいか、面白味に欠ける。
尊氏と藤夜叉はいいシーンいっぱいあったのに・・・。
正室がかわいそうだ。
師直が着ている薄い黄土色の直垂には、こうもりの柄(笑)
どういう意味だろう?ただの柄か。
後醍醐天皇の側近・坊門清忠役に藤木孝。
すごいインパクト。
なんと言うか、美川憲一の真似をしている時のコロッケみたい(笑)
第三十四回 「尊氏追討」
帝からの「上洛せよ」の命を受けた尊氏は直義、また家臣ら皆から反対され留まる。
そして、京・里内裏で帝から新田は「足利を討て」と命を受ける。
朝敵となった尊氏、なんと出家する(笑)
「古往今来、朝敵の汚名をうけて生きながらえた家はない。」
その後、佐々木判官(陣内孝則)や右馬介の説得を受け、尊氏は帝に背くことを決意する。
尊氏に「隠遁の身といえども許すまじ」という偽の綸旨を見せ還俗を促す佐々木が笑える(笑)
第三十五回 「大逆転」
建武2年(1335)。
尊氏、新田軍を破り、京へ(箱根・竹ノ下の戦い)。
楠木と戦いたくない尊氏。
月夜、二人だけで会う。
尊氏は、武家の世を作るため協力していただきたいと言うが楠木、
「ご恩がある。鎌倉まで引いてくれ。」
京に入った尊氏は新田・楠木軍と背後を突くべく都へ攻め上ってきた北畠軍に挟み撃ちにされ大敗(豊島河原の戦い)。
尊氏はその後、摂津また九州へ下る。
しかし三ヶ月後、光厳上皇の院宣を受け西国の武士を糾合、再び京へ。
摂津の赤松氏(渡辺哲)の協力を得る尊氏。
赤松は倒幕の際、恩賞について大いに不満であったが、尊氏のみが同情を寄せた。
そして、今回喜んで傘下に加わる。
おそらくまた出てくるんだろうなと思ってはいたけど、ホントうまいなぁ、と思う。
尊氏の求心力を表現するうまい展開。