太平記 完全版 Disc.7。 | 江戸の杓子丸

江戸の杓子丸

化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書


太平記 完全版 Disc.7



172分 日  1991年(2008年完全版DVDリリース)



演出 榎戸崇泰 竹林淳 佐藤幹夫


製作 一柳邦久
脚本 吉川英治(原作) 池端俊策  
音楽 三枝成彰
撮影 久野博 杉山節郎 川邨亮 永井勇
出演 真田広之 沢口靖子 陣内孝則 大地康雄 
    高嶋政伸 柄本明 根津甚八 武田鉄矢
    柳葉敏郎 宮沢りえ 樋口可南子 ほか


江戸の杓子丸


【完全ネタバレ】




〔解説〕
 騒乱の南北朝時代を武家の棟梁・足利尊氏を中心に描いたNHK大河ドラマ第7巻。
 尊氏は倒幕を図る新田義貞、楠木正成らと接触。後醍醐天皇の起こした元弘の変の鎮圧を命じられるが、反旗を翻し京を制圧する。
 

 第24回「新政」から第27回を収録。





第二十四回 「新政」


鎌倉では足利高氏(真田広之)のまだ小さい嫡男・千寿王が人気を集め、足利家の家臣と新田義貞(根津甚八)家の家臣が対立を深めつつあった。


京の護良親王〔もりよししんのう〕(堤大二郎)は、足利高氏(真田広之)を次なる北条氏と見ている。


そして、鎌倉での両家の対立を京でも利用しようと義貞をそそのかし上洛させるのだった。



一方、後醍醐天皇の愛妃・阿野廉子(原田美枝子)は自分の皇子を皇太子にするべく、護良親王の排斥を企む。



護良親王役の堤大二郎さんの演技がなんかいかにも演技なんだけど、時代劇やキャラクターに合っていて面白い。


常に大声を出してる感じで大変だったろうな(笑)



義貞の御台の着物がすごくよかった。

上から白銀、桃と重ね薄緑の小袖。





第二十五回 「足利尊氏」


高氏の弟・直義(高嶋政伸)は、市中を混乱せんとする強盗を護良親王の息がかかっていると知りながら問答無用で処刑する。


これにより護良親王の高氏に対する憎しみは一層増すことに。


事態を憂慮した後醍醐天皇は宴で両者を呼び、誤解を解くよう促す。



新田義貞は護良親王から高氏が恩賞を独り占めしようとしているといったあらぬ蜚語を吹き込まれ疑心を生ず。


しかし、実際会ってみると高氏は
「北条許せぬの戦さであったはずが、いまや恩賞の事ばかり。一体何のために戦ったのか。」と思わず義貞相手に愚痴ってしまう。


変わらずまっすぐな高氏を見て、義貞は安堵するのだった。



元弘3年(1333)、29歳の高氏は後醍醐天皇のいみな・尊治(たかはる)の尊をもらい、尊氏と改名。


一族の仇、北条家を倒すことに成功し右馬介は尊氏にいとまを願い出る。


尊氏は「これからまだ新しい世を作るという大きな仕事があるではないか。許さぬ。」とつい声を荒げてしまう。


この後、兄弟や息子と争うことになる孤独な尊氏にとって唯一信じられる存在がこの右馬介。


右馬介は尊氏のように孤独でまっすぐだが、分をわきまえ尊氏の影として生きる忍者。


とてもいいキャラクターだ。





第二十六回 「恩賞の波紋」


いよいよ恩賞が割り当てられるが、武家や護良親王派が軽んじられることに。


播磨の赤松氏もその一人で、六波羅奉行所の尊氏を訪ねとりなしを頼むが


「しょせん公家は公家、武家は武家。武家の心は武家にしかわからんのだ。」

と言い残し京を去る。


公家一統(公家中心の政治)を目指す後醍醐天皇は側近・北畠親房(近藤正臣)、長男・顕家(後藤久美子)を北条氏の残党が残る奥州へ送る。



後藤久美子は演技がうまいとは思わないんだけど、顕家の幼さが感じられてかえっていいのかも。






第二十七回 「公家か武家か」


後醍醐天皇による建武の新政は、恩賞の不公平、貴族政治と武家などへの既得権侵害、増税などで批判と不満を招き、権威も失墜する。


北畠家の指図を嫌い、奥州の武家は北条側につく恐れもある。


「都では公家は武家を下人としか扱わない。源頼朝が鎌倉に武家だけの国をつくったのにはわけがあるのです。」


という高師直〔こうの もろなお〕(柄本明)に尊氏も思わず「戦さは武家にまかせればいいものを」と本音が出る。


また、直義は町で出会った不知哉丸(いざやまる)を尊氏の庶子と知らず、尊氏亭に招き遊んでいた。


すると、不知哉丸は熱を出してしまう。


尊氏亭に入って行ったと聞いた母・藤夜叉(宮沢りえ)は、尊氏と再会することに。



藤夜叉のひたむきな感じがたまらない。


長いカットで表情や演技をしっかりと魅せるので、思わず入り込んでしまう。