太平記 完全版 Disc.6
172分 日 1991年(2008年完全版DVDリリース)
演出 榎戸崇泰 佐藤幹夫 峰島総生
製作 高橋康夫 一柳邦久
脚本 吉川英治(原作) 池端俊策
音楽 三枝成彰
撮影 杉山節郎 細谷善昭 永井勇
出演 真田広之 沢口靖子 緒形拳
大地康雄 片岡鶴太郎 フランキー堺 高嶋政伸
柳葉敏郎 宮沢りえ 樋口可南子 ほか
【完全ネタバレ】
〔解説〕
騒乱の南北朝時代を武家の棟梁・足利尊氏を中心に描いたNHK大河ドラマ第6巻。
鎌倉時代末期、源氏の血を継ぐ足利尊氏は、さまざまな人物との運命的な出会いの中で成長し、腐敗した幕府打倒の決意をする。
第20回「足利決起」から第23回を収録。
もうどうにも止まらない。
最終回までノンストップだな、これは。
こんだけおもろくて夢中になれるドラマに会えたのは久々。
「西遊記シリーズ(1978~1980)」や「熱中時代(1978~1978)」もこれ程ではなかった。
第二十回 「足利決起」
元弘3年(1333)、足利高氏(真田広之)は幕府の命により楠木正成(武田鉄矢)を討つべく出陣する。
しかし、高氏の心には倒幕の意思が固まっていた。
出陣時の真田さんらの甲冑姿がかっちょいい。
高氏は足利が守護を務める三河で分家の主たちを前に、祖父・家時の置き文を読み上げる。
足利一族の倒幕への気持ちが一つになるのだった。
大覚寺統・後醍醐天皇(片岡孝夫)より綸旨(みことのり)をすでに受けた高氏は、北条討伐の第一歩として六波羅を叩くべく京へ入る。
さくら舞い散る中、甲冑姿の高氏が騎馬で行く画がすごくいい。
また鎌倉では、赤橋守時(勝野洋)亭に人質として預けられた高氏の御台所・登子(沢口靖子)と嫡男・千寿王 を奪還すべく右馬介がやってくる。
が、守時に見つかってしまう。
自分が行けば兄・守時の身がどうなるかわからない。
千寿王だけを、という登子に守時は
「北条の命運は尽きておる。そなたはもう足利家の人間ぞ。生きよ。」と今生の別れを告げるのだった。
さくら散る月下、白装束の守時が何故か、信長に見えてしまう(笑)
第二十一回 「京都攻略」
六波羅を潰した高氏ら。
高氏は「裏切り者っ!」と斬りつけてきた北条の旗本を斬り捨てるが、表情が曇る。
上野(こうずけ)の新田義貞(根津甚八)は鎌倉へ討って出なければならないのだが、二百の兵も集まらず自分の小身を呪う。
共に戦うのが千寿王を足利軍大将とする五千の兵というのも義貞は気に入らない。
そこへ、幕府から兵を出さぬなら金と兵糧を出せと驕慢な使いが来る。
勝手に蔵を開けようとしたその使者を「もう我慢ならん」と切り捨てる貞義。
偉そうな得宗の使者、その描写が見ていて北条憎しを煽る。うまいなぁ(笑)
足利に京を押さえられ新田が迫る中、得宗・北条高時(片岡鶴太郎)は何も出来ず、名執権であった父・貞時や執権にしてもらった母・覚海尼(沢たまき)に頭が上がらない無能な自分を笑っていた。
すると赤橋守時が現れ、自分も北条家の人間、誤解を受け謹慎の身のままで死にたくない。
どうか出陣のお許しを、と高時に願い出る。
守時の眼に決死の覚悟を見た高時は先代の内管領・長崎円喜(フランキー堺)にさからい、出陣を許すのだった。
一大事の時に昼寝しているアホっぷりから、守時の覚悟に「武運をの」と真摯に送り出す高時(鶴さん)のいろいろな表情や演技が見所。
第二十二回 「鎌倉炎上」
高氏の命によりお助けするべく参った、という右馬介に赤橋守時は「登子を頼みます」と言い残し戦死を選ぶ。
元弘3年(1333)5月22日。
新田義貞は稲村ヶ崎の干潮を利用し進軍、鎌倉へ入り攻略。
北条一族は炎上する葛西ヶ谷・東勝寺でことごとく自害。
鎌倉幕府150年の歴史は、ここに幕を閉じるのだった。
自害する前、高時が舞いを見せるけれど鶴さんの歌声がなかなかいい。
切腹しながら、「これでよろしいか」とわざわざ円喜に問う高時。
高時と円喜の関係がこれだけでよくわかる。うまい。
ためらいを見せる高時の周りに、女たちが集まり急かすように読経する真上からの画がなんか印象的。
奸智たくましく専横を極めた円喜(フランキー堺)が、一族の最期を見届けたあと、見事な切腹で果てる。
あれだけ憎らしかったキャラクターがこの最期で好きになってしまう。
いかに死ぬか、なんだなぁ。
高時(鶴さん)の最期に比べてやや印象が薄く気の毒。
この回で鶴さんとはお別れ、寂しいなぁ。
鶴さんを観るために観てたのに・・・。
第二十三回 「凱旋」
後醍醐天皇が京へ。
到着を待つ佐々木道誉(陣内孝則)のド派手な小袖がすごい。赤黄緑でけばけばしい(笑)
月夜、宴で高氏は楠木正成(武田鉄矢)にはじめて会う。
二人で月を見上げ、この都の月を曇らせてはいけない、と誓い合う。
足利(武家)を敵視する後醍醐天皇の皇子・大塔宮護良親王(おおとうのみや・もりよししんのう)は、後醍醐天皇の「僧にもどれ」という言葉に激高。
大和の信貴山に立てこもる。
後醍醐天皇は征夷大将軍に任命する事で懐柔し上洛を促すのだった。
また、高氏は左兵衛督〔さひょうえのかみ〕(左兵衛府の長官、従五位上相当)に任命されるが、「征夷大将軍は源氏の棟梁がなるものだ」と高氏の弟・直義(高嶋政伸)は不満を口にする。
また、藤夜叉(宮沢りえ)は京で魚売りをしていたがある日、石(柳葉敏郎)と再会するのだった。
宮沢りえの桃色の小袖姿がかわいい。
髪が少し乱れ化粧っ気がなく地味なのに、ホントかわいい(笑)
北条家が倒れ鶴さんも出てこないし、面白味も減るかな、テンション下がるかなと思ったけれどいやいや、変わらずオモロイ!