太平記 完全版 Disc.4。 | 江戸の杓子丸

江戸の杓子丸

化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書

太平記 完全版 Disc.4



172分 日  1991年(2008年完全版DVDリリース)



演出 峰島総生 榎戸祟泰 佐藤幹夫


製作 高橋康夫
脚本 吉川英治(原作) 池端俊策  
音楽 三枝成彰
撮影 杉山節郎 細谷善昭
出演 真田広之 沢口靖子 緒形拳
    大地康雄 片岡鶴太郎 フランキー堺 高嶋政伸
    柳葉敏郎 宮沢りえ 樋口可南子 ほか


江戸の杓子丸


【完全ネタバレ】





〔解説〕
 騒乱の南北朝時代を武家の棟梁・足利尊氏を中心に描いたNHK大河ドラマ第2巻。鎌倉時代末期、源氏の血を継ぐ足利尊氏は、さまざまな人物との運命的な出会いの中で成長し、腐敗した幕府打倒の決意をする。
 

 第12回「笠置落城」から第15回を収録。





第十二回 「笠置落城」


笠置(かさぎ)山へ向かう途中、足利高氏(真田広之)は遠江で右馬介(大地康雄)と会う。


河内の豪族・楠木正成(武田鉄矢)が立った事を伝える。

この時の大地さんの演技がすごい。


高氏の父・貞氏様の死は無念と伏して涙を流すのだけれど、すぐ顔を上げて表情を変え殿に情報を伝える姿がかっちょいい。


一刻を争う戦乱の中、感情が人間らしさがにじみ出る、とてもいいシーンだった。



楠木正成は後醍醐天皇に拝する。


が、「各地で反乱を起こし長く戦を続け、反幕府勢力の発起を待つべきです」と河内へ取って返す。


しかし、幕府は持明院統の光厳天皇を即位させ、反幕府勢力から(後醍醐)天皇を守るという大義名分を奪う。


そして、笠置は落城し、後醍醐天皇は囚われの身となるのだった。



ラスト、騎馬の北畠顕家(親房の長男)が登場する。


これが後藤久美子で、男装している。

美少年だったことから、女性アイドルの起用となったのだそうだ。


昔、兄貴がファンだったな(笑)


だから、当時観てたのかな。
別にNHK大河ドラマを好きでもないのに観てたのは、そのせいかも。





第十三回 「攻防赤坂城」


足利亭へやってきた北畠顕家。


顕家は高氏の家臣と腕比べし、吊り下げた針を射落とす。


よくそんな事ができますねと素直に褒める高氏に対し、「神仏の力によるものです」と述べる。


高氏は不思議な空気をまとう顕家に興味を持つが、父で後醍醐天皇の側近・北畠親房(近藤正臣)に会ってくれるよう頼まれる。



高氏は目に見えないが清らかで力強いもの、神仏や愛、正義といったものに弱いというキャラクターなんだな。


北畠亭を訪れる高氏。


親房に「後醍醐天皇を暗殺する動きがあるという。どうか天皇を守って頂きたい」と頭を下げる。



一方、赤坂城の楠木軍に鎌倉幕府は手を焼いていた。


が、大軍の波を前に楠木らは伊賀への城落ちを決める。


その伊賀では具足師・柳斎を高氏の側近・右馬介と見抜く花夜叉(樋口可南子)が自分は実は正成の妹で、どうか正成を助けるよう高氏様にお願い申し上げて欲しいと頼む。


石(柳葉敏郎)の案内で、正成は伊賀へ落ちるのだった。





第十四回 「秋霧」


幕府による楠木軍の残党狩りが始まる。


正成と石は花夜叉一座と共に幕府の網を逃れようとするが、検分すると高氏の前に連れ出される事に。



またその少し前、藤夜叉(宮沢りえ)は柳斎(右馬介)に「石を助けるよう高氏様にお願いして欲しい」と乞う。


柳斎(右馬介)は、藤夜叉には会わないという高氏を藤夜叉の元へ連れて行く。


わが息子、不知哉丸(いざやまる)と初めて会う高氏。


高氏は「そもじの大切な者は必ず助けよう」と藤夜叉に石を助ける事を誓うのだった。



許されない恋というか日陰の恋である高氏と藤夜叉の関係の方がいいなぁと思ってしまう。


高氏と正室・登子(沢口靖子)の方は逆になんか面白みを感じないな。


登子の微妙な立場はこれからもっと描かれるのかな。





第十五回 「高氏と正成」


勧進帳のようなお話だった。


伊賀の関所で花夜叉一座は検分を受ける。そこには正成と石もいる。


「旅芸人ならば、踊って見せろ」という高氏を前に、正成は踊ってみせ場を沸かせる。


高氏は通過する正成に「其の方が正成殿であったなら聞きたかった。正成殿は何故負けるとわかっている戦さをするのだろうか」と問う。


正成はのちに矢文で返答する。
「大事な者のために戦い、たとえ負けるとしてもそれは負け戦にあらず」



朝廷と鎌倉幕府のパイプ役で親北条派の公家・西園寺公宗(長谷川初範)が登場。


光厳天皇を立て、楠木が落ちた事で北条家はまた安泰であり、西園寺も得意げに高氏をいびる(笑)


そして、後醍醐天皇が隠岐ノ島へ流される事を知る。



また、鎌倉に帰った高氏は父・貞氏の葬儀を鎌倉で行う事はならんと幕府に命じられる。


足利一門が鎌倉に集まる事を危険視した長崎家の独断であった。


得宗・北条高時の慈悲にすがる高氏。訴状を出す。


が、高時は「慈悲は犬に食わせてしもうた」ととぼけつつ、絵の具で遊ぶ少女と戯れる。


汚れた手を高氏の訴状で、時に破りつつ拭く高時。

高氏は激高を抑えつつ、その場を去る。




高時は高氏の目の前で、高氏が出した訴状を破り手を拭う。

うまい演出だなぁ、と脱帽。


高時の壊れつつある感じも描かれていた。

いいぜ~、鶴さん(笑)