イチロー選手が4000本安打を記録した際のインタビューで「4000本が偉大な記録を達成した実感がない。1本の安打に集中したマ日の1打席の方が僕にとっては大切で、その結果を積み重ねただけ。」みたいなコメントをされていた事を記憶しています。
企業で働くサラリーマンにとっても、毎日の仕事、個々の業務を無駄にせずにそれを積み重ね続ける事が、自身のキャリアにとっても大切だと思っています。
私自身は、入社して10年近く、同期入社の中で最低ランクの評価を受けていました。1年下、2年下の後輩と比べても低い評価で、昇進、昇格は後輩に抜かれる状況でした。56歳になった現在、どちらかというと経営レベルのポジションに居ます。実は経営から×を付けられて役員にはならずに山を下り始めているのですがね。20代に先に昇格したり、追い抜いていった人達のほとんどは、私の部下とか、下に居ます。マネージャーにならなかった人達も大勢います。
新入社員は経験も知識もゼロからスタートします。ゼロから1の知識や経験を得たとすると無限大の成長を実感する事が出来ます。入社1年め、2年目でも、知識や経験が1が2、2が3になるので、2倍の成長、1.5倍の成長を実感出来ます。新入社員が目を輝かせて成果発表会で報告しているのを聞いていると、成長を実感している事が感じられます。
ところが、入社年数を重ねて10年、15年経過すると、知識や経験が20にも30にも100にもなってしまい。1の経験や知識を新たに得たとしても、それほど成長を実感しなくなります。逆に1をプラスしなくても100のままで仕事が廻ってしまうのです。
これが落とし穴で、入社年齢が低いうちは必至に経験や知識を吸収し成長するのですが、やがて入社5~10年くらいすると勉強をしたり吸収したりするという努力を放棄する人達が現れます。天才やエリートは別格として、入社時に評価が高く、20代で早く昇格した人達の中に、30代で成長が止まってしまう人達が以外と多いのも事実ですね。
もちろん会社としてもキャリア形成のために部門や役割を替えて、成長の継続を促す事は考えますが、置かれた環境と、ご本人の知識経験の習得が必ずしも同期しないというのはよくある事です。
私のケースは、たまたま海外赴任や、担当する組織のサイズや機能が自身のキャリア形成においてポジティブに働いたラッキーなケースだったかと思います。
20代の評価が最低な時期に腐らずに、売掛回収や倒産対応、小さな顧客様の対応を真摯にして来た経験が、海外駐在している際に大いに活かされたと実感しています。自分自身でも以外だったのですが、国内のどうでもいいような一場面の経験が海外で活かされて助かったケースが何回かありました。
人間は、当たり前の事を継続する事が苦手な生き物だと思いますが、人のスキルや経験は貯金と同じで、毎日、毎年少しずつ長く続ける事が唯一の方法だと思います。40代、50代になって知識や経験がない事に気付いても、そこから挽回する事は不可能なのです。これが現実です。アリとキリギリスの寓話もそうですかね。