きのこゾーン
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春のキノコ、アミガサタケ

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蜂の巣(左上)のような幾何学的な構造を人工的に真似すると、段ボール(右上)のような構造ができる。一方、牛の胃袋(左下)やアミガサタケ類(右下)は曲面的な凸凹の構造を形成しているが、これらはどことなく似ているだろうか。生物がどのようにしてこうした構造を組織化するのか、その機構について探るのもおもしろそうだが、それはさておき、今回は、そんなアミガサタケ類の観察について紹介する。

 
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桜の開花よりも1 - 2週間ほど早く、アミガサタケ類のキノコは春の訪れを告げてくれる。写真上左のキノコは都内で見つけたアミガサタケの一種で、頭部が黒い色をしたトガリアミガサタケ(Morchella conica)またはその近縁種と思われる(注1)。写真上右の頭部が白いアミガサタケ(Morchella esculenta var. esculenta)は、チャアミガサタケ(Morchella esculenta var. umbrina)と同様に同じ地区でも稀に発生するが、その時期は3週間程度遅い。各年によって、アミガサタケ類のどの種類が多く発生するのか、ばらつきがあるように思われる。発生量の違いは、前年の夏の気温と降水量が関係しているようである。

アミガサタケ類は欧米で人気があり、広くモリーユ(morel)と呼ばれて親しまれている。とりわけ、米国ミシガン州ボイン市で毎年5月中旬に開催されるNational Morel Festivalは現在までに50年以上も続いており、とても賑わっているようだ。気象庁とThe Weather Channelの各データベースを比較すると、ボイン市の気温は北海道の札幌市よりやや北部の気候に相当していることがわかる。一方、北海道でも多くの種類のキノコが採集されるが、アミガサタケをよく採ったという話はあまり聞かない。多くのアミガサタケ類の分布は世界的とされるので(「北陸のきのこ図鑑(池田良幸, 2005)」)、もしかすると気づいていないだけで、多く発生しているのかもしれない。

アミガサタケ類は疎らな林内の比較的人の目につくような地表に発生することが多い。アルカリ性土壌を好むとする文献が多いが、酸性土壌を好むはずのスギナといっしょに生えているのも筆者は見かけた。このとき土壌のpHは測っていなかったが、局所的に土壌のpHが異なっているのか、あるいはアミガサタケ類の発生はpHにあまり依存しないのか、pHではなく栄養元素(Caなど)の濃度と相関があるのかなど、よくわからない。この時期は、さまざまな環境の地表を観察してみるとよい。


(注1)アミガサタケ類の種レベルの分類は「原色日本新菌類図鑑(II)(今関と本郷, 1989)」や「北陸のきのこ図鑑(池田良幸, 2005)」によると、肋脈の状態や傘と柄の太さや柄の長さの違いなどの形態や色調、全体の大きさに基づいている。しかし、個体間の形態的な変異が大きいために、Morchella conicaM. deliciosaとのように形態的に似ているものは区別が難しい。また、Morchella conicaM. elataM. deliciosaを含むグループはとりわけ分類が混乱している。


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