1936年スターリン大粛清の、激動の時代によって引き裂かれた男女3人の悲劇を描いた第一部『太陽に灼かれて』(94年)。1943年の第二次世界大戦の独ソ戦に巻き込まれた父と娘の深い絆を描いた第二部作『戦火のナージャ』(10年)。そして、第三部となる本作では革命の英雄となり犠牲者となった主人公がドイツ軍と母国の権力に立ち向かう姿を通して、闇に包まれていたロシアの歴史と共にこれまで複雑にからみあってきた物語の結末が明らかになります。
私も三部作をすべて観させて頂いたのですが、個人的には第二部の『戦火のナージャ』が印象的。第一部から通してみると今回公開される『遥かなる勝利へ』を観終わったときにはその壮大なスケールに圧倒されるとともに父と娘の絆の強さに感動しました。ちなみに主人公のコトフは監督ご自身が演じられており、コトフの娘、ナージャを演じるのは監督の実の愛娘。『太陽に灼かれて』の頃のまだ幼くてかわいいナージャが成長し、女性として苦難を乗り越えていく姿もぜひ観てほしいポイントです。
本作は明日からシネマート心斎橋にて公開。劇場ロビーでは公開を記念して上映期間中、日本ではまだまだ珍しいロシア雑貨の販売も行われます。


奈良の小さな雑貨店「マールイ・ミール」の店主自らがロシアで買付けした、素朴でかわいいロシア雑貨がいっぱい。日本でも馴染みのあるマトリョーシカも、すべて手描きのものばかりで、同じ表情のものは二つとないとか。大量生産ではできない温かみのあるロシアの民芸品やソビエト時代の珍しいグッズも集結。今週末、ミナミにお出かけ予定の方は、シネマート心斎橋に立ち寄ってかわいいロシア雑貨に触れてみては?