昨日入手したマイコミムック『すぐにわかる!電子出版スタートアップガイド』の表4側広告に面白いものを見つけました。
フォントの広告なんですが、iPadで表示されている文章、うん?どこかで読んだことあるような・・・
3秒で思い出しました。高校時代の愛読書の一冊、梶井基次郎の『檸檬』の一節です。
――つまりは此の重さなんだな。――
その重さこそ常々私が尋(たづ)ねあぐんでゐたもので、疑ひもなくこの重さは總(すべ)ての善いもの總ての美しいものを重量に換算して來た重さであるとか、思ひあがつた諧謔心からそんな馬鹿げたことを考えて見たり――何がさて私は幸福だつたのだ。
フォントのイワタとしては、刻印感のしっかりした書体、を強調する意図で、
「つまりはこの重さなんだな。」を引用したのだと思われますが、わたしは別のことを考えていました。
本の重さです。
あるいは見た目のでかさだったり、豆本の小ささ、だったり。
これはオブジェであると同時に、「内容」でもあるのです。中身の重厚さを、体でも感じながら読むということはあるはずです。
しかし、書籍リーダー端末の場合は、どんな本を読んでも、同じ重さ。
だから?
と言われそうですが、読書のモードとその醍醐味には、本の重さ、も参加する要素の一つだろうという話です。
ドカベン本がもたらす、目の前にあるだけでグッと来る重厚感。これも読書のうちです。
次は、これまで遭遇した、実際のドカベン本について触れます。
青空文庫のルビ付きテキストに対応するフリーのテキストエディターiTextで、『檸檬』を開いて、該当箇所をコピーアンドペイストしました。
「引用」は重要な編集行為であり、著作的編集行為の一つです。
書籍の電子化は、このように編集の速度を上げることにも貢献します。
楽しみに読む、仕事で読む。読書のモードはいろいろです。そのレンジが広がることはいいことだと思います。
しかし、それだけではありません。
(続く)

