X+オーサリング+パブリッシング=本。電子もね^^ | 編集機関EditorialEngineの和風良哲的ネタ帖:ProScriptForEditorialWorks

オーサリングの手前に、もう一つあるわけですが、これはなかなかいい言葉が見つからない。


オーサリング 【authoring】


(1)著すこと。生み出すこと。


(2)マルチメディア作品の製作過程における,異種データの組み合わせやデザイン・レイアウトなどの一連の編集作業のこと。


――三省堂提供「デイリー新語辞典」より


(2)は、たいてい「オーサリング・ツール」とともにある。ePubで言えば、XHTMLを書いたり、CSSを書き換えて、縦組みにしたりという「編集」「デザイン」に近い作業も含まれる。


従来の印刷工程とか製本とかの工程も含むのが、電子書籍と言われているものの一つの側面ではある。ePubで行くか、PDFで行くかなんてのは、いわば「無線綴じ」にするか、「中綴じ」にするかといった製本の方式の話であって、オーサリング(1)とは、ほぼ無関係な話。にも関わらず今現在の電子出版の話は、この製本の話、「綴じ方」の話に、ほとんど集中していると言っていい状態。下手すると中身ゼロですよ(笑)


さらに言うと、(2)のデザイナーとの協同作業は、(1)の意味でのオーサリングにも関わってくることがある。


たとえばレイアウトと文字数の関係で、どうしても原稿量を減らす必要が出て来たりする。


これは「著すこと」「生み出すこと」という意味においても、とてもクリエイティブな協働作業なわけです。


この過程を経ないものは「出版」とは呼ばない。「制約」をクリエイティブなドリフト(漂流点)として活かしていくのが出版である。「好きに書く」なんてのは、断じて出版ではない。


作家の京極夏彦さんは、好き勝手に書いていい――好き勝手というのは語弊があるが――小説の世界にも、自ら、こういう協働作業に近いものを持ちこんでいる。縦組み左ページの最終行は必ず句点「。」で終わるように書いた。


これこそが、えんじんに言わせればセルフ・パブリッシングである。


もちろん、京極夏彦の小説は、大手の出版社からいずれも商業出版されている。しかしそのオーサリングの過程に持ち込まれた工夫がセルフ・パブリッシングであると言っている。そこんとこ、よろしく。


さて、X+オーサリング+パブリッシング=本、のXは何か?


マイニング(発掘)とか、インスパイアリングとか色々考えてみたけど、どれも据わりが良くない。しかし、


これまでうまくいった出版企画は、よくよく振り返ってみると、Xがすでに動き始めていたケースが多い。


売れるとか、ブランディングに役立つとか、儲かるとか、そんなこと以前に、インディーズのミュージシャンたちは、曲を作り、詞を書き、ストリートで演奏をしている。


これがなんで、文字の世界になるとこうも箸にも棒にもひっかからないムカつく話になるのか?


「フラット化」?


冗談じゃない。情報がフラット化したら、待ってるのは「熱死」だけですぜ、そこのダンナさん。



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