電子書籍の実験(1)から(5)総集編w:内なる黒船とかすった。 | 編集機関EditorialEngineの和風良哲的ネタ帖:ProScriptForEditorialWorks

ここまで書いて来て、内部の「黒船」、内なる黒船、内側の黒船(シツコイ)、っつーものにぶつかってしまいました。


アマゾンKindleに代表される「電子書籍リーダー」の日本上陸を文芸家協会の副理事長が「黒船来航に近い」と言ったその黒船なんですが、この副理事長発言なんかは、まあどっちだっていいんです。


しかし、こういう発言と関係なく、現場のかなりの人が「黒船」と感じたようです。


それは、なんとかしなきゃと思いつつ、これまで本腰あげてこなかったことを、いよいよやらないと、今度こそ最後のチャンスかもしれない。そういう感じ方だと思います。


協会の発言は、どっちかっつーと、グーグルの著作権侵害みたいな問題が、ここんとこずっとあってそっちにひっぱられた発言だろうと思います。要するに既得権益をいかに守るか、みたいなことであって。


でも、こっちの黒船は、そういう脳天気な話じゃないんです。脳天気じゃない黒船なんです(笑)


だからその脳天気については、幕末に開国派、攘夷派がいたように、どっちを向いて黒船と言っているのか、そういうことを詮索する必要さえない。


なぜなら、ここでぶつかった「黒船」は、文学という制度、その他の制度が内なる黒船を、それと気づかぬまま実は養って来たという意味での「黒船」だからです。


開国派か攘夷派かと言えば、「黒船」はなんにせよ「明治」という時代を構想させたわけで、「構想」の契機となる「黒船」ならどんと来いです。


しかし、内部に黒船を抱えたとして眺め直すなら、それは正確には電子書籍ではない。電子書籍も電子書籍リーダーも今に始まったことではないからです。


本というマーケット、雑誌書籍のマーケット、出版という市場の変容を伴う制度の解体に直面せざるを得ないという意味での内側の黒船を、今度の電子書籍と電子書籍リーダーがなぜか、図星という感じでぴったり来たというに過ぎない。


このままではいけないという、もやもやとして抱えていたものを、はっきりと指し示す符牒としてぴったりなわけです。じゃ何をはっきりと示したか、はい黒船です。みたいな、一種スケープゴート的な役割をこの黒船は演じているところがあります。


ごく単純化して言えば、「紙の本を滅ぼしに来る黒船」ですが、それはない。


そんなもの来るまでもなく、とっくに自滅しつつあるものが、ごろごろしてるわけであって。


ついこないだ惜しくも亡くなられてしまった、井上ひさしさんの、コメ自由化のときの徹底抗戦ぶりを思えば、何をがたがた騒いでる?って感じかもしれないです。


たかが新しい機器の登場であり、新しい本の配信システムの登場が、なぜ「黒船」と重ね併せられるのか。あいつとか、こいつとか具体的に名指すとまずいものを、ひとまとめにして、とりあえずマスキングしたまま、でもやっぱ黒船はなんとかしなくちゃね、という便利な仮想敵でもあるわけで。


だから黙って、オートポイエシスするっきゃないです。


電子書籍の実験(1):Alice for the iPad


電子書籍の実験(2):聖書に隠された成功法則『ザ・ステイタス』紙版と電子版、同時リリース


電子書籍の実験(3):でじたる書房「電子書籍から商業出版へ!」


電子書籍の実験(4):日経パソコン オンライン


電子書籍の実験(5):電話営業とパターン配本


次回は、紙の竹尾のことを、とりあげようと思います。