ソクラテスについては、わたしなんぞはその修辞学、レトリックの側から接近したりするわけでして、『ソクラテスの弁明』からでは、ありません。
相当、アクロバチックなことやってます^^
まあそれはさておき、「ソクラテスは本を書かなかった」という、お話です。これがなぜテーマ「出版術2.0」なのか?
本書いてないんだから、関係ないじゃん?
それが大ありなんです。
で、『ソクラテスの弁明』もソクラテス自身の著作ではなくて、弟子のプラトンがまとめたものです。
『対話篇』もそうです。このタイトルが大きなヒントでして、ソクラテスは、直接対面して議論する、対話することによってしか、本当のことは伝わらないし、思考も研ぎ澄まされないと考えていたようです。
つまり、書き言葉を信用しない、文字で書かれたものに信頼をおくことができなかったということです。
ここ、わかりにくくなっています。もう遠く来てしまいましたから。でもまあ、近いことは、ゼミなどではやられていることでしょうし、ワークショップ型、インタラクティブのやりとりがあるセミナーなどは、かろうじて近いものを残していると言えるかもしれません。
ともあれ、話すこと、語ること、対話を重視して、「書き言葉を信用しなかった哲人ソクラテスの出版術」を考えると、いろいろ面白いヒントがもらえます。
雑誌に「座談会」を記事化して収録するということを初めてやったのは、文藝春秋を創刊した菊池寛です。このへんも睨み合わせて、話すことと書くことの切っても切れない仲を、よくよく見ていくと、今に通用する、技を確立することが出来ます。それも、書く技術としての技です。
ソクラテスがなぜ本を書かなかったのか、その真相は、この本でも明かされています。
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