「筆は一本、箸は二本、とかく食うのは難しい」などと記憶し、てっきり芥川龍之介の言葉だと思いこんでいましたが、よくよく調べてみたら、斎藤緑雨の言葉でした^^;
しかも、文言もまったく違う。
「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。衆寡敵せずと知るべし」と、擬古文というか漢文調です(明治の人ですから、そこは別に普通なんですが)。
ペン1本じゃ、箸には敵わないってことですね。これ、ウィットというか、自分の貧しさを笑い飛ばしてるようでもあります。
ただですね、「筆1本で」というハングリー・スピリットは、これ捨てたもんじゃないと思います。
清貧とか、そういうことを言うつもりはありません。ただ、忘れてはいけないものが、ここにはあるような気がするわけです。
あまりにも、忘れられ過ぎているような気がします。
まあ、筆一本には、かつては「売文」という、これまた厄介な自意識がついてまわったようで、それは勘弁ですが。
情報ビジネスと斎藤緑雨を比べるのは、あまりにも乱暴ですが(爆)、
ちょっとは爪の垢、煎じてブレンドすると、より香ばしい仕事が出来るような気がします。
斎藤緑雨は、いま5000円札になっている樋口一葉に「敵にまわしてもおもしろい。味方にすると、なおおもしろそうだ」と言わせた、機知と諧謔やパロディ精神にあふれた、辛辣な批評家、小説家として活躍し、36歳で自らの死亡広告を新聞に出し、病死しています。
1992年に斎藤緑雨賞が創設され、次のような錚々たる書き手の作品に賞が贈られています。
