〈わが家の茶模様の猫たち〉
今日も少し寒いので、『タロウ』と『よっちゃん』はくっついて眠っている。
『まる』ちゃんは、いつも遠慮がちだけれど、右手の方にストーブがあって、つい先ほどまでストーブにあたっていた。
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華子さんは、同じマンションに住む綾先生を夜中に訪ねた。こうゆうことは珍しいことで、綾先生が、洋子の家に招待されることの方が多かったし、夜中の訪問は、初めての事であった。華子は、訪問について電話連絡もしなかったので、綾先生は、少し驚いていたが、すぐ部屋に招き入れて、華子さんの話に、耳を貸した。
「今回の蔵王行の件で、私もお手伝いをしようかなと思ったので、その計画を伝えに来たのよ。夜は、霊たちが飛んでいるので、電話連絡もままならないから、突然の訪問でごめんなさい」
「華子さんが力を貸してくれると助かるわ。宗像とのかかわりは、もう終わりにしたいので、今回は、男性たちの力も借りるのよ。宗像も強力な男性霊能者をガードマンとして連れているらしいので、女だけでは、太刀打ちできそうもないから」綾先生は、華子さんには、本音を明かしている。
「意表という手段は有効だと思うわ。ただ、宗像女史のような性格の人は、他にも敵がいるはずで、今回の旅行の事がこちらに漏れたということは、他にも知っている彼女の敵がいるということも考えなければならないわね。みんなが意表という手段を使うとしたら、敵味方が入り乱れて、計算どうりにはいかないでしょう。だから、宗像たちの動静を広い範囲で見張る係りはいるわね。もし、別のグループが彼女に立ち向かっているとしたら、まずは、そちらに任せて、我々は引くという案はどうかしら。その時は、成果までは見ないで、すぐその場を離れて、彼女たちが勝てば、また次の機会にするか、負ければしめたものだし、宗教同士の戦いに宗像女史の関心が向けば、今後、綾先生の方を気に掛ける余裕がなくなるのではないかしら」
「今のところ、彼女の新興宗教に立ち向かっているグループについての情報はないけれど、我々の知らないところでの軋轢はあるかもしれないわね。そちらの戦いが感じられたら、すぐ山を下りましょう」
「私は、今晩中に、仲間を集めて、明日、蔵王山のあちこちに登ってもらうわ。そして宗像女史たちの廻りに不穏な動きがないか知らせてもらうことにするわ。全員ヨーロッパ系の男の人ばかりで、大学生や英会話の先生たちかな、外人の方が、疑われないでしょう。彼らの霊は、ヨーロッパの戦いの経験のある中世の霊たちだから、今回の偵察隊にはちょうどいいわね。私に貸しのある人たちだから、きっと協力してくれると思う。私も蔵王山に行くけれど、気にしなくていいわ。綾さんにだけ知ってもらっていれば、それも奇襲の一役になるかもしれないから」
「ありがとう。華子さんにバックアップしてもらえるなんて、幸運だわ。お互い気を付けましょうね。今晩は本当にありがとう。おやすみなさい」
華子は、自宅に戻ると、大至急、友人の男どもに電話を入れ、宗像女史と綾研究室とのいきさつをかいつまんで話し、明日、大きな精神的戦闘が行われる件を伝え、それを見守る係りを引き受けてほしいと4人に伝えた。彼らは、運よく予定がなく、喜んで援助すると言ってくれた。分からないことがあれば、霊を飛ばしてくれれば、華子の霊が応じると言って、華子自身は、午前3時ごろには眠りについた。華子から電話をもらった男の子たちの霊は、十字軍やバラ戦争などに参加した家系の者たちで、戦いと聞くと、血が騒ぐのだった。きっと彼らの感覚が、今回役に立つと、華子さんは確信していた。


