テラスハウスは西洋長屋!
先日、twitterで「ついに、阿佐ヶ谷住宅が取り壊される! 一帯に、ロープが張り巡らされた!」という話を、友人がリツイート。その日は、もともと同僚が探訪に行く予定でしたが、急遽ボクも参加しました。
都内の団地というと赤羽の団地。この赤羽台団地が最古の団地、とよくいわれますが、実は「23区内初の大規模団地」という括弧付きの話で、赤羽台団地が誕生する4年前、1958(昭和33)年には阿佐ヶ谷で大規模な団地が誕生しています。公団阿佐ヶ谷団地です。
こちらは、3階ないし4建てのRC(鉄筋コンクリート)造りのほか、陸屋根(平らな屋根)と片側に大きく流れる傾斜屋根の2タイプのテラスハウスが建てられていました。大きな傾斜屋根が前川國男の設計です。
テラスハウスというと、イギリスのテラスハウスを思い起こさせます。ポアロのようなイギリス映画なんかで(ポアロを見ていないんですが……)出てくる集合住宅で、車道からちょっとあがった段差歩道から建物の間に若干開けられた隙間(ドライエリア・空堀)上を数段上り、人一人か二人がやっと立てるだろうかというテラスからドアを開けて家の中に入る。各家は縦に割ったメゾネット方式です。テラスが階段の踊り場? なんて思ってしまいますが、住居の裏には居住者だけが使える庭が用意されています。
前川が設計したわが国のテラスハウスは……。平屋建て、基本的に4軒長屋で、両端に一軒ずつの出入り口、それに中央に2軒並んだ入り口。各戸の入り口にはテラスがあって、そこから家の中に入ります。
家の裏手には、テラス? このスペースは個人所有のものではなく、誰のものでもない、“コモン”として設けました。
このコモン、50年後の現在では、住居裏を取り囲むように編みフェンスで覆われていました。コモンは結局私有物へ――。まあ、アパートの裏庭は1階の部屋の住人のもの、という流れと同じですね。現在では、1階居住者に使用権が認められているマンションもありますが、その実験というか、設計者の大きな試みといってもよかったでしょ。残念な結果ではありますが。
このテラスハウス、住宅の分け方としては、長屋に属します。前川さんが設計したので、おしゃれな、伝説的な建物として伝えられていますが、このテラスハウス以前に立てられていた都営住宅は2軒長屋で前庭付き。これは、江戸、明治から続く長屋を踏襲したものなんでしょうが、なんとも似通って見えてなりませんでした。不思議と!



