本物の『すずの兵隊』とホンモノの錫のハート。 | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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錫のハート


『錫の兵隊(ボクの個人的記憶バージョン)』 を公開したら、早速、読者から連絡をもらった。


「原作は、青空文庫にありましたよ♪」
そうだ、青空文庫を忘れていた!


青空文庫 は、インターネット初期から積極的に活動をしているネット図書館で、著作権が切れた名作をボランティアでテキスト化し、公開している。久しぶりに訪ねてみたら、収録点数は5,000点を超えていた。

著作権は、著者没後50年で消滅する。海外の小説の場合は翻訳者がいるので、同時に翻訳者没後50年を経る必要がある。
著者のアンデルセンは1875年8月4日に亡くなっているので、すでに著作権は切れていて、青空文庫に収録されている『すずの兵隊』の底本(テキスト化するための元となる本)は、新訳アンデルセン童話集第一巻『しっかり者のすずの兵隊』(翻訳/楠山 正雄 同和春秋社/1955年7月20日初版)。翻訳者の権利も消滅している。
挿画も当時のままに、収録されているので、ぜひ読んでみて欲しい。グリム童話ほどではないけれど、けっこうシビア。

■http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42379.html


ボクが子どもの頃に手にした『すずの兵隊』は、原作を元にして書き下ろしたもっと易しい童話集だったのだろうけれど、どうやらボクは、さらに自分なりに感じた部分をデフォルメして記憶していたらしい。
そういえば、錫の兵隊の原材料はスプーンだったんだな、とか、ドブネズミは門番だった…とディテールを思い出す。
記憶は曖昧だったけど、ボクは思い出のなかで付きあってきたボク仕様の結末の方がやっぱり好きかも。思い出は、自分の都合の良いように改ざんされるのが常なのだ。
だから、そんなことはないとは思うけど、ボク仕様の『錫の兵隊』を子どもに読み聞かせたりしないように! ボクみたいなオトナになっちゃう…。


で、同時に、ホントに“錫”で鋳造された“ハート”を持っていることも思い出した。
2004年12月19日のブログに、『ラッキー・コイン』 のタイトルで書いていた。

ヨーロッパの古い言い伝えで、持っていると願いが叶うというコイン。
いまでもずっと、財布に小銭と一緒に入れて、いつも持ち歩いている。

大きさといい、表面の粗い加工といい、まるで暖炉に燃え残ったハートそのものじゃないか。
これからはこのコインを、錫の兵隊とバレリーナの愛が成就した結晶だと思うことにしよう。