焚き火が好きだった。(個人情報の保護) | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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数年前まで、ドラム缶様の焼却炉で紙のゴミを燃やすのが週末の楽しみだった。
もちろん、焚き火をしたかったけど、住宅街の小さな庭ではそうもいかない。煙も匂いも、それに火の粉も気になる。
そこで、高温で灰が白くなるまで燃やし尽くすという小型の焼却炉を購入して、いろんなモノを燃やした。空気穴の開閉度合いや投げ入れる紙の量次第で、燃料も使わないのにゴーと音を出しながら吹き上げる炎は、とっても好きだった。

火は、たぶん人に根源的な安心感を与えてくれるのだろう。それに、不要なモノを永久に取り戻せないように燃やしてしまうという行為は、ある意味、ストレス解消にもなった。

 

しかしダイオキシン問題で、ある時期から都内では焚き火はもちろん、家庭での焼却炉の使用もほとんど不可能になっている。それなりの金額を出せば、ダイオキシンの発生を抑えるという800度燃焼の小型焼却炉もあるのだが、炎が見えない焼却炉では面白くも何ともない。こうして、楽しみのひとつが奪われた。

 

焼却炉を愛用していたころ燃やしていたのは、山のように届くダイレクトメールや古い請求書、メモや会社から持ち帰った書きかけの企画書、買い物のレシート、市販薬のパッケージや、もっと恥ずかしいモノなどなど。つまり、主に個人情報だ。
じつは焼却炉は楽しみだけではなく、安心してゴミを処理する貴重な存在でもあった。

 

1993年、東京都はマナー向上とダイオキシン発生防止のため黒いビニール製のゴミ袋を禁止して、現在の半透明のタンカル入りゴミ袋を指定した。餌漁りを視力に頼っているというカラスが急激に増加したのもこのころからだが、カラスにも中が見える、ということは人の目にも見える、ということだ。

 

ボクは、焼却炉を諦めると同時に、シュレッダーを購入した。
いままで燃やしていたモノを、とてもとても、半透明なゴミ袋で世間に晒したくなかったからだ。

 

朝、街を歩くとゴミ袋には様々な生活の残滓が詰め込まれて出されている。ちらりちらりと目をやると、ハガキの宛名を始めとして、様々な個人情報が透けて見える。その人の常備薬が分かる。使っているクレジットカードの種類がわかる。寄付の依頼状から卒業した学校も知れるし、宅配便の伝票から購入した物品まで分かる。

それらが、カラスに突かれた袋からは路上に溢れ出て、チョー恥ずかしい。っていうか、ヤバイでしょ、これ。

 

酷使したシュレッダーは数年で歯がダメになり、いまは2代目。復元がほぼ不可能といわれるクロスカットで処理してくれる高性能機で、普通の紙なら一度に10枚の断裁が可能だ。
捨てる、残しておく、という判断。決断。シュレッダーにかける行為は、焚き火と同じで、いまそこにあるモノを過去に葬り去り二度と復元できないというスリルと快感を伴う。焚き火ほどではないにしろ、なかなか楽しめる。

 

個人情報保護法の施行で、会社は大慌てだったが、おかげで個人レベルでの情報漏洩に関する意識も高まっているという。あちこちで、家庭用シュレッダーの品切れ状態が続いている。良いことだ。
そこで、シュレッダー歴10年のボクからアドバイスをさせてもらうなら、とにかく安物を買わないこと、だ。あらためて自分の周囲を見回してみると、思いの外、個人情報の記載されている書類が多いことがわかる。だから、手動や電池式のおもちゃのようなシュレッダーはほとんど役に立たない。スパイや粘着質のストーカーなら、時間をかけて復元可能なストレートカットタイプよりも、縦横に切り刻んでくれるクロスカットタイプがイイ。
ちなみに、ボクが使っているのは、“フェローズ シュレッダー PS80C-2+”

 

生きていれば、どんどん溜まるゴミ。とっておけば執着に変わる思い出も、ズバズバ断裁すれば、未来に向かって生きていけるよ。