野ブタ。をプロデュース/白岩 玄 | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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もし雑誌をやっていたら記事にしたかもしれない様々なネタを、ジャンルにこだわらずコラム風に書いてみる。アナログ志向のデジタル編集者は、相も変わらずジタバタと24時間営業中!


中学、高校のころに、ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』や、太宰治の『人間失格』や、石川達三の『青春の蹉跌』なんかを読んでしまって、死ぬことを考えた人は多いのではないだろうか。
もちろん、ヘア解禁すら夢でしかなかった昔々のニッポンの若者の話である。

いま“野ブタ。”を読む青少年は、きっときっと、当時のボクらと同じような辛さを感じるに違いない。

タイトルが“内P”だし、“文藝賞”受賞時の選者たちの評価で、「セカチュウ」で泣いている場合ではない。「野ブタ。」を読んで笑いなさい。(斉藤美奈子氏)というのがあって、こんなの読まん、と手にしなかった小説。はちゃめちゃギャグ小説だと思っていたのだ。
でもアマゾンの俄批評家たちがボロクソ書いているんで、これは面白いかも(^.^)と、手に取ってみた。

「寒い。寒いよ、パトラッシュ。」とか「親指で折った紙飛行機を飛ばしまくって想いを伝えてくるのはやめなさい。」(携帯Mailのこと)とか、センス良く、テンポ良く、今どきの高校生っぽく、小説は展開する。心地良い。そして、その心地よさそのものが、ビミョーなバランスの上に成り立っているリアルな世界とシンクロしながらビミョーに崩れていく。

ボクは、このブログで本を取り上げるとき、書評を書いているつもりはない。だから、ストーリーとか、背景とかの基本情報はどうでも良くて、まあ、感想の羅列でしかないのだけれど、もし、若い人がこのブログを読んでいたとしたら、面白いけどちょっと辛いぞ、と忠告しておきたい。親の世代に対しては、この小説に出会えたことを感謝するべきだ、と言っておきたい。

特に小説のラストに関しては、いま所属している社会、階層によって、きっと受け止め方も評価も、まったく異なるとは思うけれど、ボクはこの「野ブタ。」全体を極めてリアルな青春小説として真摯に、かつ面白く読んだ。
でも、こういう作品は、きっとあっという間に消えていくんだろうな。。
若者にとってのリアリティ、影響力は、100年も前に書かれた異国の名作『車輪の下』(1906年作)よりもはるかに大きいと思うんだけど。

野ブタ。をプロデュース/白岩 玄http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309016839/ideabowl-22/

■TB■
いなかの本屋のモノローグ/まつの“俺ならこう書く”
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書店さんがご自分の店でPOPを書くなら…の視点で、「ベストセラー以外」を取り上げるブログです。単なる書評ではないアプローチが素敵です。