edhogedhogのブログ -13ページ目

edhogedhogのブログ

ブログの説明を入力します。

     五 猫の魂

「てつ」は源げんさんへ縁づいたのちも時々僕の家うちへ遊びに来た。僕はそのころ「てつ」の話した、こういう怪談を覚えている。――ある日の午後、「てつ」は長火鉢ながひばちに頬杖ほほづえをつき、半睡半醒はんすいはんせいの境にさまよっていた。すると小さい火の玉が一つ、「てつ」の顔のまわりを飛びめぐり始めた。「てつ」ははっとして目を醒さました。火の玉はもちろんその時にはもうどこかへ消え失うせていた。しかし「てつ」の信ずるところによればそれは四、五日前に死んだ「てつ」の飼い猫ねこの魂がじゃれに来たに違いないというのだった。

     六 草双紙

 僕の家うちの本箱には草双紙くさぞうしがいっぱいつまっていた。僕はもの心のついたころからこれらの草双紙を愛していた。ことに「西遊記さいゆうき」を翻案した「金毘羅利生記こんぴらりしょうき」を愛していた。「金毘羅利生記」の主人公はあるいは僕の記憶に残った第一の作中人物かもしれない。それは岩裂いわさきの神という、兜巾鈴懸ときんすずかけを装った、目まなざしの恐ろしい大天狗だいてんぐだった。

     七 お狸様

 僕の家うちには祖父の代からお狸様たぬきさまというものを祀まつっていた。それは赤い布団にのった一対の狸の土偶でくだった。僕はこのお狸様にも何か恐怖を感じていた。お狸様を祀ることはどういう因縁によったものか、父や母さえも知らないらしい。しかしいまだに僕の家には薄暗い納戸なんどの隅すみ