遠野はいつしかジンギスカンで有名になった。市内の多くの店でジンギスカンを提供している。
昔は綿羊が盛んで、焼肉と言ったらジンギスカンだったそうだ。山間の街ではときどきこういう話を聞く。
 
遠野の超有名店といえば、あんべ。
昭和30年頃にはジンギスカンが食されてきたそうだ。おそらく岩手県で一番最初に羊肉を提供したのが、こちらではないかとされている。
初代は満州従軍中に羊肉料理に親しんだ。帰国して食堂を開く際に、羊肉を仕入れて提供したという。遠野のジンギスカン文化発祥の店と言われている。
そして、遠野ジンギスカンで特徴的なのは、ジンギスカンバケツ。野外で風穴を開けたバケツで七輪代わりに火を起こしジンギスカン鍋を乗せて楽しむスタイル。ジンギスカンバケツの考案者もこちらの初代と言われている。
 
あんべは、2023年に入るや改装のため一時閉店をする。
近くで仮店舗による肉販売は継続していたが、レストラン部は閉店となった。
2023年8月に再開予定が延びて、10月にようやく再開。待ち焦がれた客で大行列に。ちなみに予約は受け付けていない。
 
[あんべ食べ比べセット定食@2180]
新しい店舗はテーブル10卓で、窓が大きく開放的なお洒落な店内。併設されているお土産コーナーがあり、ジェラートなども売っている。
さすがにジンギスカンバケツではない。外ではジンギスカンバケツで食べられるみたい。
マトンモモ、ラムカタ、ラムモモ、カタロースの4種。野菜(もやし、玉葱、ピーマン)、ご飯、汁物(鶏鍋のようなもの)、お新香。あんべオリジナルの肉味噌も付く。
最初に脂を鍋に塗り、野菜を周囲に、肉は端の色が変わるまで待って裏返す。小鉢のタレに浸けて頂く。
 
肉はさすがに質が良く、モチモチと柔らかく、しっかりとした噛み応え、噛むほどに味が出る。
臭みもなく美味しい焼肉。マトンも肉質がしっかりしていて味わいがあった。
販売もしている自家製タレは甘辛でニンニクもほど良く効いている。後口サッパリ。
肉脂をまとった野菜は旨いのだが、どうしても焦げてしまう。ジンギスカンのときのジレンマ。
 
美味しいジンギスカンが楽しめた。正直言うと、札幌ジンギスカンと何か決定的に違うものは感じられないが。
店のオペレーションにはかなり不満が残った。注文してから提供までの時間が実に長い。解体から始めているのかと思うほど(30分以上掛かった)。お会計時に電子マネー可とシールがあったので希望したら、扱っていないと言われた。不思議に思いながら現金を用意しようとしていたら、何やらインカムで長く話している。別な店員がやってきて電子マネー会計してくれた。なんだかな。