今日はこれから断酒会だ。

 断酒会と言えば体育会系ということで、前回は激しい断酒祭を行い日本中の酒瓶を割る儀式を想像していた。行くまで非常に緊張した。





しかし、実際に行ってみるとそこは愛に満ち溢れた会場だった。ピンク色はコウモリではなく天使だ。




しかし油断はできない。

今夜も体育会系を覚悟して臨もうと思う。


では、行ってきます。

 なぜか土下座して何かに謝る女性がいる。看護師さんも何回も対応し、そのうち声かけし、時には後ろから両腋窩を抱えて立たせる。ナースステーションから看護師が出てきたら、何かを訴えるためにその人の後ろをついていく。まるで親鳥についていく雛鳥のようだ。

 病院の床に土下座したりしゃがんだり、体操座りしたり、一日中何度も立ち座りをしていて足の疲労が気になる。すり足だし、スリッパだし。少し円背だけどそれでも転倒はない。

 ある日僕が座る席の横で土下座し始めたので、無視するわけにもいかず、「何も悪いことしてないんだから、謝らなくていいんですよ。さあお席に座りましょう。」と席まで案内した。

 次の日から僕が親鳥になってしまった。


 クラフトの時間、僕はイラストを描く。その他パズル、クロスワードなどをやる方もいる。

 高齢の女性で数名はビーズでブレスレットを作る。このグループは毎回そのうちの一人がビーズを大量に落下させる。周りの女性が拾おうとするがみんな腰、膝が悪く転倒の危険性がある。OTさんが必死に止めるが、優しいみなさんは拾おうとする。カオスだ。僕も膝が悪いんだけど🏥では動ける方だから拾う羽目になる。箱の中で作業して欲しい。


 宗教の勧誘をする新参者が来た。朝一番で誰もいないコインランドリーに洗濯に行った。するとその方が朝日に向かって何かしらの儀式を行なっていた。幸いなことに神聖な儀式らしく僕のことは無視していたので、音速で洗濯物を入れスイッチを押して逃げた。


 「ねえ聞いてよお兄さん。私ここくる前の施設では普通食だったのに、ここに来たら急にミキサー食になったのよ。ひどくない?一度パンが詰まって救急車で搬送されたけど覚えてないし、今元気なんだからさ。普通食で大丈夫なのに。後で先生に言うの。あなたもそう思うでしょ?」

と、すれ違うたびにおっしゃる方がいる。


 その方が「私いくつに見える?」と聞いてきた。おそらく70〜80歳位と思われたので、病院や施設で培ったトーク技術で「うーん45歳くらいかな」と正解な対応として言ったら「ちがうの。もう60なのよ」と。危なかった。


 病院敷地内の道の真ん中に大の字で倒れてる人がいた。転倒か?と近寄ったところで、病院看護師も通りがかった。本人に確認すると天気がいいから寝てたそうだ。


 食事の時、席はたくさん空いてるのに、真横に座る人多数。


 医療人としてお手伝いしたい時はたくさんあるが立場は患者なので、結構気疲れすることがある。

 今日(実際には昨日)は勤務先の老健に現状報告に行く日だ。山奥の病院だけに14時の約束時間に着くために、看護師さんにお願いして午後の外出許可時間よりもかなり早く出所、いや出発させてもらった。模範囚、いや模範患者でいたことがうまく役に立った。

 バスはゆっくり山道を進む。少しずつ窓外の景色が都会になっていく。あ、マクドナルド!

あ、吉野家。あ、味の民芸。レアだ。


 途中で電車に乗り換え職場の最寄駅へ。

「久しぶりだ。」

ほんとに感想はそれだけ。

嫌な気持ちは一つもない。

ただ穴を開けて申し訳ない・恥ずかしい気持ちと、同僚に会いたい気持ちだけ。

 川には相変わらず鯉が多く、小さかった子カルガモも中ぐらいの大きさに成長していた。

 なんとなくいつも通り職員通用口から入った。


 勤務する部署に行くと、休職してからも連絡をくれ励ましてくれた同僚が迎えてくれた。

「痩せたね」と僕が一番好きな言葉をかけてくれた。

 みんな利用者さんとリハビリをしている。もう少ししたらここで同じように働けるだろうか。


 そして久しぶりに上司と面談。相手は上司1、上司2。相撲で言えば横綱だ。

 逆に僕は幕下にも行ってない序二段くらいだ。

ちなみに相撲はそれほど好きではない。

 ただ横綱を前にした序二段の例えを通して状況をわかってもらいたかった。




 一度幕下まで上がったのに入院で筋肉が減り序二段に落ちた僕なんて、上司にとってはMMT1の力でひっくり返すだろう。

 相撲はあまり好きではないが例えとして使った。


 結果として上司は優しく出迎えてくれた。

僕の体調を優先に今後の復帰について考えてくれるとのこと。


 ありがたい。

 早く戻りたいが医師、心理の先生からは色々と注意されていることがある。

 

 できるだけ治療を頑張ろうと誓い病院を後にした。


 なお帰院後すぐに準備して、今度はAAに出発。疲れたが有意義な一日だった。