MISSION03 群れ | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍系の創作小説や関連ネタメイン。
現在は凍結中

 それは出撃前の出来事になる。 

 巨大生物――どう見たって蟻なのだがEDFはいまだその事実を認めてはいない――の群れが出現したとの報せを受け、EDFの陸戦兵は総員出撃。

 目的地へと向かう輸送車両の中でのことだ。

「陸。聞いたぞ。この前の作戦の時、撤退命令無視して敵を壊滅させたんだってな」

 話しかけてきたのは、訓練学校を同期で卒業した結城だった。少々、というか少し大袈裟なところはあるものの、根は真面目な奴である。

「…まぁな」

 ふと思い出す。アレは本当に不毛な戦いだったと。同じシチェーションを何回も何回も……。しかもなんか難易度が途中で上がっていたような気もするし。っと、話題が逸れたな。

「そう言う結城こそ大丈夫だったみたいだな」

 前回の作戦では、被害も相当に出たと聞く。だからこそ撤退命令が出たのだろう。しかし、今ここにいると言う事は、結城もその危機を脱したということになる。

「なんとか。かなり危なかったけどな」

 苦笑を浮かべる結城。

 やがて、間もなく作戦区域に到着する時間となった。それぞれで担当の区域が違うため、結城とはここでお別れだ。

「……実はさ」

 目的地に到着し、外に出ようとした所でおもむろに結城が口を開いた。

「今日は、妹の誕生日なんだ。だから、これが終わったらプレゼントを持って行くんだ」

「…妹がいたのか?」

「あぁ。控えめで大人しくて口数の少ない奴でさ。なぜか…暗殺術を習うとか言って家を出たんだけど」

「………!?Σ(=□=;)」

 今のご時勢に暗殺術なんてあったのか。っていうか、よく許したなご両親。いや、そもそもなんで?といろいろ突っ込みたい衝動に駆られたが抑えた。なんとなく突っ込めるような空気ではない。

「だから普段はいないんだけど、たまに帰って来るんだ。それで今日は帰ってくるから…たまにはと思ってな」

「そうか。……なら死ぬなよ?」

「あぁ。陸もな!!」

 互いに言葉をかわし軽く拳を突き合わせる。そして巨大生物(蟻)を掃討すべく、作戦区域へと入った。



 作戦エリアに到着して、レーダーを確認すると、敵グループは3つに別れており、かなり広範囲に散らばっているようだった。

 ちなみに今回の装備は、スパローショットと言うショットガンと、ゴリアスロケットランチャーの二つである。スパローショットは、連射が利くタイプであるため、弾数は少ないものの殲滅力もあるというなかなか良い武器だ。

 単発火力は、SGシリーズに劣るが、総合的には使いやすい。

 まず、逃げる市民を追いかけるようにして現れた巨大生物(だから蟻だってのに)をゴリアスとスパローショットで掃討する。最初の時と同様、敵の注意が市民に向いていたため、大して苦戦はしなかった。

 そして最初のグループをほぼ討伐しかけたころのことだった。

「本部、応答願います。本部応答願います!!こちら結城 現在、巨大生物の群れと交戦中!!」

 別エリアで戦闘に入ったと思われる結城の声が通信に響いた。どうやらがんばっているらしい。

 しかし、それも束の間のことだった。

「な、なんだこれは? 蟻の体液か?」

 不意に、ひどく動揺したようなそんな声が響く。

「どうした結城!? 大丈夫か!?」

「うわっ…さ―--」

「さ?」

 一瞬の間。そして結城の叫びが響く。





「さんだぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!?」






「なっ!?結城!!しっかりしろっ!!結城ッ!!」

 必死で呼びかける。しかし――次に聞こえてきたのは、さらに良くないものだった。

「だ、駄目だ数が多すぎるっ。う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「結城ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 思わず叫ぶ。だが、それに答える声はなく―――後には聞こえるのは雑音だけだ。

「……くっ」

 わかってはいたことだ。これは実戦。命をかけた戦いなのだ。だから死ぬこともある。

 今回は、それが結城だった。しかし、次は自分かもしれない。

「………」

 いっそ逃げようか。そんな思いも浮かぶが考えなおした。ここで逃げたら話が進まない。

 それならば、今できることをやるしかない。そう――結城の敵討ちだ。

 結城は、死際に貴重な情報を残してくれた。どうやら以前と違って、この蟻は新たな攻撃をしてくるらしい。だからこそ結城はやられてしまったのだ。

 結城はなんと言ったか? もういちど記憶を思い返す。



「サンダァァァァァァァーッ!?」


 

 そうサンダーと言った(マテ

 サンダー。日本語に翻訳すれば雷だ。

「………」

 雷…?ということは雷撃ということになる。雷撃ってのは、いわゆる雷の事で光速である。

 そして、そのエネルギーと言うか破壊力は恐ろしい限りで、一発でプールの水が蒸発するとか、その一発分のエネルギーで電車がかなりの距離を走れるとか、ともかくとんでもないレベルである。

 間違いなく即死クラスだ。

 …結城がやられてしまうのもわかる気がする。というか、そんなのに勝てるはずがない。

「……っ!?」

 そこでふと我に帰った。

 気がつけば、正面に蟻が一体。お尻の部分をこちらに向けていた。やばいっ。サンダーが来るっ!?

 だが1秒で世界を7周半もする早さの攻撃だ。回避などできるはずがない。

「……くっ!!!」

 その状況で出来ることと言えば、両腕で顔を隠して身を竦めることしかできなかった。

 やがて身体を高圧電流が貫いて――――



 ――ってことはなかった。代わりに水を被ったような感覚がして、我に帰る。

 EDFのアーマースーツのおかげで、致命傷ではなかったが、その液体を浴びたところから微かに白い煙が出ていた。

 これはサンダーではない。酸だー。










 ……なぜだろう。空気が凍った気がする。












 まぁ、話を戻そう。

 どうやら蟻の攻撃方法はサンダーではなく酸だったようだ。

 全く、少しばかり大袈裟な所があるのは知っていたが、最後の最後まで徹底するとは…。

 おかげで少し勘違いをしてしまった…。まぁ、結城らしいと言えば、結城らしいのだが。(あんたが勝手に誤解しただけだろっ!!by読者の声(予想))


 しかし、酸程度の攻撃なら、なんとかなる。

 攻撃の速度は遅いし、落ち着いて対処すれば、まだどうにかなるレベルだ。

 これなら結城の仇も―――とれる。

 スパローショットを構える。残りの敵集団は二つ。だが―-―止められると思うなよっ!!結城の仇だっ





 












 作戦終了後。

「……結城、お前死んだんじゃ…」

「ちょっ、勝手に殺さないでくれよ。そりゃあ、死ぬかとは思ったけど」

「でも、最後にうわぁぁぁぁって。それで通信も切れたし」

「強力な酸だとわかった直後に、それをまともに食らったんだ。てっきりあっさり溶かされるかと思ってさ…。でもアーマースーツのおかげで助かったんだ。けど、酸のおかげで通信機が壊れて――」

「……なるほど。筋が通ってる」

「解釈の違い一つで、こうも変わるもんなんだな…(汗」



つづく(ぉ


☆えむ’sコメント☆

 陸隊員はマジボケタイプです。真面目だけどw

 そして、前代未聞の結城隊員生存。

 まぁ、流れとしては全て辻褄は通っていると思います。おそらく、大半のEDF世界では死んだことになっているでしょうが(苦笑

 そして、さりげなく防衛記録2とのリンクも。まぁ、小説だから独自設定は常識ですし…ねw