10万Hit記念リクエスト話 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍系の創作小説や関連ネタメイン。
現在は凍結中

、これは…現在のEDFでも、恐らく多分五指に入るのではないかとうわさされている一人のペイルウイング隊員に関する記録である。


 その日、彼女――神谷 薫隊員は、Fさんの経営する「とっても美味しいケーキ屋さん」にて、大好物のイチゴショートケーキを食べていた。この日は、休暇であり、このケーキ屋さんの常連客である神谷隊員は、時間が出来る度にこのお店に来ては一度ショートケーキを食べている。

 ……なんか、どっかで見た事のある光景だが、それはたぶんデジャヴだろう。と言っておく(マテ

 もちろんFさんとも顔なじみだ。

 そして、最後の一口を食べ終わった時の事。突然、緊急を知らせる通信の音が聞こえた。

 休暇中であろうと、状況次第では緊急出動を要請される事があるのだ。

「珍しいわね。緊急呼び出しなんて・・・」

 最近はEDFの戦力も充実してきたため、滅多にそういうことはなかったのだが。

 それでも呼び出しには違いないので、神谷隊員は装備を借りるため、Fさんのいる厨房の方へと向かうのであった。



 さすがにPAR仕様の装備は無理だったが、それでも借りることの出来た装備は、普段神谷隊員が使っている物と、ほとんど同スペックの代物であった。EN消費50%・機動性2倍の飛行ユニット。ただし何でそんなものまで持っているのか。それは誰にもわからない。

 飛行ユニットを展開し、全滅寸前に追い込まれているらしい部隊の元へと急行する。

 やがて、進行ルート上にて巨大生物――黒蟻の大群が行く手を阻んだ。

「……やれやれ」

 出てこなければ撃たれないのに…。と思ったかは定かではないが、素通りするほど甘い性格でもない。

 会敵滅殺。それがEDF(世界)のルールである。

 一旦、地上に降りてエネルギーを回復。それから再び飛行ユニットを展開して突っ込む。

 装備はプラズマグレネードFとデモニックランス。しかし、今ここで主に使うのはエネルギー消費のないプラズマグレネードFの方だ。

 デモニックランスを腰の専用ホルスターに下げ、両手にプラグレFを持つ。

 それから、超低空で黒蟻の大群へと突入する。無数の酸が、その場へと振り注ぐが、それを器用に身を捻って横ロールで回避。それと同時にプラズマグレネードFを二つ同時に間隔を空けて投擲。

 爆風によってふっ飛ぶ黒蟻。

 さらに後ろから迫ってきた黒蟻に対して、振り向き様に抜いたデモニックランスで撃ち抜き、すばやくホルスターに収めると同時に持ち変えたプラズマグレネードFを左右に向かって投擲。

 その動きは、まるで舞を舞っているかのようであった。細かく動き回りながら的確な投擲。それは決して簡単な事ではない。たとえば、回転椅子に座って思いっきり回された状態で、3ポイントシュートを決めるようなものだ。

 普通なら不可能に近い神業。しかし、神谷隊員は、その神業をやってのける隊員であった。いかなる体勢からでもプラズマグレネードだったら投げれる。極端な話、ダロガのビームで吹っ飛ばされてる最中だろうと、カウンターでプラズマグレネードをなげることだってできるのだ。

「まぁ、こんなものね」

 ぶっちゃけて言えば、そんな神谷隊員にとって、黒蟻の大群など敵ではなかった。遭遇して間もなく、進路上にいた黒蟻の大群は全滅したのは言うまでもない。

 これだけだったら、ただすごいだけの隊員であるのだが、神谷隊員には、もう一つ特筆すべき能力があるのである・・・。




 さて、同時刻。

 神谷隊員が救援に向かっていた苦戦中の部隊。それはイヅキ小隊だった。

 とはいえ、他所に劣らぬエース揃いの小隊であるイヅキ小隊が全滅寸前に追い込まれる相手とは、なんなのだろうか。……と、誰もが思うことだろう。

 だが、現にいるのだ。しかも、インベーダーではなく身内に。


 あらすじはこうだ。

 インベーダー出現の報せを受けて出撃したイヅキ小隊は、敵の中にバゥの存在がある事に真っ先に気づいた。

 が、ハルナ隊員という核爆弾を抱えていたため、イヅキ隊員は一計を図る。

 バゥとそれ以外の巨大生物は、完全に二つのグループに別れていたため、ハルナ隊員をバゥのいない巨大生物の群れに向かわせ、バゥはそれ以外のメンバーで対応する事にしたのだ。

 もちろん一人にするわけにもいかないため、イヅキ隊員とエリス隊員。ハルナ隊員とグレイ隊員の二つに小隊を別けた。

 この案が功を為し、ハルナ隊員が暴走することもなく、作戦は順調にすすむこととなる。

 だが、ほんの小さなミスがきっかけで、展開は急変した。



 エリス隊員がアッパーカットでふっとばしたバゥが、ハルナ隊員の上に落ちて来たのである。

 で、そのまま下敷き→大密着☆の大コンボ。

 


 近くにいただけで暴走するハルナ隊員である。そんな対象に押し潰され、大密着状態となったら、どういうことになるか。それは想像するのも難しい事ではない。

 …で、次の瞬間、バゥはデモニックランスで蜂の巣にされ、ものすご~くダークな…アダンでも尻尾撒いて逃げ出しそうなくらいな、負のオーラを漂わせたハルナ隊員がゆらりと立ち上がったわけである。

 あとは野となれ山となれ。

 まず、近くにいたグレイ隊員が瞬殺された。すでに敵は全滅寸前だったのが仇になった瞬間である。

 具体的には猛スピードで突っ込み、デモニックランスを突きつけたまま、強引に頭上に掲げ、そのまま零距離で一発…。 イメージがピンと来ない人は、スパ○ボOGsのアルトア○ゼンが使うリボルビン○・ステークを想像してもらえれば良い(マテ

 そして、バゥ(グレイ隊員)を仕留めた暴走ハルナ隊員は、次の目標をイヅキ隊員とエリス隊員に向けた。

 交戦開始から約120秒後。エリス隊員が戦闘不能に。かなり奮闘したのだが、この時の暴走は今までの暴走をさらに上回るものだったため、一瞬の隙が命取りとなった。

 そして、残るイヅキ隊員だが――――

「キャハハハハハ☆ 逃ゲチャだメダメ~ダよ?バゥちゃァァァぁぁぁン♪」←もはや瞬間移動+デモニック

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」←バナナの皮に滑ってかわした。

「バぅチャンばぅチャン、ハルなトイッしョニ遊ボウヨ~~~~」←倒れたイヅキ隊員に追い打ちデモニック

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」←何かの拍子にハルナ隊員の足元にあった足場として不安定な瓦礫のおかげで直撃回避。

「ネェネェ、ソンなニコワガラないデヨ~。楽ニシテアげルカらァ~キャハ☆」←超スピード突撃デモニック

「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!!(泣)」←直前で腰が抜けてへたりこんだ→回避

 …と、持ち前の超強運フルドライブで、なんとか凌いでいたりする。

 それでも限度はあるもので、本当に絶体絶命っ…と言う時に、現れたのが神谷隊員であった。

「少し手荒く行くわよ…!!」

「うわぁっ?!」

 突然プラズマグレネードが炸裂し、ふっ飛ぶイヅキ隊員とハルナ隊員。

 手荒いなんてものではないが、まぁハルナ隊員との距離をあけることが出来たのは僥倖と言えよう。

「え、えっと…」

「状況を説明してくれる?」

「仲間の一人が暴走した。なんでも、大嫌いなバゥに大密着されたとかで・・・」

「……そう。それは大変だったわね」

 そう答えつつ、神谷隊員はちょっとだけハルナ隊員に同情した。

 仮に「黒い悪魔」が嫌いだったとして…。それを至近距離で見るのと、接触されるのではダメージが違いすぎる。

 とは言え、同情はしても止めなければいけないのも事実だ。すでにハルナ隊員は、負のオーラを放ちつつ、ゆらりと立ち上がっている。

「……私があの子を止めるから、あなたは他の仲間を連れて離脱しなさい」

「で、でも…」

「大丈夫よ、たぶん…」

 微かに笑みを浮かべると、自分のデモニックランスを構える。そして、目を閉じて大きく深呼吸をする。

「…!!」

 そして、不意にカッ…!!と目を見開くと同時に、なんかとんでもない…地球の裏まで届くんじゃ?と思えるくらいに強烈な殺気が放たれ始めた。その度合いは、かつてケーキ屋さんを傷つけられて、ぶち切れたF元隊員にも劣らぬ強烈さだ。

 正直、イヅキ隊員は竦んでしまって動けなくなってたりするのでだが、まぁこればかりはどうしようもない。

「…さて、始めましょうか。最近、骨のある相手がいなかったしねぇ…ふふふふ・・・。さぁ、たのしませてね☆」

 そうつぶやき、神谷隊員は飛行ユニットを展開した。 


 その後の戦闘は、実に凄まじい攻防戦だった。ダイジェストで一部を紹介すれば…。

 ハルナ隊員の瞬間移動デモニックを発射直前でかわし、カウンターにデモニックランスを放てば、それをバック宙で回避。けれども、神谷隊員はプラズマグレネードFを予測して、すでに投げていて、回避と同時に爆発。それでしとめたかと思いきや、爆風の中から飛び出し襲い掛かるハルナ隊員がいて。

 高度なテクニックの応酬。なんつーか、次元が違う。というよりも、エリス隊員ですら止めれなかった相手と互角に戦えている神谷隊員がすごいのだ。

 なんか最初に暴走したような気もするが、そもそもきっかけがない。

 しかし、すぐにイヅキ隊員はある噂を思い立った。理性を残したまま暴走状態にシフトする。俗に言う「覚醒」と呼ばれるレアスキルを持つ者が稀にいるらしいという噂を。

 無茶苦茶ぶりを発揮するのは、覚醒も暴走も同じだが、理性を保ったままの覚醒の場合は、そんな中でも敵味方を識別できたりするのだ。現在、EDFで正式に確認されているのは、元ペイルウイング隊員のフェイさんのみ。だが、まさか他にもいたとは……!!


 とりあえず熾烈を極めている神谷隊員VS暴走ハルナ隊員の戦いであったが、最後は神谷隊員が勝利を掴んだ。戦闘力は互角。いや、わずかにハルナ隊員が上だったが、暴走による思考能力低下が勝負の明暗を分けたのである。

 お互いに離れ、フルスピードで激突する寸前。神谷隊員は、プラズマグレネードFを目前に投擲し、爆発。それを目くらましにハルナ隊員の真横をすり抜け、すれ違い様に後ろからデモニックランスで撃ち抜いたのである。

「ったく……てこずらせてくれたわね…」

 戦闘不能になったハルナ隊員を見下ろし、ポツリと言い放つ。それから、ハルナ隊員を背負うと、瓦礫の影でガタガタずっと震えているイヅキ隊員の方へと向き直った。すでに殺気全開の覚醒モードは終了している。

「……終わったから帰るわよ」

「え?ハルナは?」

「……ほら」

「う、うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 そう言って背負ったハルナ隊員を見せる。そのあとのイヅキ隊員が驚いたのもわからなくはない。

 かつてハルナ隊員が暴走した時。その時は、3人がかりでよーやくなんとか止めれたのだ。あの頃からすれば、グレイ隊員もエリス隊員も強くなっている。が、それでも今回の暴走は手も足も出なかったのだ。そんな相手を一人で止めたと言うのは、すごいってもんじゃあない。

 しかし、世間には次のような格言があるのだ。



【上には上がいる】



 その言葉の意味を、改めて思い知ったイヅキ隊員であった。

 

 


~おまけ~
 数日後。

 神谷隊員の部屋の前に、ハルナ隊員の姿があった。

「…あら?あなたは…」

「…なんかよく覚えてないけど、迷惑かけたから謝ってきた方が良いって隊長に言われた。…ごめん」

「別にいいわよ。いい気晴らしになったし」

「…で、お願いがあって来た」

「お願い?」

「…暴走克服して、神谷隊員みたいになりたい。…だから、よろしく」

「………え?(汗)」



~完~


□えむ’sコメント□

 と言う訳で、特攻兵さんのリクエストに基づいた小説でした。

 神谷隊員強すぎですwww でも、EDFには神谷隊員クラスの人も、まだ他にもいる…というのがマイ設定だったりしますんで、問題なしです。

 ちなみに、暴走克服して、覚醒をマスターしようとハルナ隊員してますが……。

 あの暴走にこそハルナ隊員の存在意義があるので、ぶっちゃけ覚醒は覚えませんので、ご安心くださいw