作戦No.48【総司令本部強襲】 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

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―2026年5月9日 11:35―
―北極上空900m地点 EDF総司令本部 中央管制室―

 突然、管制室に揺れが襲った。いや、管制室だけではない。マザーシップをレストアして大改修した総司令本部全体が揺れている。しかも、頻繁にだ。
 中央司令室は今、騒然としていた。
 皇帝都市アダンを発見し、現地のEDFが攻撃を開始したと同時に、総司令本部にインベーダーの大群が襲撃して来たのだ。
 緊急事態発令後、総司令本部は降下を開始。同時に対空攻撃の緊急モードを立ち上げて迎撃を開始。だが―――
「ディロイ、上層外壁部分にてレーザー及び脚部刺突にて、なおも攻撃中!!」
「ドレットノート1機沈黙!!」
「総司令本部上空にインペリアル・ボマー多数!!爆撃してきます!!」
「対空兵器はボマーを優先的に狙え!!ドレットノートのエンカウントまでは、時間がある!!」
「対空火器損耗率20%!!敵航空戦力にはシールド・ベアラーもいる模様!!」
 状況は、ややインベーダー側へと傾いていた。襲撃と同時に落ちてきたディロイが総司令本部の上部に取り付かれているのを始めとし、敵のほとんどが総司令本部の上から攻撃を仕掛けてくるのである。
「状況は……?」
 不意に中央司令室に入ってくる扉が開き、エム総司令含む数名が中へと入ってきた。
「敵航空戦力30%撃破。ですが、上部に取り付いたディロイによって、こちらの航空戦力も損耗しています!!」
「……やはり上側を狙ってきたか…」
 総司令本部全体のコンディションを表示するモニターを見つめつつ、総司令は静かにうなった。
 マザーシップを改修したとは言え、元はマザーシップ。そのため弱点もマザーシップと同じである。一つは下部にあるハッチ。だが、それは開かなければいいだけの話なので、さほど問題はない。それに航空戦力はもっと別の場所から発進するようにしているので、そこから攻撃を受ける可能性も少ない。
 だが、意外な盲点として、もう一つ弱点があるのだ。
 それがマザーシップの上に面した全ての部分であった。墜落したマザーシップを調査して初めて気づいたのだが、上に面した装甲は比較的薄いのである。その代わり下半分は、ジェノサイド砲ですら防ぎきる重装甲だったりするのだが。
 前大戦や前々大戦で、敵航空戦力によって、真っ先にこちらの空軍が壊滅させられたのは、恐らくその隠れた弱点を突かれないためだったのであろう。
 当然その弱点は、元マザーシップの総司令本部にも適用される。そして総司令本部真上部分には発狂モードの弾も届かないことを考えれば、これほど有効な手段はないだろう。
 ドレットノートやインペリアル・ボマーを大量に投入して来たのも、そういう理由だろう。EDAFと呼ばれる航空戦力もあるが―――ぶっちゃけINFレベルの発狂モードの中でドッグファイトするのは、ニュータイプだろうと無理である。たぶん。
 まだコンディションに余裕があるとは言え、攻撃の死角を突いた見事な作戦に状況は少しずつ追い込まれていた。
「総司令……」
 全員の視線が集中する。幾らピンチとは言え、ここで終わるわけにはいかないのだ。
「――荒技だけど仕方がない。陸戦兵を整備点検用のハッチを使って上部外壁部分に出て、上にいる敵に直接攻撃を仕掛ける」
「……本気ですか? ここは北極地点ですよ?」
 総司令の言葉に、副司令兼秘書の人が怪訝な表情を浮かべた。
「開発中の寒冷地仕様アーマーがあっただろ。あれを使えば、なんとかなるだろう」
「ですが、まだ試作中で1個しかないんですよ?」
「…わかってる。耐寒仕様アーマーを装備した場合の、活動可能時間は?」
「約3分程度ですが…」
「ディロイがいなければ、なんとかなるんだよな?」
「はい。そうなれば、バゼラートMKⅡ隊で対応可能になりますから…」
「よし」
 そう言って頷く総司令に、誰もが怪訝な表情を浮かべた。一体、たった一個のアーマーでどうするのだろうと。
「――― 一体何を?」
 そして、そこにいるスタッフを代表して副司令兼秘書の人が尋ねると、エム総司令はあっさりと答えた。
「僕がさくっと、ディロイ片付けてくる」




―2026年5月9日 11:55―
―北極上空900m地点 EDF総司令本部 整備点検用ハッチ―

「いいですか?3分ですよ?」
「わかってる。3分以内に、上部にいるディロイ8機を潰して戻ってくれば、凍死せずにすむわけだな」
 装備を点検しつつ、通信機に向かって答える総司令。通信先の相手は副司令兼秘書の方である。
「そのとおりです。まぁ、総司令なら時間切れで氷付けになっても、お湯を掛けただけで戻りそうですが…」
「はっはっは。それをここで言っちゃあいけないなぁ」
「失礼しました。では、ハッチのロックを外します。ご武運を」
「よし来た。――――さむっ!!」
 ロックの外れる音が響き、ハッチを開くと同時に凍てつきそうな風が吹き込んできた。だが、ここでくじけるわけにはいかない。総司令は、すぐさまそこから飛び出すと愛用のライサンダーZ-PARカスタムを構えた。

 結論から言えば、作戦は成功だった。そりゃそうだ。反則武器だし。
 この総司令命がけの作戦により、ディロイは沈黙。その後、最新鋭のバゼラートMKⅡ隊の活躍もあって、総司令本部の危機はなんとか免れることができたのである。




―2026年5月9日 12:03―
―北極70m上空 EDF総司令本部 中央管制室―

「敵航空戦力の全機撃破を確認!!」
 オペレーターの言葉に、中央管制室他、通信を通して各部署からの歓声が響いた。
「…なんとかなったか。本部の損害は?」
「上部外壁数箇所が中破。対空火器42%及びにスペース・リング砲が損傷していますが、それ以外に被害はありません」
「アダンと戦闘を行ってる部隊の状況は?」
「少し待ってください―――――」
 そう言ってオペレーターが通信を始める。
「アダンの撃破を確認!!」
 その言葉に、再び歓声に包まれる総司令本部。



―――ついに勝った。



 誰もがインベーダーとの三度目の戦いの勝利を確信する。だが、それはただの油断に過ぎなかった。
「………?」
 何気なくレーダーを見ていたオペレーターが、ふと何かの反応が突然に現れた事に気がついた。場所は、この総司令本部のすぐ近くだ。
 そして、総司令もオペレーターの反応で、すぐに気がついた。
「…どうした?」
「はい、レーダーに反応が一つ突然現れて――」
 そこまで言いかけたところで、緊急を知らせる通信が管制室に入った。
「こちら観測班!!やばいぞっ!!ソラスのでかい奴がこっちに突っ込んで――――」
 観測班の通信が全部聞こえることはなかった。なぜなら、そこで今までにない凄まじい衝撃が走り、立っていた者は床に叩きつけられ、座っていた物も椅子から投げ出され、それどころではなくなったからだ。
 すぐにオペレーターがよろめきながらも立ち上がり、モニターへと向かう。
「第3ブロックから14ブロックに火災発生!!」
「1番と2番のジェノサイドキャノン大破。スペースリング脱落…!!」
「重力制御システムに異常発生。高度低下っ!!」
「緊急用ロケットエンジン点火!!ここで落ちたら取り返しがつかなるぞ」
 明かりが消えて非常用の明りがついた中、なんとか状況を立てなおすと全力を尽くす。しかし、突然に現れたソラスキングがそれを見逃すはずはなく、さらなる追撃を加えようとする。
「ソラスキング、火炎放射態勢!!」
「今の損傷状態じゃまずいぞっ!?」
 通常ならば、たぶんほぼノーダメージに終わるだろう。しかし、体当たりを受けて大きく損傷した今、あの炎を受ければひとたまりもない。外壁はともかく、隙間から入る炎によって内部のダメージが増えてしまう。
 しかし、もはや打つ手がない。なんとか再浮上はしているものの、安全高度に間に合いそうにない。
 ソラスキングの口から炎が微かに洩れだす。もはやこれまでか…!!誰もがそう思いかけた時、お約束とも言うべき奇跡が起こった。
 地上の方から4本の細いレーザーが走り、ソラスキングに直撃したのである。見た目にすれば針が差したような感じであったが、その予想に反してソラスキングがあとずさった。
「何が起こったの?」
 火炎放射がキャンセルされた事に気がつき、オペレーター生きている外部カメラを駆使して状況を確認すると―――
 4本の足で氷の大地をしっかりと踏みしめて佇む一つの影があった。




―2026年5月9日 12:07―
―北極 氷の大地上―

「ソラスキング……。たしか、前はギガンテスだったっけ。あの時はきつかったなぁ…」
 コクピットの中で画面に映る巨大な姿を見つめながら、その男は一人呟いた。
「とりあえず、高収束4連レーザー砲【MONSTER-4】で怯んでくれたのは幸運だったな…。無理して撃ったから、しばらく撃てなくなったが」
 武器の状態を表示するモニターにある【MONSTER-4】の項目には「冷却中」の文字が点滅していた。普通の威力では無理と判断して、過剰出力で撃ったのだ。結果としてはオーライだったが。
 ソラスキングがこちらを向いた。どうやら中破して、かろうじて浮いている本部よりも、こちらの方を優先すべきと判断したらしい。
 だが、それこそが狙いだった。こちらを狙っている間、総司令本部は安全になる。脱出するにしろ、ここから離脱するにしろ時間は必要だ。
「……よし、後は時間を稼ぐだけ…」
 自分のがんばり次第で、EDF総司令本部の運命が決まる。
 そう考えると、さすがにいつも以上のプレッシャーすら感じてしまう。だが……自分にはギガンテスに次ぐ第二の相棒が付いている。
 ギガンテスで勝てたのだ。それよりも性能のあるダロガEDFカスタムで勝てない理由など―――――ない。
「いくぞ、EDFカスタム…」
 彼――ブルー隊員は小さく呟くと、巨大な敵に挑むべくコントローラーを握り直した。



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□えむ’sコメント□

 総司令本部防衛戦。一難さってまた一難。とりあえずテラソラスの突撃を食らえば、マザーシップといえどもひとたまりもないと思います。うん。

 久々のEDFカスタム登場。美味しいところを持っていきましたw これはオ約束ですねw

 

 ちなみに次の話は、皆さんの期待を一刀両断に裏切って、イヅキ小隊VSエース・マザーシップ戦の予定です(ぇ まぁ、ほどほどにご期待を~ 




□おまけ話□

 ここだけの話、宇宙戦艦物であるやり取りのたぐいは大好きだったりします。「面舵10度。主砲発射後、続けて対艦ミサイルを発射する!!」「了解、距離算出。照準よし。進路クリア」とか、「第二エンジンに被弾!!出力上がりません!!」とか、そんなノリ大好きw でも、小説でやろうとすると会話ばかりになってしまうので多用できない・・・orz