「コロナどこ行った?」と思うここ最近のアメリカですが、我が家は引続きコロナバージョンの日々を送っています。
子供達は夏休みに入ったけれど、年度末の節目となるはずの学校行事もZoom。あのZoomが終わった瞬間のなんとも言えない気持ち。なんだかな。
生活のパターンも変わらない。徒歩圏にショッピングセンター(屋外)があるので、そこをマスクを付けて夕方の散歩コースでたまに歩くのですが、そこはまさに「コロナどこ行った?」の世界。
レストランも開いている。座席数を制限しているからなのかな。レストランに入るのを待っているお客さんも結構いる。パティオ席も間隔を空けて座っているけれど、大盛況。老若男女食べて飲んで会話して、楽しそう。ウエイトレスはマスクをしているけれど、レストランで食事をしている人。そして外で待っている人たちもほとんどマスクをしていない。
今レストランで食事をしようと思う人たちだから、彼らがマスクを着けないのは、それはそうだろう。
そんな私が住む町ですが、人種差別に対する抗議デモがありました。
抗議デモがあるというニュースが入ってきたとき、スティーブンに
「行く?」と聞いた。
スティーブンは
「うん。行くよ」
と。
これについて、
「なんで?」とか「危ないよ」
という会話は私たち夫婦の間にはない。理由を聞くまでもない。
そしてデモ当日。
マスクをして、ポスターを持って、軍手もつけてフル装備で出かけたスティーブン。
その日、市が出していたCurfew(外出を禁止する)時間になったら
「今から帰るよ。I'm OK.」とテキストを1本くれて帰ってきた。
その後もヘリコプターが上空を飛び回る音がうるさかったり、遠くにパトカーのサイレンが聞こえたりしていて、Curfew以降の時間で少しの破壊行動があったそうだけれど、そこまで大きなカオスにはならなかったそうで、まあ平和的だった、と地元のメディアも伝えていた。
スティーブンの話だと、ものすごい人出でとてもソーシャルディスタンスが守られているとは言えなかったけれど(そりゃそうだよね)、マスク着用率はほぼ100%だったらしい。ハンドサニタイザーを提供したり、水やお菓子を無料で提供するスタンドもあったと。久しぶりにばったり友人に会ったりもしたそうですが、その一人がハグをしてきて、流石にそれは「お、おおう…」と思ったらしい。きっとその友人も感極まって、という感じだったのかもね。
世界にまで広がったデモの余波の影響もあって、先週はジョージ・フロイドさんが暴行されて殺されたときに現場にいた警察官、全員懲戒免職に。
"Activism works. Social Justice matters. "
日本の芸能ニュースで、アメリカに住むお笑い女性芸能人が番組でインタビューに答えたときの様子を紹介しているものがあった。
そのまま抜粋。
(デモについて)「慣れちゃってる感じ?」と聞かれるも、「今回の(デモ)は大きいんです」と説明。「なぜ大きいのかというと、みんな純粋に人種差別に対して、怒っている人もいるんですけど、みんなステイホームだったので、外に出たかったんじゃないかという人もいる。ちょっとイライラもあったんじゃないかな。人数がすごい多いんです、賛同している人数が…。この手の事件は何回も何回も起きていて、もういい加減にしろよ!っていうのはあるとは思います」と続けた。 自身への差別についても「ありますね」とキッパリ。「私とかも人種差別は確かにある。街を歩いていても、全然知らないおばあちゃんとかに『国に帰れ!』とか言われることもあって。そしたら、口汚い言葉で言い返します」と苦笑した。
(この短い記事からだけで私があれこれ言うのは愚かな行為と十分承知で)
番組ではアメリカで黒人に対する人種差別について真剣に語りましょうという雰囲気ではない上に時間も数分、という空気を彼女は読んで、日本人にも共感してもらえるようなことを言ったのかもしれない。でも、彼女のパートナーや子供が黒人だったり、本当に大切な人が黒人だったら?自身への差別について聞かれて答えた後、その上にもう1つある、すごく重要なレイヤーを付け加えたんじゃないかな。
アジア系の人がジョージフロイドさんの殺人事件を受けて「人種差別は愚か。私も人種差別をされてこんなことがあって…」って言っているのを聞くと、それを今持ち出すか?と思うことがある。しかもそこで話が完結している場合などは特に。人種差別と言っても、根っこが全然違って(でももっともっと奥にある、700万年と言われる人類の歴史を振り返る中での、この問題の根っこは同じなのかもしれないけれど)、そこがすごく大事なポイントなんじゃないかな。
でも、「自分は差別しないし、差別されたこともありません。」とこの期に及んで言う人よりはずっと、ずっとましか。
他人事として考えると何もしないし何も変わらない。