コクリコ坂から・原作 | k.i.o景

k.i.o景

デザイナー・枝松 聖のブログです。

「コクリコ坂から」を読みました。

10年前、海で行方不明になったパパ…。
小松崎海はいつパパが帰ってきても、そこが我が家とわかる
ように、毎朝、旗を揚げ続けている女の子。

十六さいの誕生日。下宿のみんなと話したり妹やおばあちゃん
に手を焼いたり、憧れの北斗さんにときめいたり…いつもの
ように始まった一日は、学園の新聞部部長の風間のこと、
アメリカで仕事中のママからの電報、そして北斗さんからの
思ってもみなかったような報告で驚きがいっぱいのまま、
あわただしく過ぎてゆくのでした。

高橋千鶴さん・佐山哲郎さん作による1980年「なかよし」誌
連載の少女漫画…というよりは宮崎駿さんの企画と脚本、
宮崎吾郎さん監督によるスタジオジブリの新作劇場アニメの
原作というほうが、もはや通りがいいのかもしれない作品。

宮崎駿さんによる企画書が発表されていますが、企画書の時点
で原作とかなり変える気ムンムンな文章を読んでから、むしろ
すごく興味シンシンに(笑)。年末年始のどこかぼんやりとした
時間にゆるゆると読んでいました。

細うでひとつで下宿を切り盛り、複雑な家庭の事情もあるけど
明るく生きる海が、学園内のちょっと特別な世界とちょっと
特別な男のコたちと知り合って…!?

物語の大筋の「秘密」や絵柄は「80年代初期!」のイメージに
気持ちよくヒットするムードなんですけど、特別な男のコである
ところの風間と生徒会会長の水沼が知恵と謀略を巡らせ学園を
コントロールしてゆくさまが、しかも「なかよし」らしからぬ
理由で、しかも悪びれるふうもなく描かれちゃっているのが
すごい。

その学園の異変に弟や妹がまんまとその渦に巻き込まれていって
も、揺れることなく我を通す海。

父を想い家庭を守る倹約家というリアリストだけど、やさしくて
いい子、さらに登場するたびにファッションもヘアアレンジも
変化、おしゃれとして通っている妹以上におしゃれな娘さんでも
ありと、男性原作者と女性漫画家さんそれぞれの目線で理想的と
思われる部分が自然と同居している海のヒロイン像がいい感じ。

コクリコとは、ひなげしのことで、下宿近くの坂には一面に
ひなげしの花が咲く季節があって…という初期設定をウッカリ忘れ
てしまいそうなくらいの恋のドラマが途中から繰り広げられてゆく
のですが、そこに至る以前の、風間たちの学生運動的なドラマが
ノって描かれている感じでおもしろかったです。
少女が主人公の少女漫画としては相当に「違和感」な要素では
あるんですけど(苦笑)。

この作品が2011年に、1963年という新たな時代設定の元、どう
再構築されてゆくのか、とても気になるし、とても楽しみです。

本日の、「うわ~っはじ…」というセリフがうれしはずかしい☆

コクリコ坂から/高橋 千鶴

¥924
Amazon.co.jp