睡眠障害とは、睡眠と覚醒をコントロールしている脳の仕組みに何らかの異常が生じて発症するものと定義されています。そして、日本人の1~2割が睡眠障害を抱えていると言われています。しかし、夜の不眠や、日中の異常な眠気を感じていても、日常生活に支障をきたすまで病気だと気が付きにくく、医療機関にかかるまでに比較的長い時間がかかってしまうのが睡眠障害の特徴です。
睡眠障害は、がんや高血圧、糖尿病などの疾患に比べて、初期のうちから明確な症状が現れやすい病気だという認識を持つことが大切です。
睡眠障害には、主に「不眠症」「過眠症」「概日リズム障害」「睡眠時随伴症」があります。
○不眠症
眠りたくても眠れない状態であり、眠ることが困難であると感じる疾患です。不眠症は4つのタイプに分けられ、なかなか寝付けない「入眠障害」、睡眠中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、朝早くに目覚めてしまう「早朝覚醒」、眠りが浅く長時間眠っても熟睡感を得られない「熟眠障害」があります。4つのいずれかの現象が「週に3回以上ある状態が3か月以上続く場合」に不眠症と診断されます。
○過眠症
夜眠っているもかかわらず、日中に過度な眠気をかんじたり、頻繁に居眠りをしてしまうことで、起きていることが困難になる疾患です。眠気にともない、日中の倦怠感や集中力・注意力の低下などの症状が現れます。過眠症には、ナルコレプシー、睡眠無呼吸症候群、突発性過眠症などがあります。
・ナルコレプシーとは・
ナルコレプシーは、夜充分眠っているのに、昼間に耐えがたい眠気に繰り返し襲われる睡眠障害です。発症原因は、オレキシンという脳内物質が欠乏することにより起こると言われています。
○概日リズム障害
睡眠と覚醒のタイミングに問題が生じ、朝と夜のサイクルと体内時計のリズムが合わず1日の決まった時間に睡眠をとることができないことから、日常生活に困難をきたします。一時的な概日リズム障害として「時差ボケ」があります。
○睡眠時随伴症
睡眠時随伴症は、睡眠時に歯ぎしりや夢中遊行症などの睡眠中の異常行動がみられる状態を指します。