カットイメージは物語の感動を強める 実験心理学による検証結果 | 映画を観ているみたいに小説が読める イメージ読書術

映画を観ているみたいに小説が読める イメージ読書術

小説の世界に没入して
“映画を観ているみたいに” リアルなイメージが浮かび
感動が胸に迫り、鮮やかな記憶が残る。
オリジナルの手法「カットイメージ」を紹介します。
小説を読むのが大好きな人、苦手だけど読んでみたい人
どちらにもオススメです。

 高校の国語教師となって14年目、教員の派遣研修で、長年夢だった大学院で心理学を学ぶ機会を得た私は、学習心理学の研究室で「カットイメージ読解法」の研究に取り組みました。
 とはいえ、国語の授業で開発した手法を、心理学の視点から考察し、実験研究のステージに載せていくのは容易ではなく、試行錯誤の連続でした。

 苦労の末、「カットイメージ教示」を「単純イメージ教示+段落分け教示」と比較するという枠組みが決まり、実験研究がスタートしました。
 大学生や高校生を被験者にした実験の結果、「カットイメージ」の作業をした学生は、「イメージしなさい」と言われて「段落分け」作業に取り組んだ学生たちより理解度テストが好成績でした。

 また、数週間後に小説の内容を思い出して書いてもらったところ、カットイメージで読んだ学生たちは物語の山場の場面をよく覚えていました。それは、統計上も有意な水準の差でした。

 これは、カットイメージで小説を読むと、物語に深く没入し、感動も大きいことを示すデータです。

 その後10年以上、日本教育心理学会で毎年、カットイメージに関する研究を発表してきました。

 また、学術雑誌『読書科学』(日本読書学会)には、カットイメージ・リーディングに関する2本の論文が採択掲載されました。

 次のところで、Web上にある「カットイメージ読解法」の論文情報は確認できます。

 Cinii論文検索「カットイメージ」

 

 『読書科学』に掲載された、 『「カットイメージ読解法」による物語構造理解の促進』(2015 年 56 巻 2 号 p. 45-54)は、私のホームページ「教育エジソン」の「カットイメージ」のページから論文のダウンロードができます(「カットイメージの学術論文」ボタン)。

 上にあげた大学生の実験は、この論文で詳細に報告しています。

 

 『「カットイメージ読解法」による物語構造理解の促進』(2015 年 56 巻 2 号 p. 45-54)より

 ⑧⑨⑪⑫の場面で、カットイメージ群の場面再生率(記憶率)が高くなっています。