昔は、あこがれの公団住宅。 駅まで20分、歩くのは遠いけれど、駅の横に、あかるい図書館。でも、千葉みたいなエスパー司書さんがいるかどうか。
去年の今頃、松戸市に引っ越してきたけれど、もう、引っ越したい。ほんとは、ぐるぐるあちこちまわって、旅をしてくらしたい。おじいさんが、旅役者だった。父親も、旅ばかり。子供の頃も、引っ越し多く。
つまり、定住が苦手。
昨夜は、うつのひとから電話。
「ぜんかれんとの闘いは、象とアリとの闘い。わたしたちは、大きな川を流れるチリアクタに過ぎません。川の流れに逆らえない。ぼくは、あなたが死んでしまうの、とめませんよ。生きてたって、なんのいいことがあるんです。 ぼくも、死にたいです。毎朝、思いますよ。人間はみんな、死にたくなるんです。
地上掲示板で、なんで書き込むんです。死にたいと」
「うつになると、どうしょうもなくて。神田橋医師のときは落ちたけれども、佐野さんが、いっしょにわたしたち闘って生きようねって。今は、もちなおしてます」
「そのあたりの流れ、掲示板のひとにはみえないから、みんな心配する。ぼくは、あなたを心配じゃないけど、掲示板のひとたちの動揺が心配です」
「だって、来年の春までは出来ないこと、みんな知ってる」
「だから、その来年の春まではというの…やるんなら、黙ってやったらいい。イソミタール2グラムなんて」
「わたし、死んだりしません。あれは、致死量に足りないから、飲みません」
「あなたは、お母さんのこと書いて、ずっと生きていったらいいでしょう」
「はい。あの…」
「?」
「どのくらいですか? 残りの月日?」
「……わからない」