まさ子の旅日記 Masako

まさ子の旅日記 Masako

山田まさ子の旅と慶應通信およびドイツ文学の話

 買ったばかりなのでさすがに買い足すのももったいないと思い、脱ぐのに格闘した翌日、今度は下着をうすくしてブラもつけて、立って、つまり本気で着てみました。はいった、脱げたぁ。

 ああ、これで冬の葬儀なら買い足さなくてすむ。

 

 黒、と茶色は、意外とむつかしい色です。両方とも、安心な色にみえてヤボッたくなります。わたしはプロのカラー診断によると、夏タイプと春タイプの混合であり、青系がベースとなります。ですから、スミ色みたいな青の入った黒や濃紺などはOKですが、漆黒や大地の茶色は似合いません。

 

 本日、電車を乗り過ごし、間違えて降りた駅で、茶色を実にうまく着こなしたおばあちゃまを見ました。BBCドラマのミスマープルみたいでしたよ。手提げは藍染め、髪はまとめていましたが、羽織った茶色のウールカーディガンが、あかるいベージュのシャツに映えること。色白ピンク系の肌。これから何の事件?

 

 

 BBCミスマープルですが、ファッションのお手本になります。たいてい淡いグレイのカーディガンをお召しですが、あの茶色の重そうな革バック以外は、ほとんど真似て大丈夫の王道の配色をしています。通行人も、汽車から降りる親子などチェックしていましたが、みな配色がいいです。というか、バスの乗車客、全員おしゃれっておかしくない?って言いたくなりました。

 

 ミスマープルの世界に数か月、タイムワープしたら、お庭でバラの手入れをして、クッキーを焼いて暮らしたい、ですね。足元にはじゃれつく子犬、窓辺には猫。……どれも無理だな。

 

 

 

 

 用意といえば怒られそうなので該当者にはいえないけれど、90歳を過ぎた恩師や友人がいます。そして若いひとだってわからない、ということで、喪服は必要です。

 

 間に合わない、ときもありました。田辺君のお葬式は教会の葬儀でしたし、黒っぽい服ならかまわなかったのです。何より事故死のため、いきなりの死であり、太ってしまったわたしは喪服が入らず、そしてまたゴムゾーリに貰ったTシャツという故人の平服を考えると、それでもよかったのです。ふつうに集まって、みんなで個人の悪口を言い合い飲めばいい、そういう葬儀でした。

 

 しかしながら、恩師や尊敬する方、りっぱな葬儀場、故人が日ごろからお洒落であった場合など、きちんとした喪服が望まれます。

 

 

喪服のパターン

☆ツーピースと黒のブラウス。この場合、色がそろわないといけないので、スリーピースになりますよね。

☆ジャケットにドレス。

 このどちらかですが、太っているあたしは、ジャケットにドレスにしました。お葬式のツーピースだと、若い時と違ってタイトスカートがきつい、と思ったからでした。

 

 

喪服のファスナー

昨日、アマゾンで注文したジャケットとドレスが届きました。ジャケットは大変に地味ですがサイズはOK。ポリエステルやからシワにならない。ところが、ドレスを試着して、脱ぐのに大格闘でした。そもそも胸が大きくて、胸の部分だけぴっちり。

 後ろに手がまわりきらず、ファスナーが全開できない、ぜんぶ下ろせない!!

 という悲劇でした。

 

 そういえばネットの書き込みに、喪服のドレスは前ファスナーがよい、ドレスのファスナーが後ろだと……などという書き込みを読んだのでした。しかしながら、前ファスナーのドレスはよいとしても、それとセットアップされているジャケットは、あまりにもトシヨリくさい、着たらこっちが冥途に行きそうだ、ということで、ジケットが多少とも若づくりのこれを選んだのでした。

 

 あかんわ、でもジャケットがちょうどなので返品はせずに、下だけ別に購入しようと思います。

 黒いスカートもブラウスももっているけれど、お葬式の黒とは違うし、みなヒラヒラフリルでかわいいし。

 

 それにしてもファスナーは、ショックでした。でもこの前、母親のお古の20年前のドレスを着た時は、ファスナー苦労しなかったのですよ。おそらく「のびる素材」であれば、後ろファスナーがいけるのではないでしょうか。

 

 ヤドバシカメラの福袋に今年は、四千人も並びました。わたしも若い頃は、朝の五時半から福袋に並び、ドレスをゲット、そんな時代もありました。

 いまや、葬式のお洋服のお正月特売に。はぁ。

 日本での認可の比較的新しいルネスタは、入眠薬ですが、飲んだ後に残りすぎる、日中ぼわってしてしまう、そのためもとのアモバンに戻しましたが、この睡眠薬による障害が続いています。

 

 よくこう書くと、「わたしは導入剤だからだいじょうぶ」「睡眠薬とは違う」といってくる方がいて、面倒なので説明しないことも多いけれど、同じです。睡眠薬を広義にとらえると、その中に導入剤も入ります。単に効果の時間が短く、睡眠導入に力を置いているというだけです。

 よって脳にとっては異物であり、侵入者であることは間違いありません。たとえていえば、活発に活動しているあなたに、突然、背後から悪人がきて麻酔入りのガーゼを押し付けて気を失う、これと同じことです。脳にとっては。

 

 

 最近のわたしのこの薬害による認知の低下は、二例あります。

 

場所の誤認

2019年11月14日池袋にあるほづみクリニックに向かう途中で、乗換えの新宿駅を池袋駅と勘違いし、同駅内を池袋駅と信じて東口をさがしてぐるぐるとまわり、「あれ、こんなに駅変わっちゃって、工事かな?」

 一度駅の外に出てしまったらしく、そこで風景が変わったため、ようやく気がつきました。駅構内から出ていることも気がついていなかったけれども、状況判断から、自分は新宿駅の外に出ちゃったと認識しました。

 

 これだけでは、薬害かどうかははっきりとしません。「過集中」かもしれませんし。

 

 日付の誤認

12月26日この日は木曜日だったのですが、わたしは金曜日と思い込み、行きつけのカフェに「土日はでかけるから、年内最後になります」と挨拶に行き、「あれ、まだあると思うけど」と常連にいわれたけれど気が付かず、図書館の勉強仲間にもそう挨拶してけげんな顔をされました。

 30日になって、パソコン表示に気がついて、ウソ!!

 むちゃくちゃ恥ずかしいので、挨拶した方たちに悟られないように、空白の金曜日は一歩も出ずに部屋にこもっていました。

 

 場所だけなら「過集中」ともいえますが、日付まで誤認しており、お医者の言葉を借りるなら、見当識の低下です。

 

 ここまで書いたところで、本欄にコメントを頂いていて、女々さんがマイスリー断薬に成功して、たまに使うのみになったとのことでした。

よかったですね、女々さん。

 みんな断薬に頑張ってるんだなあ。なんか元気が出たコメントでした。

 

 でももしも「脱落」した方も、ワタシはダメ、ムリとは思わないで、少しずつ、減薬からとりくまれてください。ピルカッターという便利なものを売っていますから、東急ハンズとかですね、入れ物に薬を入れてパチンとフタをすると、切れるいれものです。フタについている小さな刃をどこにあてがうかで、二分の一、三分の一とカットできます。

 ただしお薬によっては、外側のころも?の部分がのくと、ヤバいものがあるので、必ず薬剤師さんに、これはカットしてもよいものか?と訊いてください。わたしも失敗してます。

 

 みなさま、入眠導入剤も睡眠薬も同じようなものです。よく、わたしは「導入剤やから」「睡眠薬やない」と、別物のようにいう方、導入剤をアメかなにかのようにかるーく話す人がいるので、注意喚起いたします。

 どっちも依存症残ります。わたしなんて、十数年も睡眠導入剤がやめられず、困っております。

 

 でも抜く努力はやっているわけで、なぜかというと、この手のお薬はだんだん量が増え、効かなくなり、医師がほかのお薬を足して、抗不安剤をプラスする、ということもあり、泥沼になってしまうからです。

 

 最近、大阪のある患者の家族が「睡眠導入剤より、抗不安薬で眠る方がからだにいい」と話しており、ぎょっとしました。

 抗不安戝、なめてへん? でも、そういうお医者さんの処方もあるようです。

 

 

  さて今回は医師のお答えを、ネット公開の医師のものにいたします。 以下は、なぜアモバンとルネスタの話かという、これまでの流れです。

 

2019年秋

主治医「なんで入眠罪が三か月が一か月分で足りるのよお?」

「10ミリのアモバンを半分にする、ピルカッターで切っています」

主治医「えーっ、切ってるの?そんなややこしことしなくても、ルネスタなら、2ミリタイプがあるんだから」

 この直後の医師の言葉。

主治医「アモバン☆ミリは、ルネスタ☆ミリなので、ルネスタ.2ミリでいける」

 

 このとき数字を並べられたため、☆?? 状態になってしまった。しかし、主治医に訊き返すのも悔しい。

はたして、ルネスタはアモバンより弱いのか?断薬のときの悪夢はどちらが弱い?

 

 前記したように笠医師がお忙しいので、ネット公開のお医者さんに訊ねたところ、以下の解答でした。

 

あるネット公開医師のお答え

 

これは換算はあるのでしょうが、普段ほとんど意識していません。基本的に光学異性体の関係なので、上限をあわせて考えてみてください。

ルネスタ1.5㎎はアモバン5㎎ 程度ではないかと思われます。

悪夢ですが、これはいかなる薬でも出現しうる副作用ですが、そう出るものではないので個人差も大きいと思います。

経験的にはインデラルとベルソムラは良く出ます。

 

 えっ、あのピンクの小さいの、ルネスタ2リが、アモバン10ミリ半分よりも、つよーいっていうこと?

 

ルネスタ >  アモバン

 

 もうまったくわけがわからない。ルネスタは、昼間、残ってアモバンほどキレがよくない。と思っていたけれど、あのピンクの小さいのはアモバンの三倍も強い。通りで翌日に残るはずです。

 

 ということは、あのピンクを半分…ここで調べてみましょう。

 

アモバン  アモバン錠10mg アモバン錠7.5mg     効果時間4 時間

 

ルネスタ  ルネスタ錠1mg  ルネスタ2mg ルネスタ錠3mg  効果時間5時間

 

反跳性不眠がアモバンもルネスタも高い。そのため断薬すると、悪夢をみるのだと思う。

 

これはもとのアモバンに戻し、なおかつ7.5ミリにして頂こうと思う。

 

睡眠薬も導入剤もともに、同じようなもので、導入を助けて、効き時間の短いのが導入剤です。ともにアルコールといっしょはNGです。

 

高齢者は肝機能障害をおこすので、ミリの上限があります。

反跳性不眠とは、睡眠薬、導入剤をやめるときの離脱症状のひとつです。眠れなくなります。

 

まさこのように十数年も飲みたくなかったら、最初から飲まずに、睡眠薬依存症にならないのが一番です。

 

 でも不幸にして睡眠導入剤に手をだしてしまったひとも、あきらめずに断薬、いっしょに頑張りましょう。できます。わたしもたまに成功します。またすぐ戻るけど。

 

 

 


 

 

 

 

 

 こちらの精神科主治医がなんの罪もないのに島流しになったのは、主治医の考え方が旧ほづみクリニックの新しい方針と一致しないからだろうとみている。

 

池袋ほづみクリニックの流れ

「昔は」と書くと、まるでキャッツに出てくるガス、芝居猫のくりごとみたいだが、実際、池袋でおそらく日本でもっとも初期に患者のデイケアを始めたのが、ほづみクリニックであった。デイケアの内容は、りっぱなピアノも置かれ、卓球やトランプができ、お絵かきや朗読会、茶道教室、アメリカ人の先生を呼んで英会話教室もあった。お弁当は最初はとても安かった。

 

 近くにグループホームがあり、きれいなところで、歩いてお散歩の様に患者さんがやってくる。のんびりとした雰囲気であった。しかし院長が退官してから、お客さんの数が減ったなと感じた。院長がいるからという理由で、年配の患者が遠くても通っていたからだ。院長は東大と慶應両方卒業していることや、お嬢さんが病気であったのでデイケアを充実させようという気持ちをもち、共感する患者も多かった。

 

 ここからはあたしの類推だが、解離系の女性はやさしそうな若い医師に頼りたいと思うので、同じ池袋に進出してきた「ゆうメンタルクリニック」にお客さんをとられたんだと思う。

 池袋という土地柄、患者さんは仕事をしているひともいる。ゆうメンタルクリニックはマンガで有名で店舗も駅に近く、医師の数も多くて気軽に行ける。つまり飛び込みのお客さんを拾うことができる。かるい患者さんが、楽しそうなクリニックに流れていった、とみている。

 

 

 ほづみクリニックは生き残りをかけて、市ヶ谷のひもろぎクリニックに来年三月から吸収されるが、新院長はまずネットで宣伝にうってでた。ユーチューブで、市ヶ谷クリニクで落語家さんにきて貰い一席お願いしてから、院長が落語の登場人物と病気のひととの共通を語る、というものであった。精神科医が落語をみるとこう思うという参考になるから、お時間のあるひとはみて頂きたい。落語も面白いし。

 

 このユーチューブの対談で新院長は、「江戸時代ならただの粗忽ものであったひと、変わったひとであったのが、今は病人にされてクリニックに連れてこられる」と語っている。実感なのだろう。

 新しい市ヶ谷クリニックの方針は以下のようになる。

 

 

市ヶ谷のクリニックの戦略

デイケアから、リ・ワークへ   ホームページをみると、リ・ワークのことが書かれている。これは厚労省の宣伝の一環で、とにかく病人をはやく治し、とっとと戦力として働かそうというお国の方針。ひきこもりの若者や、うつ病のサラリーマンなどが想定されているだろう。

ここで生活のリズムをつけ、協調精神やコミュニケーションを学ぶ。

 

最新の機械 わたしはホームページでみたがよく理解できない。とにかく最新の機械を入れて検査できるようにして、科学的なイメージを演出し、どちらかというとホワイトカラーの通勤帰りを呼び込もうとしているか、あるいは「科学」信望の強い患者家族への説得のためか。

 

 

結論

ということで、お国のリ・ワークに対応して変貌するクリニックのあり方に、こちらの主治医はふさわしくなかったのではないか。

デイケアで、我々がトランプやパズル、お茶をするとき、主治医ものぞきにきて、まったく不似合いな茶道をたしなんでいるとぎがあった。茶道の先生が「とても熱心です」と褒めていたから覚えている。うまいとはいわなかったが。患者のひとりが「先生はいっしょにお菓子を食べてくれるからいい先生だ」と眼を輝かせていた。

 

 そんなセンセーはもういらない時代だ。「働かせる」先生がいるのだから。

 

 

現代日本の精神医

 しかしわたしはなかなか現代の先進国の精神科医というものは、わびしいものだなと思う。まず病院にパソコンを強要され、患者をみるよりも長くパソコンで書類つくりに忙殺される。初診が終わると、三分どころか一分で薬を処方しないといけない。マイスリーがいかにキレがよくてよく眠れる薬でもうつや統合失調の患者には保険適用ができないので、ほしがる患者をなだめつつ、アモバンよりもルネスタのほうが新薬でジェネリックがないから少しでも薬価の高いほうをクリニックへの気兼ねからすすめないといけない。

 

 統合失調症にはクリニックのためを思えば、高価な注射こそ望ましいが値段が高いため、貧乏そうな患者にはすすめられず、同様に目新しい電磁波などの機械にもかかってほしいが、保険適用外ではお金持ちにしかすすめられない。

 裕福で「科学的」、新薬と機械を好む軽い患者こそ望ましいが、医師は患者を選べない。ぞうりばきでやってくる、いかにも自立支援です、という患者も追い払えないのだ。

 

 妙に低姿勢のそれでいて眼の隅に鋭さのある男、こいつはクスリを転売してるんじゃねえかと医師としてのカンが働いても証拠がない限り、処方するしかない。「発達しょうがい」「ネット依存」だのなんだのと、新しい病名がじゃんじゃん増える。ネットの普及で、患者も知識をもち、「この薬、ヨーロッパでは禁止されているのになぜ日本で許可されるか!!」と詰め寄る。「オレが知るか、厚労省に訊け」と言いたいのを我慢する。

 妙な病名を開発した精神科医ならまだしも他分野の医師までもがメンタル系ヒット本を書く。本屋に平積みされたメンタルやダイエット本をみて、よしオレもと思うが、売れなかった時を想像すると手が出ない。開業は夢の夢。名門医学部を出ていなければ、医長の座は狙えない。

 

 結局は多くの精神科医がアルバイト医師として使い捨てられてしまうのではないか。これから全国展開のメンタルクリニックが流行ってくると、ちょうどコンビニみたいな感じで、古いクリニックは消えていく。

 わたしが心配してるのは、淘汰されることで、クリニックの個性がなくなるのではと思う。たとえば池袋には患者に体操させる奇妙なクリニックがある。まだあるはずだ。がんばってほしいと思う。

 精神科医は多少気分障がいくらいがちょうどいい。何かAIみたいな医師がにこやかにしているという将来を思うと、気持ち悪いのだが。

 

 まっ、クリニックに捨てられたと話しています。池袋のほづみクリニックが閉店し、市ヶ谷に吸収されたときに、主治医は置き去りにされたのです。

 

「センセー、なんでわたしを置いていくんですか?」

「違うよお、捨てられたのはこっちだよ。いきなり解雇」

 

 そうだったのか。

「急に移転となり、不安でしんどいんですけど」

「だから不安でしんどいのは、ぼくの方。君じゃない」

 

 それにしてもやっぱり時代やねえ。お医者さんで、何もミスしていなくても解雇されてしまう。

 

「都落ちにつきあおうと思うんですが、センセーについていってもいいですか?」

「み、みやこ……ついてきてくれなくてもいいよ。大泉学園前のクリニックは、いつもいっぱいなんだから」

 

「乗り物、調べたのよ」

 わたしの見せる乗り物案内の紙をみて、ぎくりとする主治医。

「調べてるじゃん」

「あたりまえよ、アタマそれほどボケてないんだから。混んでたって、ひとりくらい増えても大勢に変わりない、ひとりくらい」

「うん、まあ。でも僕としては大泉病院の方にきてほしいね。あっちはすいてるから」

「でも担当は午前でしょ」

「お、調査ずみか。朝こられなくても、午後の先生がみてくれるぞ。ここといっしょ。やさしい先生だ、心配ない。ただ……」

「?」

 

 ただ、と主治医は慎重に言い直した。

住民と問題おこさないでね、そうなると、大泉はクリニックでも大泉病院についてるから、つまり連携ね、役所がかけこんできて入院になるよ」

 

 に、にゅういん? おとなしくって、おひとよしなこのアタシが?何も暴れてないのに。

「それどういうケースですか?」

「たとえば君がマンションの塀に向かってひとりごとを言っていたとする。住民が役所にかけこむ。へんなひとがいますぅ、役所は入院させろと、うちに言ってくる」

 

 ひとりこどを言うだけで入院とは。わたしは用心深く主治医を眺めた。

「それって、脅迫ですか?入院とか」

「だれが」

 主治医は大きくからだを椅子の背に預けた。イタリア人の様に両腕を広げてみせる。

「今さら、なんで嘘ついたり脅迫したりするよ。この期に及んでそんなことするか」

 

 解雇されるっつうのに、という言葉を医師は飲み込んだ。

 

「センセー、自立支援の書類、書いてくださいね。先月、ほかの先生に頼んだら、主治医に言え、と不機嫌に言われたもので」

「けっ、何が主治医、だ。☆先生何か、不機嫌な理由があったのかな。いいよ、僕が書いとく」

「今日中にお願いします」

「ムリだよ、引っ越しで事務所がたてこんでいる」

「それから紹介状をお願いします」

「なんだよ、注文の多い料理店か。それいらないよ。精神病院は紹介状いらない」

「いいえ、クリニックはいります。それによそに行くかもしれないし」

 

 わたしは手のひらに診察券をいくつか広げてみせた。

「うわっ、なんでこんなに持っている!! コレクションか」

「まあね。それより先生、さっき言ったこと、なんでなの?市民の通報だけで、たちまち措置入院 (注 むりやり強制的に拘束して入院させること)って。何かおきたときに、役所が責任とりたくないから?」

「そうだ」

「医師に丸投げ?」

「そうだ。あのね、そういう患者さんをみてきたんだ。病院がくっついているということは、ヒモつきってこと。それを説明しとかなきゃね」

 

 

 のちに、わたしはこのことを友人に話した。

 友人はぼそりと、「お医者さん、かばってくれないんだ。この人は入院必要ないとか」

 そう、言ってはくれません。そんなことを言える医師、まさこさんは人に危害を加えたりしない、そういって矢面にたってくれる医師は、国内にはほとんどいないだろう。

 

 だれも庇ってはくれない。患者の権利は自分で守るしかない。

 

 これから認知症などになるみなさんは、いると思う。認知症だから、だれかがお医者さんが守ってくれる、なんて思ったら、大間違いやからね。姥捨て山みたいに、認知症の人が世話が面倒という役所の主張で、精神病院に投げ込まれてしまう。

 

 よく認知症になったら、ボケてるから本人、しあわせなどということをいうひとがいるが、それはトーシローの考え。わたしはたまに認知症のひとが不安感をえんえんとしゃべるのを電話できかされる。認知症の初期はつらい。ときどき差し込むように正気になる。

 

 そしてもしも、認知症がすすんで本人がわけがわからなくなったとしても、ひととしてモルモットにされたいだろうか。「わけがわからなくても」、精神病院の金儲けに、製薬会社の養液にされたいだろうか。

 

 あなたの人生はファイザーや明治製菓に貢ぐためにあるのだろうか。

 

そしてもうひとこと、ひとは塀に向かってひとりごとを言う権利がある。

 

 うちのパソコンはDellですが、もともとセキュリティ設定マカフイが一年分入っておりました。12月に切れる予定でしたが、その一か月前から広告が出始め、八千円台から七千円台まで下がってきました。三年ものです。価格が変動しており、わからない。

 

 そこでカフェのお客さんに尋ねてみると、

「マカフィを入れている。値段は変わる。電話をしたら、三年間五千円になったから、七千円とか高い」

 

 電話? 億劫なので、ネットでさがすことに。

セキュリティ設定 五千円が相場として、それより安ければ買い、ということがわかったので、ネットで安い販売店をさがしました。週末に安売りされるとの書き込みをみました。そこでは6千円で売られていたのです。そこで週末を待つことに。

 いきなりセールで、三年間三千円の文字が。

 

 週末の安売りって、本当だったのですね。さっき導入しました。マカフィそのものから購入するのに比べて少し手間はかかりました。そのお店に入金してメールでキーを貰い、一度そのメールから操作してキーをうち、その後一度再起動させ、再びマカフィのマイアカウントに行き、インストールします。2022年の12月まで有効との文字が無事に。

 

 でも果たして三年後、わたしはこの週末に安いことや、三千円という安売り価格を覚えているでしょうか?

 ボランティアで、ドイツ語の先生が月に二度、教えて下さっている。わたしは、それでいいと思っているが、生徒の中にはどうしても年末に謝礼をしたい、という人がいる。わたしは五百円ずつ集めるのかと思っていたところ、電話が鳴った。

 

「ジブン五百円って何やねん。そんなんでおさまりまっか。センセー、遠い所から来てくれはって電車賃かかって。

ひとり五千円はつつまなあかん。そうせんと、センセー、ほんまいやになるで」

 

 「でも、もしも高すぎると反対する人がいたら?」

「そんなひと、いてへん」

 

 ほんまかいなあ、と思いつつ、しぶしぶ承諾した。

「ついては、まさこはんに、全員にメールを出してほしい」

 

 ええーっ、

「じゃあ、交通費もかかり、消費税も上がったおり、年金暮らしの先生があまりにお気の毒であるから…」

「あかん、お気の毒って、感謝の気持ちや」

「五千円出したい人はお出しに……」

「違うっちゅうて、あかんて、五千円程度ご検討は、や」

 

 もうーっ、役人みたいな文章には慣れていないわたしは頭をかかえた。

 

「それ、よう書かんわ。作文頼むわ、そういうの、そっちゃがうまい。こっちに送ってえな。署名だけ、あたしの名前でいくわ」

「ほな、頼みまっさ」

 

  と、気がついてみれば集金係に。

 

 でも、人の下書きを代筆した体験は多いが、人に文書を書いて貰うのは珍しい。長生きすると、けっこう面妖な体験をするもの。

 

 

 判断に迷ったが、通報はしなかった。本日、四時半頃、小学校の裏の網で囲まれた部分をじっと覗き込む白いマスクのおじさんを発見。四時半はほとんどの小学生が帰るため、なんのためにのぞいているやらわからない。

 髪はカールしていてふさふさしていて三十代か?眼を輝かせてうれしそうに小学校を覗き込むおじさんというのは、チカンのような気もするが。それだけで通報することもできない。

 

 すれ違うのがいやだったので、遠回りして帰ることにした。茶色いプードルとすれ違った。しかしわたしはいつも同じ道ばかり通るから、道がよくわからない。人の家の私道を抜けたりして、ようやくわたしの住む団地がみえた。

 すると、さっきの茶色いプードルとまたもや鉢合わせをした。連れているおじいさんは何も気がつかず鼻歌を歌っている。プードルの方は、わたしをじっと見つめた。茶色の眼が不安そうに光っている。

 

 えっ? あたしが不審者? プードルの眼はそういっている。あはは、と、わたしは照れ笑いをしながら、心中でプードルに言い訳をして通り過ぎた。

 

 さっきのチカン風のおじさんもあたしには言われたくないのかもしれないが、やはり小学校を覗くのはよくない。草花や虫をみていたのかもしれないが。

 珈琲を買って、イートインに座ろうとして、「座るときは課税されるので購入のときにお申し出ください」の張り紙に気がついた。

 そっか、10月からの増税。振り向くと女店員さんが困ったようにこっちをみている、言い出しにくいのだ、きっと。察したわたしは、よろよろと店を出た。

 イートインの白いイスが開いているのと対照的に、駐車場では、車止め?の上にもたれた若者が数人、パンを齧ったり珈琲を飲んでいる。

 

 白いイスにはとりわけ夏は賑わっていた。

 夕暮れどきだと、孰の始まる前にお菓子を食べ、笑う小学生たちがいた。彼らは子供用のケータイを持ち、写した写真をのぞいたり、お菓子のおまけを見せ合って必ず口を開けて食べ物を吹いて笑っていた。時間になると自転車に乗ってそれぞれの塾に行く。

 

 あるいはご婦人たちが何かの講座の帰りに、ティータイムのつもりだろう。菓子パンにジュースや珈琲を飲んで講師の噂話をしていた。

 ひとりぼっちのおじいさんが座って何か飲んでいるときもあった。

 

 四時半にイートインがガラガラなのはこれまでみたことがない。やはり「申し出て下さい」の張り紙をみて、びっくりして出ていったのではないか。あるいは課税される七円がいかにももったいないと思い、車止めにもたれて風に吹かれる道を選んだのかもしれない。

 

 

 ところでセブン・イレブンで売っていた煙草、あれは何だ、「ティラミス味の煙草」

 

 この前、JR池袋駅西口すぐ前にある煙草屋さんを確認したところ、新しくなった「わかば」「エコー」が並び、その隣の「バット」のあったところが空席であった。

 

 これからの殿方は、ティラミス味の煙草を飲むらしい。たぶん若者がターゲットなのだろう。トシヨリは血糖値の上昇を気にして、「テイラミス」という甘いネームでひくだろう。

 

 日本の喫煙家諸氏に次ぐ。「わかば」「エコー」を守れ、でないと辛口のハイライトやショートホープ、ピースすらも危うくなる。何か得体のしれない化学でつくった何とか味の煙草はおそらく昔の煙草の葉っぱで出来た単純なものよりも、わけがわからない分、危険な香りがする。

 

 もちろん煙草本体が有害だとしてももとよりそれは覚悟の上、煙草以外の「混ぜ物」で、病気になるのは愛煙家としてはシャクにさわるのではないか。と、わたしは愛煙家友の心中を察する。

 

 おうちでお酒をつくることが出来るから、同じように煙草もつくるのはできる。いっそ煙草を栽培して、本人だけで飲んでいてはどうか。大量生産されるものよりおいしいかもしれない。